スポーツグレードが異例の人気!! 新型レヴォーグの過半数を占める「STI Sport」。人気の秘訣はネガ払拭した「快適さ」にもあり!?
初めてのフルモデルチェンジ。2代目となった新型レヴォーグのグレードの中でも全体の約57%を占めて大人気なのがSTI Sport(EX含む)だ。
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だろうね! というのが筆者の印象。JARI、袖ヶ浦フォレストレースウェイと2度の試乗を経験して、筆者的に欲しいと思ったグレードがやはりSTI Sportだったからだ。それも最新バージョンのアイサイトXを搭載したSTI Sport。
スバルの現行ラインナップの中には新型レヴォーグの他にインプレッサ、WRX S4にもSTIスポーツが設定されているが、今度のレヴォーグSTI Sportは一味違う。では何が異なるのか? 試乗レポートとともに解説しよう。
文/松田秀士、写真/池之平昌信
【画像ギャラリー】エンジンルームやコンソールなど本文未掲載写真も 普通のスバルとひと味違う! 新型レヴォーグSTIスポーツ
■新型レヴォーグSTIスポーツの秘密は足回りにあり!
新型スバル レヴォーグ STI Sport
まずボディは「フルインナーフレーム構造」という手法を採用。
プラットフォームは、インプレッサやフォレスターと同じSGP(スバルグローバルプラットフォーム)だが、先にインナーフレームを構成させ、外板パネルを後から接合させる制作手法や構造用接着剤を拡大させ樹脂リンフォースを採用。ねじり剛性が先代に対して+44%向上している。
実際に新型レヴォーグをドライブしてすぐに感じるのがそのボディのカッチリとしたしっかり感。室内静粛性が格段にアップしているから余計にそう感じるのかもしれないが、ボディはスチール製だから必ずどこかが捻じれるはずなのに、全くと言って良いほど歪みを感じさせない。
インナーフレームの強化によりねじれ剛性を向上させた
このことは袖ヶ浦フォレストレースウェイで限界域を超えてアタックしているときにも感じることで、それゆえにこれまで以上にサスペンションの動きを感じ、捉えて、コントロールすることができるようになった。
で、そのサスペンションの動きというところがSTI Sportのポイント。他のレヴォーグのグレードにはない、しかもスバル初採用となる「可変減衰力電子制御ダンパー」を採用しているのだ。
このダンパーのサプライヤーはメルセデスなど広く欧州スポーツ車にも採用されるZF社だ。とはいえ優秀なダンパーをポンと付けただけでクルマの性能が上がるわけではない。
そのためのインナーフレーム構造であり、構造用接着剤であり、サスロングストローク化(前:25%、後:5~10%)なのである。そして、この可変ダンパーの制御を含めた総合的プログラムが、ドライブモードセレクトだ。
■選べる足回り設定でレヴォーグのネガだった硬い乗り心地を払拭
5つのドライブモードで駆動系や安全装備などをプログラミングする
ドライブモードセレクトはCOMFORT、NORMAL、SPORT、SPORT+、INDIVIDUAL(お好み設定)の5つのドライブモードで構成されている。
それぞれのモードによってプログラミングされるのはSI-DRIVE(i、S、S#)、パワーステアリング、ダンパー、AWD、アイサイト(ACC)、エアコンの6種類だ。INDIVIDIALはこの6種類を自由に組み合わせることができる。
特にここで注目なのがこの可変ダンパー。可変ダンパーそのものにはComfort、Normal、Sportの3段階の減衰力特性があり、ドライブモードによって変更される。
このドライブモードがNORMALとSPORTの時に可変ダンパーはNormalの減衰力で、SPORT+にセットすることで可変ダンパーも最強のSportになる。そしてCOMFORTは可変ダンパーが最も緩いComfortに設定されるのだ。
ドライブモードでプログラミングされる機能の中で特に注目なのが電子制御の可変ダンパーだ
このなかで筆者が最も注目したのがCOMFORTモード。レヴォーグの乗り心地はこれまで硬かった。初期モデルは驚くほどの硬さだったが、年次改良などでスムーズ化されてきた。それでもアジリティ(編注:軽快さ、機敏さなどの意)などスポーツ性を重視して比較的硬めのサスが売りだったのだ。
しかし、今回設定されたCOMFORTモードは恐ろしくソフトで快適だ。サスペンションストロークを長くしたことと相まってかなり快適。ロールもステアリングを切り込むと同時に意外に速くサスペンションがストロークする。
ただ、ロールしきったとき、コーナリング中のタイヤがべったりと路面に吸い付くような安定感が支配し、全く不安感がない。つまり、乗り心地優先のCOMFORTモードでもコーナリングが楽しめるのだ。2ピニオン電動ステアリングの採用もこの正確なステアリングワークを可能にしている。
■最もスポーティな設定では高レベルなハンドリング実現
制御されたソフトと強化されたハードで本格的な走りが楽しめる
そして注目はフルハードとなるSPORT+モード。
しっかりとした腰のあるダンピングに変化し、ロールの速度が遅くなるので転舵したフロントタイヤの変形が早まり、そのぶん操舵に対する応答性が速くなる。インナーフレームによる剛性アップと2ピニオン電動ステアリングの手応えをしっかりと感じる瞬間だ。
ダンピングのストローク特性が変化するだけだから最終的なロール量は変わらないのだが、そこに至る速度が遅くなるから(特に伸び側)、感覚としてロールを感じにくくなり、ロール角が少なくなったように錯覚する。
これによって袖ヶ浦フォレストレースウェイの第2コーナーを全開で加速しながら120km/h以上の速度で駆け抜ける。
モードの変更やプログラムの組み合わせ変更で安定したコーナリングが味わえる
またESC(横滑り防止装置)をオフにしてコーナーへの飛び込みをチャレンジしたのだが、ブレーキングを残しながらのコーナー進入で実にゆっくりとリアが流れ始める。
アンダーステアな予感はなく、どこまでもフロントタイヤはフロントのグリップ感をステアリングにフィードバックしている。AWDの制御も適切だから、リアがスライドしてもコントロール性を維持したまま思い通りのラインをトレースできた。
もっともESCをオンにしていれば滑ることなく安定したコーナリングが可能。オフにしたのは素の特性がどうかということで、ここでアンダーやオーバーでは素性が問われるのだ。
■素性の良い新型レヴォーグのなかでも光るSTIスポーツの熟成した走り
レヴォーグの素性がいいのはもちろんだが、STI Sportはさらに厚みのある熟成モデルだ
新型レヴォーグは明らかに素性が良い。それはSTI SPORTではない他のコンベンショナルなダンパーを装備したグレードでも同じような特性だったから。
新型レヴォーグに試乗して感じるのは、これまでの車格を2ステップほど一気に駆け上がったような質感だ。
エクステリア/インテリアのデザイン的質感だけでなく、室内静粛性や走行時の安定感、さらにコーナリングの落ち着き感といったトータルなキャラクターが引き上げられた。
STI SPORTと他のグレードとの違いは乗って走らせればわかる。他グレードも質の高いモデルに成長したが、STI SPORTはさらに厚みのある熟成モデルだ。
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