■SEMAショーに出展されたスゴいカスタマイズカーを振り返る
2021年11月2日から5日まで、アメリカのネバダ州ラスベガスで「SEMAショー」が開催されました。SEMAショーは日本の「東京オートサロン」やドイツの「エッセンモーターショー」と同じくカスタマイズカーやカスタマイズパーツの祭典で、世界最大級の規模を誇ります。
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2020年のSEMAショーは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインでの開催となったため、リアルイベントとしては2年ぶりとあって、大いに盛り上がっていました。
これまでSEMAショーには、日本の自動車メーカーも出展しており、数多くのカスタマイズカーがお披露目されていました。
今回のSEMAショーではアメリカで流行している、車中泊やキャンプを続けながら大自然をめぐる「オーバーランド」をキャッチアップしたピックアップトラックやSUVのカスタマイズカーが多い印象でしたが、過去にはとんでもないモデルも存在。
そこで、これまでSEMAショーに出展されたカスタマイズカーのなかから、大胆すぎるモディファイがおこなわれた日本車を、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「N600 Powered by VFR800」
1967年に、ホンダは同社初の軽乗用車「N360」を発売しました。安価な価格と最高出力31馬力の高性能エンジン、FFを採用したことによる広い室内などが相まって大ヒットを記録しました。
このN360をベースに600cc空冷2気筒エンジンを搭載した「N600」が、1969年にハワイを皮切りとしてアメリカに輸出され、1970年からはアメリカ本土でも販売されました。
そして、ホンダは2019年のSEMAショーに、N600をモディファイした「N600 Powered by VFR800」を出展。
エンジンはホンダのスポーツバイクである「VFR800」の800ccV型4気筒をフロントに搭載し、ベースのFFからFR化されるなど、まさに魔改造といえるモデルです。
さらにユニークなのが、エンジンと共にVFR800のガソリンタンクもエンジンルームに収まっていることで、ベースがバイクということを強調していました。
出力などの詳細なスペックは明らかにされていませんが、2017年モデルのVFR800日本仕様が最高出力107馬力を発揮しており、N600の車重が500kgほどだったことから、強烈な走行性能を実現していたと想像できます。
なお、このN600 Powered by VFR800は個人によって製作されましたが、コンセプトやクオリティが高く評価されたため、ホンダブースでの展示が実現しました。
●トヨタ「ランドスピードクルーザー」
2021年8月2日に、トヨタは新型「ランドクルーザー(300系)」を発売しました。現在、納期は2年以上とアナウンスされているなどの人気ぶりです。
ランドクルーザーシリーズは高い悪路走破性能と耐久性を誇り、世界中の過酷な環境下で活躍していますが、先代の200系はラグジュアリーなクロスカントリー4WD車として、中東、オーストラリアなどで高い人気を誇りました。
この200系 ランドクルーザーをベースに、アメリカトヨタがカスタマイズしたのが「ランドスピードクルーザー」です。
ランドスピードクルーザーはSUVのスピード記録を樹立するために開発され、搭載されたエンジンは、レクサス「LX570」の5.7リッターV型8気筒に2基のターボチャージャーを装着し、最高出力は2000馬力以上にまで高められました。
外観はわずかにワイドトレッド化され、車高が下げられた以外は大きなモディファイはおこなわれておらず、空力パーツはフロントにエアダムスカートと純正のリアスポイラーに留めるなど、200系のシルエットそのものです。
一方で、車体の底面はフラット化されリアにディフューザーを装着することで、ダウンフォースを発生させています。
ランドスピードクルーザーは2016年のSEMAショーに出展された後、2017年には実際に速度記録に挑戦し、最高速度230マイル/h(約370km/h)を達成。世界最速のSUVとして記録されました。
●マツダ「MX-5 スピードスター」
1989年に、マツダは2シーターFRオープンスポーツカーのユーノス「ロードスター」を発売しました。ロードスターは「人馬一体」の走りをコンセプトに開発され、軽量コンパクトな車体による軽快な走りから世界的にヒットしました。
そして、2015年に発売された現行モデルの4代目はロードスターの原点に立ち返り、ボディとエンジンをダウンサイジングしたことから大いに話題となりました。
この4代目ロードスターをベースにした大胆なカスタマイズカーが、2015年のSEMAショーに出展された「MX-5 スピードスター」です。
MX-5はグローバルにおけるロードスターの車名ですが、MX-5 スピードスターではソフトトップを取り払い、さらにフロントウインドウの代わりにディフレクターを装着するなど、1950年代のレーシングカーをモチーフにデザインされました。
搭載されたエンジンは北米仕様の2リッター直列4気筒でノーマルですが、足まわりは30mmローダウンした車高調と軽量なRAYS製ホイールが装着され、内外装にはカーボン製パーツをふんだんに使ったことで、車重は約940kgを達成していました。
さらに2016年のSEMAショーには、約800kgまで軽量化した「MX-5 スピードスター エボリューション」が出展されました。
※ ※ ※
SEMAショーは50年以上もの長い歴史があるカーショーで、もともとはアフターマーケットのパーツメーカーが主体の見本市でした。
2021年のSEMAショーでは前述のとおりオーバーランド仕様が日本のメーカーのトレンドで、今回紹介したような大胆なカスタマイズカーは少なく、かなりおとなしいモデルが散見されました。
これは、コロナ禍でのオーバーランド人気を反映した結果なのかもしれません。
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