■高価に思われたディーゼルがコンパクトカーにも搭載される
ひと昔前は、トラックやバンなどの商用車専用エンジンと考えられていたディーゼルエンジンも、1980年代からは乗用車への搭載が増え、1982年にはトヨタ「カローラ」が日本の小型大衆車クラス初の1.8リッターディーゼルエンジンを搭載しました。
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さらに1983年には2代目ダイハツ「シャレード」に、乗用車用量産ディーゼルエンジンとしては当時の世界最小排気量だった1リッター直列3気筒エンジンを搭載し、コンパクトカーの経済性をさらに高めました。
しかし、ディーゼルエンジン独特の音と振動、排出される大気汚染物質「PM」や「NOx」が問題視され、国内のディーゼルエンジン搭載乗用車が一旦消滅したこともあります。
時代は変わり、厳しい排出ガス規制をパスできるディーゼルエンジンが登場します。現在では政府がクリーンエネルギー自動車に指定するなど、次世代を担うテクノロジーとして期待されています。
そうした背景のなか国土交通省は毎年、型式指定や新型の届出を受けたクルマの「自動車燃費一覧」を公表しています(最新の公開情報は平成31年3月のもの)。
その中からディーゼルエンジンを搭載したコンパクトカーの燃費(JC08モード)について、上位5車種をご紹介します。(一部車種では、メーカーが発表した最新データに更新しています)。
●1位 マツダ「デミオ」 JC08モード燃費 30.0km/L
1996年にデビューしたマツダ「デミオ」は、背を高くすることで室内空間を稼いだコンパクトワゴンとして登場しました。
現行モデルは2014年に登場した4代目で、1.5リッタークリーンディーゼルエンジンを搭載し、海外でも「Mazda 2」として販売されています。
「デミオ XD」に搭載されるエンジンは、「SKYACTIV-D」と呼ばれる1.5リッター直列4気筒ターボディーゼルエンジンで、最高出力105馬力 最大トルク25.5kgmを発揮します。
「SKYACTIV-D」は、マツダ独自の低圧縮比化技術によって、燃料をきれいに燃焼しつくすことで有害物質が発生しにくくし、高価なNOx後処理装置が不要ながらもポスト新長期規制(平成21年排出ガス規制)適合のクリーン性能を実現しています。
また、アクセル操作に正確に反応する「DE精密過給制御」により、走行性能を持ちながら6速MT車ではJC08モード燃費30km/Lを実現しています。
デミオ XDの価格は181万4400円(消費税込 以下同様)で、マツダのテクノロジーが生み出す軽快な走りと、低燃費の両立を味わうことができる1台です。
●2位 プジョー 「308」 JC08モード燃費 24.3km/L
フランスのプジョーは、世界最古の量産自動車メーカーといわれています。
モデルチェンジごとに車名の数字が増えるのが特徴でしたが、「308」では数字を固定し、現行モデルは2013年に登場した2代目「308」です。新開発のシャシを採用し、車両重量は先代比最大140kgの軽量化を達成しました。
JC08モード燃費で24.3km/Lを実現する現行モデル「308 Allure BlueHDi」に搭載されているディーゼルエンジンは、ル・マン24時間耐久レースの覇者プジョー「908」から受け継いだ燃焼システムを持っています。
最高出力130馬力、最大トルク300Nmを発揮する1.5リッター直列4気筒ターボディーゼルで、8速ATとの組み合わせで車両重量1330kgのボディを走らせます。
また、酸化触媒、尿素SCR、DPF(煤のフィルター)を同一ユニットにまとめたことで排気ガス処理の効率が向上し、2020年から適用されるNOx規制「ユーロ 6.2」もクリア。
JC08モード燃費は18.7km/Lになりますが、「308 GT BlueHDi」に搭載される最高出力177馬力 最大トルク400Nmを誇る、パワフルな2リッター直列4気筒ターボディーゼルも魅力です。
ディーゼルエンジンを搭載した308の価格は304万9000円から。フランス車は、一度乗ったらハマってしまう人も多いといわれる、ちょっと洒落たクルマです。
●3位 BMW「ミニ クーパーD」 JC08モード燃費 23.9km/L
2001年に登場したBMWブランドの「ミニ」は、世界的に人気が高い1959年登場のBMC「ミニ」をモチーフとしたプレミアムスモールカーです。
モデルチェンジは2度行われましたが、スタイリングは旧ミニからのキープコンセプトで、現行モデルは2013年以降の第3世代と呼ばれています。
JC08モード燃費 23.9km/Lを実現しているのは、1.5リッター直列3気筒ターボディーゼルエンジンを搭載する「ミニ クーパーD」で、最高出力116馬力、最大トルク270Nmを発揮。
車両重量1230kgと比較的軽量なボディを軽快に走らせるなど「ゴーカート・フィーリングの爽快さが凝縮されています」とアピールしています。
ミニ クーパーDの価格は329万円ですが、豊富なオプションが用意されているので、自分だけのミニにしてしまうのも楽しいかもしれません。
■使い勝手がよく燃費も優秀なコンパクトディーゼル車
●4位 BMW「ミニ クラブマン」JC08モード燃費 22.7km/L
「ミニ クラブマン」は、最大1250リッターの荷室と、独創的な観音開きのテールゲート「スプリットドア」をリアに採用したコンパクトステーションワゴンです。
先代はシンプルさが特徴のモデルでしたが、現行モデルは「コンフォート・アクセス・システム」と「イージー・オープナー機能」を使い、リアバンパーの下で足を動かすだけでスプリットドアを自動でオープンできるなど、便利な機能を多く備えた快適なクルマに仕上がっています。
JC08モード燃費 22.7km/Lの性能を持っているのは「ミニ クラブマン クーパーSD」で、最高出力190馬力 最大トルク400Nmを発揮する、2リッター直列4気筒ターボディーゼルエンジンを搭載し、車両重量1490kgのボディでも、低回転から高いトルクを発生するエンジン特性で重さを感じさせません。
ミニ クラブマン クーパーSDの価格は437万円。休日にたくさんの荷物を積んでレジャーに出かける人には、うれしい燃費性能です。
●5位 BMW「1シリーズ」 JC08モード燃費 22.2km/L
2004年にデビューしたBMW「1シリーズ」は「3シリーズ」とプラットフォームを共有したコンパクトハッチバックスタイルで、BMWのエントリーモデルです。
現行モデルはこのクラスでは貴重な後輪駆動のFRで、前後約50:50の理想的な重量配分と、BMWらしいダイレクトなハンドリングでコンパクトクラスとは思えないスポーティなドライブフィーリングを味わうことができます。
「118d」グレードは、最高出力150馬力、最大トルク320Nmを発揮する、2リッター直列4気筒ターボディーゼルエンジンを搭載。
エンジン回転数に応じて過給圧を最適に制御する「可変ジオメトリーターボチャージャー」や、「ブレーキエネルギー回生システム」を組み合わせて、優れたレスポンスと燃料消費量の低減を実現しました。
最先端の排出ガス処理技術である「BMW ブルーパフォーマンス テクノロジー」の採用やアイドリングストップによって、世界最高水準の排出ガス基準となる、日本の「ポスト新長期規制」にも適合しています。
「118d Fashionista」と「118d M Sport Edition Shadow」の価格は407万円。BMWらしさに溢れたスポーティなモデルですが、1シリーズの後輪駆動は現行モデルが最後になるという噂があります。
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