小粋さと実用性が詰まった万能車として人気を誇るルノー・カングーが、3代目へと進化した。プジョー リフターやシトロエン ベルランゴといったライバルの猛追を受ける中、はたして走りや装備はどう変わったのか? さっそくチェックしてみよう!
文/塩見 智、写真/中野幸次
あえての無塗装バンパー!! 乗り心地はエクストレイル以上? 新型カングー「ガチ仕様」のこだわりがすごい
■平日は商用、休日は乗用に使える貨客両用車
左がボディ同色バンパーを備えるインテンス、右が黒バンパーのクレアティフ。双方にガソリンとディーゼルがあり選択に迷う
カングーと言えば、初代も2代目も安定して売れ続けたロングセラーで、2000年のルノー・ジャポン発足以来、日本で最も成功したルノー車と言っても過言ではない。四角く、でも角は丸く、顔は緩い癒やし系の背高5人乗り2ボックスで、ワゴンともSUVともミニバンとも異なる、日本車にはない形態だ。
欧州ではLCV(ライト・コマーシャル・ビークル)、すなわち商用車としてこのカタチは一般的で、多くのメーカーが同じようなモデルを販売している。数年前にステランティスがプジョー・リフター、シトロエン・ベルランゴというモデルを日本導入して人気を博しているが、あれもそう。日本におけるトヨタのプロボックスやハイエースの用途を担うクルマと考えればOKだ。
日本でもハイエースを中心に商用車をそのまま、あるいは自分好みにカスタマイズして乗用車として使うケースが増えているが、フランスには昔から1台を平日は商用、休日は乗用に用いる貨客両用車というカテゴリーが存在する。カングーはルノー4(キャトル)、エクスプレスと続く貨客両用車の現役モデルだ。
新型は全長4490mm、全幅1860mm、全高1810mm、ホイールベース2715mm。ガチンコライバルのベルランゴは全長4405mm、全幅1850mm、全高1850mm、ホイールベース2785mmとだいたい同じサイズ。このあたりが欧州で、これ以上大きいと乗りづらく、これ以上小さいと商用車として満足できないと考えられているサイズなのだろう。日本でもギリギリ取り回しに苦労しないサイズではないだろうか。
■待望の1.5Lディーゼルモデルもラインナップ!
ルノー カングー クレアティフ。前後バンパーが無塗装になるほか、ドアパネル下部にも樹脂パネルが貼られる。ホイールはセンター部分にキャップが付いたスチール製だが、インテンスはフルカバーのホイールキャップとなる
初代、2代目とファニーフェイスだったカングーだが、3代目は一転して「怒ってんの?」と聞きたくなるようなキリッとした威厳ある顔つきとなった。フロントグリルをクロームパーツで囲むなど、高級感が増した。インテンスというグレードがボディ同色バンパーにフルホイールキャップの上品仕上げなのに対し、クレアティフというグレードは黒い樹脂の無塗装前後バンパーにスチールホイールの中央部分のみを覆うハーフキャップが付いた“現場仕様”となっている。スライドドアのレースカバーも無塗装、ドアミラーも無塗装。インテンスが豪華グレードでクレアティフが廉価グレードかと思いきや、両グレードは装備内容も価格も同一の、単なる仕様違いなのが面白い。
本国では乗用車グレードはすべてボディ同色バンパーで、無塗装バンパーは商用車専用なのだが、日本では、飾らない無塗装バンパーのカングーの人気が根強いため、ルノー・ジャポンが掛け合って乗用の無塗装バンパー仕様をわざわざ日本専用に設定してもらったようだ。担当者によれば、フランス人にはボディ同色バンパー仕様と同じ価格を出して無塗装バンパー仕様を選ぶ感覚は理解してもらえないそうだ。街中では自車で駐車車両のバンパーを押して駐車スペースを確保するくせに……。
2代目カングーは1.2L直4ガソリンターボエンジンと6速AT(デュアルクラッチ・トランスミッション)を組み合わせたパワートレーンを搭載していたが(※最終期にディーゼルモデルを限定販売)、新型には1.3リッター直4ガソリンターボ(最高出力131ps、最大トルク240Nm。WLTC燃費15.3km/L)と1.5L直4ディーゼルターボ(同116ps、同270Nm。同17.3km/L)の2種類のエンジンが設定され、いずれも7速AT(デュアルクラッチ・トランスミッション)と組み合わせられる。ディーゼル導入は、ライバルのリフター、ベルランゴの日本仕様が1.5Lディーゼルターボ一択で好評なことへの対策だろう。
ディーゼルは数値の上では大したスペックではないが、走らせてみると低回転域からグイグイとトルクを発して実用上十分な加速を見せる。音と振動は巧みに抑え込まれており、商用車っぽさは微塵も感じさせない。ガソリンもピークパワーを追い求めず実用域で力を発するようにチューニングされていて、それでも高回転まで回せばディーゼルには望めない伸びやかな加速が手に入る。振動はディーゼルよりも抑えられているが、音はディーゼルと同程度。これはディーゼルの静かさを褒めるべきだろう。
どっちも走りに不満なし。両方試乗してフィーリングに合う方を選べばOK。購入価格はディーゼルのほうが24万円高い。でもリッター2km燃費がよくて軽油も安いから、5~6年乗れば支払い額は同じようなものになるはずだ。
■ライバルにも遜色なし! 最新の運転支援機能も搭載
日本仕様がこだわったダブルバックドア。ラゲッジスペースは後席をたたまなくても775Lを飲み込む
フランス版商用車のカングーと日本版商用車のプロボックス、ハイエースの本質的な違いは何かと言えば、乗り心地だ。日本人にはプロボックスやハイエースに極上の乗り心地を求めるのはお門違いという感覚があるが、フランス人は仕事で朝から晩まで乗り続ける商用車こそ極上の乗り心地であるべきだと考える。だから歴代カングーはどれもシートの出来がよく、足まわりも入念にチューニングされていて乗り心地がとてもよい。
新型にもその伝統は受け継がれていて、どんがらボディに空荷&ひとりぽっちで乗っていても、不整路面でリアが跳ねるようなことは一切なく、落ち着いた乗り心地に終始する。日産エクストレイルと同じCMF-C/Dという車台を用いて開発されているのだが、乗り心地だけを見ればエクストレイルを上回る。
そして言うまでもなく車内は広い。荷室容量は先代よりも115リッター増しの775リッター、後席を倒せば一気に2800リッターと頑張れば住めるほどの容量が広がる。乗員スペースはとにかく天井が高く開放感が半端ない。前席頭上をはじめいたるところに小物入れが設置されていて、何をどこに入れるかではなく、何をどこに入れたかを覚えておくのが問題になるだろう。
14年ぶりのフルモデルチェンジだけあって、先進運転支援システムの充実ぶりは隔世の感あり。ACC、レーンセンタリングアシスト、エマージェンシーレーンキープアシスト、ブラインドスポッターインターベンションなど、一気に最先端の装備が付いた。カーナビはないけれど、ディスプレイオーディオが備わっているので、スマホを繋げば問題なし。価格はインテンス、クレアティフともにガソリンが395万円、ディーゼルが419万円。ガソリンには装備を抑えて384万円のゼン(受注生産)も設定される。日本でフレンチMPV三つ巴の戦いが勃発だ!
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