ストラトス・ゼロも海外からきます!
奈良の世界遺産である薬師寺境内にて『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025』が開催されるという話はだいぶ前から知っていて、実は当コラムの#16でご紹介した、主催の木村英智さんと愛車のランチア・ハイエナ・ザガート・プロトタイプを取材した際に、ご本人からお誘いを受けていた。
【画像】ルノー・アルカナでストラトス・ゼロに会いに奈良へ! 全55枚
そのためスケジュールは空けてあったものの、レポートを内田俊一さんにお任せすることになったのと、さすがに奈良という物理的な場所の遠さで躊躇していた。そんな時に背中を押す……いや、後ろから奈良向かって大砲を打たれたかのような、衝撃的な事実が内田さんからのメールで告げられた。
『ストラトス・ゼロも海外からきます!』
ス、ス、ス、ス、ス、ス、ス、ス、ストラトス・ゼロだと!!!!!!!
その時の気持ちを文字で表現するならば、これくらいは興奮していたと思う。ちょっとだけ背景を書いておくと、1973年生まれの筆者にとって、同じ年に市販版がデビューしたランチア・ストラトスこそが永遠のナンバーワンスーパーカーで、そのオリジンといえるゼロは、神とも呼べる存在なのだ。
初めて見たのは、2008年12月のこと。1970年にゼロが発表されたイタリアのトリノ・ショー会場と同じ場所で開催中の『ドリーム・ミュージアム』というイベントを取材した際に、展示されていたのである。他にもマルツァル、カラボ、モデューロ、ブーメランといったコンセプトカーが並ぶ、文字どおり夢の空間! であるが、そこで唯一カメラマンにお願いして2ショットを撮ったのがゼロだった。
その後、2019年にトリノの自動車博物館で再会することになり、その時に撮ったのが3月7日の告知記事に掲載したもの。ゼロの歴史は別稿で内田さんに解説して頂いたので割愛するが、そういった思い入れがあり、奈良に向かう決意ができたのであった。
タイミングよく頂いた長距離試乗のお話
奈良往復のアシは、タイミングよく長距離試乗のお話を頂けたこともあり、『ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌEテック・フルハイブリッド』を選んだ。アルカナは#8で書かせて頂いたとおり、ルノーとアルピーヌのダブルネームが魅力となる好きな1台だ。そのレポートで『シートがもしかして体形に合わない?(これは後日検証予定)』と書いたので、その検証も兼ねて連れ出すことにした次第である。
横浜で借りて走り出した第一印象は、やはりシートは体形に合わないかなぁというもの。座面が思ったよりも長いのだ。しかし今回は約1000km乗るので諦めたくない! と思い、立ち寄った駐車場であらゆるポジションを試し、少し背もたれを寝かし気味にしてランバーサポートを入れたところ、ちょうどはまった瞬間がありひと安心。
また、書いておきたいのは、純正ナビがないこと。これは普通ならウィークポイントだが、輸入車の中には使い勝手の悪い純正ナビが意外と多く、個人的にはアップル・カープレイに頼ることが多い。だったら、最初から装備しないで価格を抑えてくれたほうがよほどいいとすら思っている。つまりこれは、前向きにも捉えられるのだ。
さて、往復でまず思ったのは、19インチのタイヤにもかかわらず、不快な突き上げがないこと。また、試乗車が広報車にしては珍しく約1万kmの走行距離だったが、ひと昔からルノーは、1万kmを超えたあたりから硬さがとれてきて乗り心地が変わり、ちょうどよくなる傾向にあり、まさにこのアルカナも変身の最中という感じであった。
雨と寒さで心が折れ始めた
初日となる土曜日午前中に自宅のある静岡県東部を出発。15時頃に到着した奈良はあいにくの雨で、しかも3月とは思えぬ寒さ。会場に入ると雨だからかゼロの姿は見当たらず、もちろん見るべきクルマはたくさんあるのだが、雨と寒さで心が折れ始めたためいったんクルマに避難。17時からのナイトタイムスペシャルセレブレーション開始を待つ。
時間になり会場に戻ると、当初主催者が狙った夕陽に包まれるマジックアワーとはならなかったが、境内に移動してきた参加車がズラリと並び、まさに壮観。しかしゼロをひと目見なければ……と思っていたところ内田さんから電話で「そこの裏にいます!」との知らせ。駆けつけると、雨に濡れた『ランチア・ストラトスHFゼロ』(正式エントリー名)が、薬師寺金堂の前に佇んでいるではないか!
「小さい!」と思わず口に出た。周囲に既に比較対象となる人がたくさんいたことと、その奥に金堂の中にある巨大な薬師三尊像が見えたせいもあるだろう。しかしタイヤサイズは何と12インチで、想像している大きさの8割くらいしかない印象だ。とにかく放たれるオーラが半端なく、手に傘とカメラを持っていなかったら、間違いなく拝んでいたと思う。
あのストラトス・ゼロが日本に、しかも薬師寺の境内に……。この一生に一度しかないであろうシチュエーションに感動し、満足し、翌朝も雨予報ということもあり、コンクール取材は内田さんにお任せして、これで終えることにしたのである。
上品で古都にマッチするアルカナのデザイン
翌日早朝、奈良の街中で写真を撮っていたところ、ルノー・アルカナというクルマが実に上品で古都とマッチすることに気が付いた。クーペSUVということもあり、ルノーにしては珍しく足元がしっかりした、アスリートもしくは動物のような躍動感があるデザインだ。
ボディカラーは『ブラン・ペルレM』と呼ばれるパールホワイトで、SAなどで他のホワイトと並ぶと、ちょっと落ち着いた感じに見える。ルーフは『ノワール・メタルM』と呼ばれるブラックで、この組み合わせも上品さの理由になっているように思えた。
Eテックは以前書いたように、現在電動化モデルを購入するうえで、最適解のひとつだと真剣に思っている。排ガスと燃費は抑えたい、しかしBEVだといちいち充電するのが面倒だし、プラグインハイブリッドはクルマが重いので乗り味に影響が出る。
その点アルカナなどが搭載するストロングハイブリッドシステムのEテックは、充電の煩わしさもないし、車重も1470kgと重いとは言えない。
なお、実際の燃費は、1010.2kmを走って17.8km/Lというものであった。これは新東名高速道路で、制限速度の120km/h固定で走らせたところ、この速度を維持することの燃費がイマイチなように見えたのと、奈良でワインディングを結構走ったことも考えると、実際にはもっと伸びそうな気がした。ちなみにカタログスペック(WLTCモード)は22.8km/Lだ。
また、残りの走行距離80kmで給油したが、その時点で754.1km走っていたので、800kmは走れることになる。これは実用車として、かなりいい数値ではないだろうか。個人的にはもう少し燃費が悪くてもいいので、中間トルクがもっとあると気持ちよく走れそうな気がした。
あと最後に書いておきたいのは、EVモードの存在。奈良市内を走っていた時に鹿と遭遇し、思わずスイッチを押した。きっと鹿たちもエンジン音には慣れていると思うが、それでも、驚かせたくないではないか。そういった意味でも、『万能のアスリート』とも言えるのが、ルノー・アルカナというクルマなのであった。
ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌのスペック
ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌEテック・フルハイブリッド
全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm
ホイールベース:2720mm
トレッド:F1550mm R1560mm
車両重量:1470kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1597cc
ボア×ストローク:78.0×83.6mm
最高出力:69kW(94ps)/5600rpm
最大トルク:148Nm(15.1kg-m)/3600rpm
モーター最高出力:
メイン36kW(49ps)/1677-6000rpm
サブ15kW(20ps)/2865-10000rpm
モーター最大トルク:
メイン205Nm(20.9kg-m)/200-1677rpm
サブ50Nm(5.1kg-m)/200-2865rpm
駆動方式:FF
燃料タンク容量:50L
ギアボックス:電子制御ドグクラッチマルチモードAT
タイヤ:F&R225/45R19
サスペンション:Fマクファーソンストラット Rトーションビーム
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rディスク
燃料消費率(WLTCモード):22.8km/L
価格:499万円
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