最強のFFスポーツとして君臨し続ける
遂に登場した新型シビックタイプR。6代目となる現行型は、今クルマ好きの話題の中心と言ってもいい存在です。そんなクルマ好きたちをつねにワクワクさせてきた「FFスポーツ」の進化の歴史を振り返ってみましょう。
王者タイプRにもライバルは存在! 懐かしの激熱FFスポーツ5選
まさにホットハッチの名にふさわしい「EK9」
1997年に初代シビックタイプRが誕生。NSX、インテグラに続く3つ目のタイプRとして、6代目シビックにラインアップされました。シビックのスポーツグレード、SiRをベースにチューニングされ、それまでのタイプRと同じようにホンダのレーシングテクノロジーを盛り込んだホットモデルに仕立てられています。
軽量化と剛性アップを実現したボディに、専用チューニングの足まわりやABSなど、メーカー純正チューニングカーといった仕立てですが、やはり注目すべきはエンジン。1.6Lながら185psというハイパワーを誇り、テンロクトップの性能を実現していました。上位クラスのスポーツカーをも相手にできる性能を持つシビックの登場は、多くのクルマ好きに衝撃を与えました。
欧州シビックをベースにした「EP3」
2001年に登場したEP3型。ヨーロッパ市場向けのハッチバックをベースに開発され、イギリスで生産されました。バリバリ硬派な印象を受けた先代モデルと同じく、サーキットでの性能はこれまで以上を求めつつも、ヨーロッパ育ちの素性を活かしてワインディングや一般路でも一体感を感じられるクルマを目指しました。
モータスポーツ活動が同時期に販売されていた2代目インテグラタイプR(DC5)に移行したため、国内でのスポーツイメージは薄くなってしまいました。ですが、タイプRらしい高回転まで気持ちよく回るエンジンは健在で、先代モデルよりもパワーアップした2Lエンジンは215psを発生。ヨーロッパ仕込みの剛性の高いボディと、先代よりも広々とした室内が組み合わされ、走りの質感も利便性もより高くなりました。
4ドアセダンをベースにした「FD2」
それまではハッチバックでしたが、3代目となるFD2はベースのシビックがセダンとなったため、セダンのタイプRとして2007年に登場しました。セダンになっても求めた性能はタイプRらしく、「FF TYPE R史上最速」を銘打っての発表でした。
リヤガラスを薄くするなどこれまで以上に軽量化を徹底。それでいながらボディ剛性を確保することも忘れておらず、2代目インテグラタイプR(DC5)と比べてボディ剛性を50%向上させています。もちろん、エンジンスペックも向上させ、2LのNAながら225psを誇ります。FD2でのワンメイクレースも行われ、国内モータスポーツシーンでもふたたび活躍したモデルでもありました。
欧州シビックベースの第2弾はユーロの名がつく「FN2」
2009年に「タイプRユーロ」というネーミングで販売されたFN2型。久々のハッチバックタイプR復活となったこのモデルは、ヨーロッパ市場で販売されていたシビックのトップモデルとしてイギリスで生産していたモデルです。日本市場には台数限定で販売された帰国子女モデルでもあります。
日本市場では2009年に2010台限定で、2010年に1500台限定で販売されました。サーキット重視の硬派なFD2に比べると、FN2は一般道での楽しさや快適性も重視したモデルとなっています。このようなキャラクターの違いに、ヨーロッパ向けモデルであるという、生い立ちの違いを感じることができます。
しかし、タイプRのバッジが与えられているだけあって、ホットハッチとしてのスポーツ度は健在。限定販売だったこともあり、現在では希少なモデルとなっています。
歴代モデルで初となるターボエンジン搭載の「FK2」
それまで高回転型NAエンジンを搭載してきましたが、2015年に久々のシビックタイプRの名で登場したFK2型は、2Lターボエンジンを搭載。その最大の理由はニュルブルクリンクFF最速を目指したことにあります。世界一過酷と言われるサーキットでもっとも速い量産車FFを目指すため、求めたのは300psを超えるパワー。その実現のため、VTEC TURBOという選択が選ばれたのです。
その結果、最高出力310ps/最大トルク400Nmという、2Lエンジンとしてはトップレベルの性能を実現。ニュルブルクリンクでFF最速となる7分50秒63を記録し(当時)、開発目標を実現しました。日本国内では750台の限定販売となったため、希少なシビックタイプRとなっています。
ニュルブルクリンク最速を奪還すべく進化した「FK8」
先代モデルとなるFK8型は2017年に登場。究極のFFスポーツを目指して開発され、ボディやサスペンション、エンジンのすべてにおいて、より高い性能が与えられました。
そのなかでも特筆すべきがボディ(プラットホーム)です。ベースのシビックを開発する段階からタイプRを見据えており、ボディ剛性の向上と軽量化を実現させました。そのほか一般道での快適性も進化させ、「COMFORT」を含めた3つのドライブモードを設定。あらゆる場面に対応できるマシンへと仕上がりました。また、FK2同様にニュルブルクリンク最速を狙い、最速の座を7分43秒80というタイムで取り返しました。
FFスポーツとして進化し続ける存在
本格的なスポーツカーは後輪駆動が多かった90年代に、FFスポーツとしてのジャンルを確かなものにしたシビックタイプR。先代以上の速さと扱いやすさを求めて進化していった先に見えたのは、ニュルブルクリンク最速、そして究極のFFスポーツという姿です。日本でFFスポーツというジャンルを確立したモデルは、やがて世界で最速を争うモデルへと進化していきました。新型モデルは一体どんな進化を遂げ、どのようにクルマ好きを楽しませてくれるのか? まだまだ話題に尽きないモデルであることは間違いありません。
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