セダンやミニバンよりもSUV
text:AUTOCAR UK編集部
【画像】幸せを運ぶSUV【各モデルを写真で見る】 全125枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
優れたファミリー向けSUVをご紹介する。学校の送り迎えはもちろん、滑りやすい冬の路面や多少起伏のある地形、旅行、牽引、長距離走行にも対応できるクルマだ。
中~大型のSUVは、デザイン、安全性、広さが最優先事項であると同時に、7人乗りモデルが必要とされることも多い、戦略的に重要なクラスである。ミニバン(MPV)市場を衰退させつつ、今後も成長し続けると予想されているため、メーカーも開発に力を入れている。
さまざまな自動車ブランドが参入しており、SUV市場はとても多種多様だ。税制面で優遇されるプラグイン・ハイブリッド車も数多く展開されている。
今回は、選択肢が豊富に用意されている欧州のSUVをランキング形式で取り上げる。
1. アウディQ5
アウディQ5のような、上品なオールラウンダーの欠点を挙げるのは難しい。ハンドリングには刺激がなく、走る楽しさを追求するドライバーにはやや物足りないポイントだろうが、先代モデルと同様に販売面で大いに成功している。先代モデルは、ほぼすべての国で同クラスのベストセラーとなった。
高価なモデルではあるが、実用的かつ魅力的なクルマであり、走りの洗練度やインテリアの質感も優れている。また、実用性よりもスタイルを重視したSUVを好むユーザー向けに、クーペスタイルのスポーツバックも導入されている。
Q5は、2020年にマイナーチェンジを受けており、燃費性能を高めたマイルド・ハイブリッドエンジンや新しい車載システムが導入されたほか、フロントグリルのデザインも改められた。
売上の中心となっている40 TDIは、この改良で14psのパワーアップを果たし、快適性とパフォーマンス、そして運転のしやすさを兼ね備えたファミリーカーとして、その地位を確かなものとしている。
電気モーターと2.0L 4気筒ターボを組み合わせた50 TFSI eは、約300psを発揮するが、55 TFSI eでは400ps近くまで向上している。電気のみの航続距離の延長とCO2排出量の低減を実現し、環境性能も十分なものとなっている。
2. ランドローバー・ディスカバリースポーツ
ディスカバリー・スポーツは、ランドローバーの中では入門モデルの部類に入るものの、ブランドのトレードマークである走破性、快適性、魅力が欠けているわけではない。
2019年にマイナーチェンジされたディスカバリー・スポーツは、レンジローバー・イヴォークと同じPTAプラットフォームを採用している。乗り心地が良く、優れた視界と4WD性能を備え、頼りがいのある運転感覚を持ちながらも、ハンドリングはしっかり整えられていて好印象だ。
インテリアは実用的で、7人乗りであることが大きなセールスポイントとなっている。また、ランドローバー最新の車載システム「Pivi」が搭載され、プレミアム感を高めている。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンには、燃費向上のために48Vマイルド・ハイブリッドシステムが採用されている。プラグイン・ハイブリッドのP300eは、非常に長い航続距離を誇る。
クラス平均を上回る多用途性とオフロードでの堅牢性を備えたファミリー向けSUVを求めるなら、ディスカバリー・スポーツはとても有力な選択肢だ。
3. BMW X3
BMWがSUVを作るようになるまで、上品で扱いやすいSUVというのは馬鹿にされがちなアイデアだった。
X3には、十分なパフォーマンスを備えたパワートレインが搭載されている。ディーゼルはやや洗練性に欠けるが、上位モデルのM40dとM40iは、スピーディーかつスムーズだ。
プラグイン・ハイブリッドのX3 xドライブ30eは、アダプティブ・サスペンションが装備されていないため、ダイナミクスの面では同クラスのライバルに劣るものの、快適に気持ちよく走ることができる。ただし、同クラスのプラグイン・ハイブリッド車の中では航続距離がかなり短いため、燃費はさほど期待できるものではない。
総合的に見て、先述のアウディQ5やディスカバリー・スポーツとの差はわずかだ。グレードによっては標準装備が少々貧弱なものもあるが、質感はライバルよりも高く、乗り心地も申し分ない。
4. ジャガーFペイス
Fペイスは、ジャガー初のSUVとして2016年に登場した。優れたハンドリングと十分な室内空間を持ち、後続のEペイスに抜かれるまで、同社のベストセラーモデルに君臨していた。
細かいところを見ると、せっかくのドライビング・エクスペリエンスを損なうものがある。例えば、特徴のない4気筒ディーゼル・エンジン、違和感のあるオートマチック・トランスミッション、ぎこちない乗り心地などが挙げられる。
しかし、2021年に実施されたマイナーチェンジで、魅力は大きく向上した。優れた内装材と最新の車載システムが採用されたほか、トルクフルな6気筒のマイルド・ハイブリッド・ディーゼルとプラグイン・ハイブリッド・ガソリンが追加された。街乗りと長距離走行のバランスを考慮すると、やはりD300ディーゼルがお勧めだ。
また、V8エンジンを搭載したドラマチックなパフォーマンスモデル、SVRは見事なまでの完成度を誇っている。
5. スコダ・コディアック
スコダは高級車ブランドではないが、コディアックはファミリー向けSUVとして大きな魅力を備えたモデルであり、比較的お手頃な価格設定も人気の理由の1つである。
インテリアには高級感のある素材が使われ、うまくまとめられていると感じる。上位4台と比べると、ハンドリングと乗り心地には劣るものの、やはり3列シートの実用性は見逃せない。
ドライバーとの距離感が遠いことを除けば、ほとんどの点で印象的なクルマである。足回りの改良を行えば、走りの課題は簡単に解決されるだろう。
6. メルセデス・ベンツGLC
6位以降は、ハンドリング性能が。
メルセデス・ベンツGLCは、充実装備の上質なインテリアを備えており、トップ10に入るにふさわしいモデルではあるが、ステアリングに面白みがない。標準のスチール・コイル・サスペンションではメルセデス・ベンツの穏やかな乗り心地を味わえないため、ベースモデルはお勧めしにくい。
しかし、オプションのエアサスペンションを装着すれば、このクラスで最も優れた快適性を手に入れることができる。
ガソリンと電気のプラグイン・ハイブリッドであるGLC 300e、同じくディーゼルと電気のGLC 300de、そしてパフォーマンス志向のGLC 63と、それぞれ味わいの大きく異なるラインナップとなっている。検討する価値ありだ。
7. アルファ・ロメオ・ステルヴィオ
アルファ・ロメオは、ジュリアのプラットフォームとエンジンを流用し、車高を上げ、4輪WDシステムを搭載し、ステルヴィオという名の優れたSUVを生み出した。
卓越したハンドリングと映画スターのようなルックスを備え、力強くも荒々しいディーゼルエンジンも搭載されている。残念なことに、アルファ・ロメオがハンドリングを重視した結果、乗り心地はやや落ち着きを失ってしまった。インテリアもジュリアと同様に地味で安っぽく感じられる。
2020年に行われたフェイスリフトでは、この点がわずかに改善され、新しい車載システムや運転支援機能の向上を図ったが、それでも改良前との違いを見分けるのは至難の業だ。価格としては、3年前の発売時ほどではないにしても、それなりに魅力のある設定になっている。
走りに熱心なドライバーのための1台であることは間違いないが、ダイナミズムに関心のないSUV愛好家には向かないかもしれない。
8. ボルボXC60
XC60は2017年の発売時、ユーロNCAPの衝突安全テストで非常に高く評価された。堅実かつハンサムな、ファミリー向けSUVの代表例だ。走りは少々退屈だが、洗練された快適で使いやすいファミリーカーとして、お勧めできる点がたくさんある。
全モデル電動化されており、Bシリーズの48Vマイルド・ハイブリッド・システムは燃費とCO2排出量に貢献しているが、より低コストでの走行が可能なのはT6とT8リチャージだ。プラグイン・ハイブリッドだが、航続距離はライバル車ほどではない。
9. セアト・タラッコ
タラッコは、セアト初のフルサイズSUVでありながら、なかなかイケている。
フォルクスワーゲン・グループの下、スペインのセアトブランドから販売されているタラッコは、スコダ・コディアックとほぼすべての部品を共有している。コディアックと異なるのは、全車7人乗りを標準としている点だ。
同サイズの他のSUVに比べて、シャープなハンドリングを持っているが、その分快適性を犠牲にしているようにも思える。この類のクルマでは、快適性と洗練性をより重視すべきだと思う。しかし、インテリアの仕上げは良く、ガソリンとディーゼルは素晴らしく洗練されている。また、価格的にもかなりリーズナブルな設定だ。
10. キア・ソレント
ソレントは、2002年に登場した当たり障りのない箱型の初代モデルから、大きく進歩している。デザイン的な魅力だけで言えば、4代目となる新型ソレントは、同サイズの高級SUVと肩を並べるだけの力を持っている。
広々としたインテリアと7人乗りのレイアウトにより、このリストの中で最も広く、実用的で、多目的に使えるクルマの1つである。価格も手頃で、欠点はほとんどないように見える。
しかし、搭載されているハイブリッド・パワートレインは、日常的な運転で期待されるような燃費向上は望めないし、動力性能もごく平均的だ。長距離クルーズでは十分な快適性があるものの、少し荒れた路面に入ると、特にボディコントロール、乗り心地、ステアリング・フィールなどが気になってくる。
とはいえ、実用的で装備が充実した、運転しやすい低価格ファミリーSUVとして、大いに魅力がある。ディーゼルエンジンは洗練されており、プラグイン・ハイブリッド車はライバルよりも運転しやすい。
このリスト上で最もコンサバティブな選択になると思うが、決して悪いことではない。
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みんなのコメント
どれも日本では売ってないやつと、日本では金満ファミリー向けSUVだけだった記事
さすがに取り柄は安さのみ
英国での評価は安定しています