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三菱アウトランダーPHEV試乗 三菱「自信作」の出来栄えは? フォレスターと比較

掲載 更新 25
三菱アウトランダーPHEV試乗 三菱「自信作」の出来栄えは? フォレスターと比較

EVこそ四輪トルク制御に最適?

四輪駆動車といってもさまざまな機構やシステムがある。

【画像】走りのSUV【アウトランダーPHEVとフォレスターを比較】 全150枚

最近は、EV(電気自動車)の量産化が急速に進む中、エンジニアの間では「EVこそ四輪のトルク制御に最適だ」という声が広がっている。

そうした中、三菱が2021年12月16日に発売した新型「アウトランダーPHEV」の走りが凄いと、ユーザーの間ですでに評判になっているという。

テレビCMでも、80年代から90年代にかけて三菱の黄金時代を築いた「パジェロ」から、WRC(世界ラリー選手権)で王者となった「ランサーエボリューション」へ、そして大手自動車メーカーとして初めてグローバル向けに大量生産・販売した「アイミーブ」に転じて、最終的に新型アウトランダーPHEVへと化ける様子が緻密なコンピュータグラフィックスで描かれている。

そこまで言い切れるほど、新型アウトランダーPHEVの走りが凄いらしい……。

ちょうど、2022年1月中旬に新型アウトランダーPHEVの報道陣向け試乗会が千葉県内で開催されたのだが、単に試乗するというだけではなく、四駆の楽しさを再認識するために、スバル「フォレスター」スポーツを連れ出して比較をしてみた。

フォレスター・スポーツはハイブリッド車ではないが、四駆を真骨頂とするスバルで最もスポーツ性が高いSUVということで、あえて比較対象とした。

三菱の試乗会へフォレスターで

フォレスター・スポーツに乗って、千葉県内のオフロードコースに到着した。

早速、三菱関係者に事情を説明してから、2車対決の雰囲気を出すために、互いのフロントマスクを突き合わせてみた。

「威風堂々」をキャッチコピーとする新型アウトランダーPHEVは、さすがに顔の押し出し感が凄い。

フォレスタースポーツに比べると、ボディ全体が筋肉質感が強い。

ラグジュアリー感がいっぱいのインテリアをカラダ全体で感じながら、パワートレインをオンにする。

注目は、ドライブモードの設定だ。ノーマル、エコ、パワーに加えて、路面状況に応じてターマック(舗装路)、グラベル(未舗装路)、スノー、そしてマッド(深い泥地)の7つから選ぶのだ。

三菱側から、まずは「グラベルでどうぞ」と指示された。

さぞかし、がっつりとした走り出しかと思いきや、なんだかとっても軽快だ。

コース内では単独走行だったので、ややペースを上げてみたが、とにかくクルマ全体がよく動き、動いたあとの収まりがとても良い。

外観イメージと比べて、ひとまわり、いやふたまわり小さいクルマを操っているような感覚だ。

それから、「あれ」を試してみたが、まさに三菱が絵に描いたイメージそのままにクルマ全体が動く。 

「あれ」とは……。

「三菱らしい」走りとは?

事前に公開された広報資料の中に、車両運動統合制御システムS-AWCによるコーナーでのクルマの旋回イメージ図がある。

一般的には、未舗装路面や雪道など滑りやすい路面ではコーナーへの進入はおとなしめにして、早めにコーナーのイン側に入り、しっかりとしたスムーズな定常旋回をおこなうとしている。

それに対して、アウトランダーPHEVでは、コーナーの各所でクルマの鼻(前方)がコーナーの脱出方向へ積極的に向いていくイメージ図としている。

積極的にドリフトしているようなイメージにも見えてしまう。

そこで、実際にコーナー進入速度を適宜として、あえてアクセルを踏み込んで積極的にコーナーを攻めてみると、クルマのリア側が実による回り込んでくれる。

グラベルの次に、マッドでも走ったが、上り坂の急コーナーでも一気にトラクションがかかりながらリアがよく回り込むのが分かる。

試乗後に、筆者の旧知であり、パリダカ優勝など輝かしい経歴がある増岡浩氏と話をしたが、「他社の四駆にはない、三菱らしい走りを目指して、あえてこうした思い切った走り味に仕上げた」と、開発の舞台裏を教えてくれた。

たしかに、スバルでいえば、WRXならば攻めの四駆になるが、SUVのフォレスター・スポーツでは、絶対的な出力差あるとはいえ、もっと安定志向のセッティングだ。

メカメカしいフォレスターの走り

オフロード走行後、舞台を市街地に移したが、ドライブモードをターマックにすると、以前に試乗した「エクリプス・クロスPHEV」のように、クルマ全体が一気に引き締まった感じに豹変する。

三菱のエンジニアによれば、新型アウトランダーPHEVはエクリプス・クロスPHEVと比べると、リアのヨー方向など制御系でアップグレードされているという。

また、他社の四駆ハイブリッド車や四駆プラグインハイブリッド車と比べると、モーターの最大出力がフロントよりリアが大きく設定してあり、これによって三菱らしい、リアの旋回を積極的に行う走り味が実現できている。

こうして新型アウトランダーPHEVの独特の走りを楽しんだ後、フォレスター・スポーツにヨコハマ・アイスガード7を装着して雪国を目指した。

水平対抗エンジンによるシンメトリカルで低重心、この基本構造を準じた安心安全な走りがフォレスター・スポーツの狙いだ。

メカメカしいこの走りも、実に楽しい。

トラクションコントロールのX-MODEは、40km/h以下を想定したシステムである。

新型アウトランダーPHEVとフォレスター・スポーツ、価格帯もパワートレインシステムも違う2モデルだが、こうして比較してみると、ドライバーが抱く楽しい四駆という観点では共通点があるように感じた。

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