2012年に登場した「マツダ CX-5」は、発売当初から大きな人気を集め、2012年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど高い評価を受けました。2017年には2代目へとフルモデルチェンジし、さらにデザインや走りを進化させたCX-5は、まさにマツダの大黒柱というべきモデルです。
一方、3月9日に欧州で発表された「CX-60」は、新世代のFRプラットフォームを採用したマツダのラージ商品群の第1弾となるモデルです。日本仕様については4月上旬に公式発表される予定ですが、今回は欧州で発表された情報をもとに、CX-5とCX-60をいち早く比較検証してみたいと思います!
>>マツダ CX-5のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる
マツダ初のPHEV! さらに新型ガソリン&ディーゼルエンジンも追加へ!
現在のマツダには「CX-3」「CX-30」「CX-5」「CX-8」「MX-30」と多くのSUVがラインナップされていますが、その中で2021年の販売台数が最も多かったのがCX-5です。
2012年に初代が発売されて以来、流麗なデザインと「人馬一体」のハンドリング、そしてコストパフォーマンスに優れるクリーンディーゼルエンジンを採用している点などを強みに、毎年安定した販売台数を記録しているCX-5ですが、一方でユーザーからはより上級のSUVを求められていたのも事実です。
マツダの最上級SUVとしては3列シートを備えたCX-8がありますが、基本的にはCX-5のロングホイールベース版であるため、「トヨタ ハリアー」のような国産高級SUVや、輸入車勢への対抗馬としては力不足感が否めませんでした。
そんな中、マツダは2022年以降に「ラージ商品群」と呼ばれるより大型で上級のSUVを国内外へ投入していくことを発表しました。そして今回、欧州でいち早く発表されたCX-60は、欧州のみならず日本でも発売されることが予定されている、「ラージ商品群」の第1弾です。
1900mm近いボディ幅、PHEVモデルは327PSの力持ち
CX-60の日本仕様については4月上旬に発表されるとアナウンスされていますが、まずは欧州仕様を見てみましょう。
CX-60のボディサイズは全長4745×全幅1890×全高1675mmと、CX-5の全長4545×全幅1840×全高1690mmと比べて、前後左右にひと回り大きくなっています。特に1890mmという全幅は国産車としては最大級で、マツダらしい優雅なデザインを演出するのに一役買っています。
また、マツダ初のプラグインハイブリッドである「e-SKYACTIV PHEV」が用意されていることもCX-60の大きな特徴です。欧州仕様のCX-60に搭載されている2.5L 4気筒エンジンとモーターの組み合わせは327PSの最高出力を発揮し、1980kgという巨体を楽に動かすことが想定されます。
CX-5には、2Lと2.5Lの4気筒ガソリンエンジン、2.5Lの4気筒ガソリンターボエンジン、そして2.2Lのクリーンディーゼルエンジンという4つのパワートレインが用意されていますが、最も最高出力の大きい2.5L 4気筒ターボエンジンでも230PSであるため、車重の差を考慮しても、CX-60はかなりパワフルなモデルと言えるでしょう。
新開発の直列6気筒ガソリン&ディーゼルエンジンやマイルドHVも
組み合わされるトランスミッションは8速AT。6速ATのCX-5に比べて、より効率的なシフトチェンジを可能としている一方で、CX-5には設定されるMT仕様の設定はありません。
プラグインハイブリッドであるCX-60は、カタログ値(WLTPモード)で63kmのEV走行が可能な点がCX-5に対する大きな強みです。EV走行分も含めたカタログ燃費は66.7km/Lとなっており、12.2km/L~19.4km/LというCX-5のカタログ燃費と比べて大きく上回ります。
また、詳細なスペックは公表されていませんが、CX-60には3Lの直列6気筒ガソリンエンジンの「e-SKYACTIV X」と、3.3L直列6気筒クリーンディーゼルエンジンの「e-SKYACTIV D」も追加される見込みです。いずれもCX-5に搭載されているものよりも、よりパワフルなものになると見られています。
さらに、この2つの直列6気筒エンジンには、マツダとしては初となる48V マイルドハイブリッドシステムが搭載されることが明らかになっています。回生ブレーキによって充電されるこのシステムは、高い燃費性能に加えて、進化した「人馬一体」感を作り出すのに貢献しているとマツダは説明しています。
最新機能が充実のCX-60はSUVとしての能力も一枚上手
パワートレイン以外にも、CX-60には最新の機能や装備が多く備わっています。その中でもマツダが強くアピールしているのが「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」です。
これは、3つの機能で構成されています。1つ目は、車内に設置されたカメラによってドライバーの目の位置を検出することで、ドライバーの身長を推定し、シートやステアリングホイール、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ドアミラーなどを自動的に調整する機能。
2つ目は、自動的に調整されたそれらの運転ポジションデータを最大6名分保存し、運転するドライバーごとに自動的に設定を呼び出すという機能。
そして3つ目は、シートやステアリングホイールが自動的に動くことで、ドライバーの乗車および降車がスムーズに行える機能です。
このシステムは、ドライバーにとって便利なものであることはもちろん、適切なドライビングポジションでの運転をうながすことで、運転時のドライバーの負担を減らし、快適かつ安全な移動をサポートするという側面もあります。
次世代の360°モニターやACCも装備。PHEVのけん引能力は2500kg!
ほかにも、低速時の視界を拡大させた次世代の360°モニターである「シー・スルー・ビュー」や、標識から制限速度を認識する機能を追加したアダプティブクルーズコントロール(i-ACC)、そして後方から接近する人や車両を検知するBSMといった機能が、マツダ車として初めて採用されています。
また、SUVとしての機能も、CX-5に比べて大きく強化されています。滑りやすい荒れた路面を下る際の走行をサポートする「ヒル・ディセント・コントロール(HDC)」がマツダ車として初採用されたことに加え、プラグインハイブリッドモデルは2500kgものけん引能力をもっています。
2020年には、CX-5にもトレーラーヒッチ(けん引するためのフック)が純正アクセサリーとして設定されていますが、けん引能力は750kgとなっています。日本の免許制度では、普通免許でけん引可能なのは750kgであるため、CX-60のけん引能力を活用する機会はそれほど多くないかもしれませんが、CX-60の優れた能力を表していると言えます。
「CX-60のエントリーグレード」を選ぶか、「CX-5の最上級グレード」を選ぶか
さて、これまでのマツダのSUVと比べて、よりプレミアムなモデルとなっているCX-60ですが、その分車両価格も高くなることは間違いないようです。
すでに価格が公表されている英国の例を見ると、エントリーグレードの「エクスクルーシブ・ライン」が4万3950ポンド(約670万円)、上級グレードの「ホムラ」が4万6700ポンド(715万円)、最上級グレードの「タクミ」が4万8050ポンド(735万円)となっています。
これはかなり割高なようにも見えますが、実は英国での価格は付加価値税などが含まれているため、日本と比較して2割程度高額になることが一般的です。
実際、国内のマツダ販売店によると、CX-60の車両本体価格はおよそ400万円台~になることが濃厚なようです。プラグインハイブリッドモデルは、最大で100万円程度の補助金や税制優遇が得られることから、乗り出し価格は300万円台後半から400万円台中盤になると予想されます。
CX-5の最上級グレードの乗り出し価格が400万円程度であることを考えると、400万円前後の予算で「CX-60のエントリーグレード」を選ぶか、「CX-5の最上級グレード」を選ぶかという比較検討が行われることになりそうです。
最新の装備はもちろんですが、CX-60の魅力は、やはり日本車離れした堂々たるデザインと新しいプラグインハイブリッドシステムです。1900mm近い全幅は、都市部に住むユーザーにとってはやや気を使うものですが、その点を除けばデザインの面でも居住性の面でもCX-5をしのぐものと言えます。
一方のCX-5は、扱いやすいサイズ感と多彩なパワートレイン、そして何よりもコストパフォーマンスの良さが魅力です。もし現時点で多くの人にオススメの1台を挙げるなら、「ちょうど良さ」を多く持つCX-5に軍配が上がるかもしれません。
しかし、CX-60を皮切りに、マツダは今後も「ラージ商品群」を拡充することを発表しています。現在明らかになっている範囲では、3列シートを備えたCX-80が日本へと導入される予定です。CX-80は、CX-60のロングホイールベース版になると見られますが、これらの上級モデルが出揃うと、マツダのブランドイメージはさらに高まってくるかもしれません。
レポート:Peacock Blue K.K.
※写真:
1~7枚目:マツダ CX-60
8~14枚目:マツダ CX-5
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EV航続距離が63キロとアウトランダーの80より劣るし、何よりも金太郎飴量産イメージのマツダはそれよりは安くしないと