日産自動車は2016年12月5日無人牽引車(リーフ)で搬送するIntelligent Vechel Towingを日産追浜工場に導入したことを発表し、報道陣にデモンストレーションを披露した。
専用に改良した無人自動運転システムを電気自動車のリーフに搭載し、工場からの完成車両を専用の埠頭まで、台車をけん引しながら搬送するシステムだ。
地図や通信などの技術を活用し、電動化。知能化されたクルマとインフラをつなぐことにより、新たな価値を創造するもので、日産の掲げる「ニッサン・インテリジェント・インテグレーション」の実現に向けたアプローチと位置付けている。
ベース車両はリーフで、高精度な地図情報と2つのカメラ、4つのレーザースキャナーを搭載し、また、車輪速ジャイロ、管制システムも採用しながら運用される。
車両は追浜工場敷地内を約1.4kmけん引搬送される。完成車両はライン出荷から専用台車に乗せられ、専用埠頭まで一度に3台を乗せてけん引する。ちなみに、台車にはハイキャス技術が採用され、四輪操舵とすることで内輪差をなくす工夫がしてある。
行内を制限速度30km/hで無人自動走行し、白線、縁石、障害物などの情報と地図データを組み合わせて、自車位置を正確に把握することで自動走行する。先行車両や人に接近した場合には、自動で停止し一定以上の距離が確保されると自動で再スタートする。また、牽引車同士の進行ルートが交差する場合は、管制システムより、優先順位を指示されようになっている。
現在は自動運転車両が2台で運用されており、1セット500台の搬送(8時間稼働)を目標に1000台/日まで引き上げていく予定だという。そのためには7台程度の専用リーフが必要になるという。
この無人搬送システムの狙いは、将来における労働人口の減少によるドライバー不足を鑑みていることや、CO2排出削減という狙いも合わせて持っている。もちろん、2018年導入目標であるレーンチェンジを含む自動運転、2020年導入目標の市街地での自動運転に向けてのデータ活用であるいことは言うまでもない。
この試験運用は2015年6月から開始されており、延べ1.4kmのコースを1700往復する実績を重ねている。
現在このリーフに要求される性能としては、天候、日照に左右されない単独走行や、人やクルマがいる混在走行、そして電気自動車としての部分では、連続走行という性能が求められている。これらの課題をクリアしつつ運用が開始されている。
また、現在は1.4kmのコースはプログラムされているが、将来的には、高精度地図の導入やカメラ、スキャナーなどのデータ処理精度を高めることで、ナビ上の目的地設定で自動運転が可能になってくるわけだ。さらに、完成車両自体に自動運転システムが搭載されれば、工場からラインオフされた時点で、自立走行し埠頭まで自走することも可能になってくる。
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