レクサスISが昨年11月ビッグマイチェンをして半年が経過した。
改良新型のISは外板からボディ、足回りに至るまで手を入れる大幅な改良を実施。そして、今改めてBMW3シリーズやベンツCクラスと比べた時、新しいISはこれら欧州プレミアムセダンよりも魅力的なクルマに仕上がっているといえるのか?
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この改良によって5月販売台数は、例えば売れ筋モデルのIS300hで415台(前年比703.4%)と好調なのだが、クルマそのものの出来としてマイチェンは成功しているといえるのか? モータージャーナリストの斎藤聡氏が解説する。
文/斎藤 聡
写真/TOYOTA、Mercedes-Benz、ベストカー編集部
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■登場8年の大幅改良。その効果は?
写真はレクサス IS350。ISは現行型登場から8年経ち、大幅改良を受けた
こちらは改良前のIS。ぱっと見でわかるほどデザインが変化している
昨年11月のレクサスISのマイナーチェンジは、かなり大々的なもので、エクステリアはAピラーを除くほぼすべてを一新する力の入ったものとなっています。
ボディの面構成やエッジの立て方、前後フェンダー回りのボリューム感を持たせた造形、トランク回りのモダンなデザイン等々。もともとスポーティなデザインだったエクステリアを、イマ風に衣替えしています。
もともとスポーティなデザインだったエクステリアをイマ風に衣替え
振り返ってみると、3台目となるISのデビューは2013年ですから、だいぶ時間が経っていることになります。
2010年くらいでしょうか。世界のプレミアムDセグメント……、つまりこのレクサスISやBMW3シリーズ、ベンツCクラス、アウディA4(全部ドイツ車ですが……)のトレンドはスポーツセダンでした。
BMW 3シリーズ。スポーツ路線はお手のもの
メルセデス・ベンツ Cクラス。日本でも定番のベンツといえばコレ
BMWの得意フィールドだったのですが、実はもう1ブランドトレンドを大きく後押ししていたのがレクサスなんです。少なくともドイツメーカーはアジリティの高いレクサスISをDセグメントのトレンドをけん引しているクルマの1台として意識していました。
そんな追い風のなか、キープコンセプトでISは3代目へと進化したわけです。
それで、現代のDセグメンチト事情はどうかというと、ほぼすべてクルマがモデルチェンジを迎え、ひとつ新しい世代へ移行しています。そしてキャラクターはどのメーカーもややコンサバというかラグジュアリーセダン方向に方向性を戻しています。
それは大きく重く、そして高価になったことが影響しているのだろうと思います。
同時に、従来のDセグメントスポーツセダンにとって代わるクルマとして、Cセグメントにセダンが登場していることも大きく影響しているのだろうと思います。
その点でいうと、ISの8年は一世代取りに残されたといわざるを得ないのですが、そんなネガティブな考えを抱きつつ試乗してみると、「あっ、これアリかも!」と思える仕上がりになっていたのです。
■マイチェンで見えてくる「ISらしさ」
インパネのデザインなどはやはり一世代前といえなくもないのですが、液晶パネルで味気なくなった(効率的になったとも言えますが)ライバルのメーター回りと比べ、アナログチックでネオレトロなスポーツセダンの匂いを漂わせています。
レクサス IS300hのインパネ。液晶パネルを使ったデジタルコクピット全盛のなか、アナログ計器類がネオレトロ感を漂わせる
これがビッグチェンジしたISのエクステリアデザインとよく合っているんです。
その一方で、古くなったのでは? と思われたボディは、細部にわたる補強の効果で剛性感を高めていました。
路面の段差を踏んだ時のショックの入り方が明らかに違っていて、以前のショックの収まりは早いけれど角の尖ったものと比べ、ショックの角が丸みを帯び、ぐっとマイルドになっています。それでいながらショックの収まりもよく、すっきりした乗り心地になっています。
もともとの重量バランスがいいIS。マイナーチェンジでのボディ補強により、アジリティ向上が感じられたとのこと
操縦性も、もともと前後重量配分のいいISですから、クルマのバランスがよく、コーナー入り口で前輪アウト側に乗った荷重が、コーナー半ばで適度に後輪に荷重が移り、立ち上がりで後輪にしっかり荷重が乗っていくのがわかります。
欲を言えば、この時のグリップ感とかタイヤの変形感がもうちょっとダイレクトにドライバーに伝わってくると、さらにスポーツドライブ感が増すのではないかと思います。
ただその一方、このくらいの刺激がドライバーに不安を感じさせないさじ加減なのだろうというふうにも思います。
徹底的に鋭さを求めていくと、シビアで疲れるクルマになってしまいますから、そういう意味でいいセッティングになっているのだろうと思います。
■「ネオレトロ」というプレミアム感
操縦性についてはIS 300も、IS 300hも、IS 350もひとからげに語ってしまいましたが、もちろんそれぞれにキャラクターは違います。
もっともスポーティでパワフルな350 Fスポーツだと、ダイレクトさにちょっとオブラートがかかった感覚がもどかしく感じる部分もあるのですが、3.5L V6の318馬力/380Nmのパワー&トルクは迫力があります。もう少しクリアにグリップの感じが伝わってくると、さらに刺激的になるのではと思いました。
300は2Lターボで245馬力/350Nmを発揮します。じつはこのパワーユニットのISとのマッチングが思いのほかよく、ノーズの軽さによる軽快な操縦性と、ふわっと膨らむターボのトルクの力強さがISの乗り味とよく合っていてWELLバランスだと感じました。
もっともレクサスISらしいパワーユニットだと感じたのはハイブリッドの300hでした。4気筒2.5Lエンジンの178馬力/221Nmに143馬力/300Nmのモーター出力が加わり、想像以上に速い加速性能を備えています。
もっともISらしいパワーユニットを搭載するという2.5Lハイブリッドの300h
レクサスハイブリッドシステムはFRに対応。AWD仕様も存在する
しかも低回転域をモーターの強力な駆動トルクが補ってくれるのでアクセルを踏み込んだ瞬間から力強く、スタートする時やカーブの立ち上がりでクルマが不思議なくらい軽く感じられます。
300hに乗ると、レスサスISの必要以上にダイレクトさを表に出さない味付けがうなずけます。一部マニアのためにシビアで刺激的な操縦性にするのではなく、ISに乗るほぼすべての人が、刺激的で速くて楽しいと感じる味付けにセットしているということなのだろうと思います。
8年が経って、そろそろモデルチェンジが気になる時期ではあるのですが、熟成したネオレトロ(?)なスポーツセダンとして、ほかにない個性を持っているということでもあます。タコメーターをひとつとってもこれから先、アナログメーターの針を持ったスポーツセダンは見られなくなるかもしれません。
プレミアムセグメントのクルマは、「最新」も大切な要素かもしれませんが、それと同じくらい“ブランドらしさ”が大切なのではないかと思います。
その意味で、モダンなエクステリアデザインを取り入れながらの中身の熟成が見事に成功しており、ビッグチェンジを行ったことの意味は充分にあると思います。
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みんなのコメント
半導体の影響もあるだろうけど
納期未定くらい受注があるとか
結果「成功」と言えると思う
トヨタでの販売ならば共同開発の形でマツダやスバルのプラットフォームを使用してFR車を出す事も出来るだろうが、さすがにレクサスでそれはできないでしょう。
GSも消え、ISまで消滅するとなるとちょっと寂しい気がします。