この記事をまとめると
■クロカンの最高峰「ジープ・ラングラー」の歴史を紐解く
いま日本でバカ売れの「ジープ」! なかでもタフっぷり全開の「ラングラー」ってどんなクルマ?
■軍用車をベースとした市販モデルがラングラーのルーツだ
■ラングラーの車名は1987年から始まっている
世界最強クラスの4WDマシンを振り返る
ルーツを辿ると第二次世界大戦中の1941年に生まれた軍用車に行き着くという、長い系譜を誇るジープ・ラングラー。くわしくない人が見ればすべて「ジープ」かもしれないが、クルマ好きであれば形式名とともに、進化の過程を覚えておきたいものだ。
もともと軍用車として第二次世界大戦中に送り出された頃は、メーカーはウィリス、形式名はMAやMBだった。ミリタリーユースのタイプA、タイプBが名前の由来だ。それが戦後、民生用に生まれ変わったときに、シビリアン・ジープの略でCJになった。
ジープという名前もこのとき与えられたが、大戦中からその呼び名は兵士の間では一般的になっていたそうだ。このクルマの軍用車両でのカテゴリーGP(ジェネラル・パーパス)が語源と言われる。それをウィリスが商標登録したのだ。
CJはプロトタイプの1と2が作られたあと、市販型CJ-2Aが登場。その後3、5、7と進化した。ロングボディの6と8、オーストラリア向けピックアップの10もあった。CJ-4は5のプロトタイプとして1台だけ作られたという。
エンジンは当初のCJ-2Aでは、MBから受け継がれた2.2リッター直列4気筒だったが、CJ-5の頃には直列とV型の6気筒、そして5リッターV8も積まれるようになった。
その間、メーカーはウィリスがカイザーに吸収され、そのカイザーはナッシュやハドソンを母体とするAMC(アメリカン・モーターズ・コーポレーション)の一部になるという動きを経て、1987年にクライスラーがAMCを買収。この年CJがYJにモデルチェンジし、ラングラーという車名も与えられた。
4ドアモデルの登場で日本でもブームに
特徴はなんといっても角形ヘッドライト。当時は日本車を含めて角形がトレンドだったので、チェロキーXJ型などに続いて取り入れたようだが、否定的な意見が多かったと記憶している。エンジンは直列の4気筒と6気筒に整理された。
その10年後に生まれた2代目ラングラーがTJ。ヘッドライトが丸目に戻った一方、サスペンションのスプリングが板バネからコイルになり、快適性を大幅に高めた。走破性をさらに高めたルビコンが登場したのもこの世代だ。
2007年にデビューした3代目ラングラーは型式名がJKと、初めてJが前にきた。これはチェロキーではXJとKJ、グランドチェロキーではZJやWJが使われ、文字の残りが少なくなったからだろう。最初にこの並びを使ったのは2005年デビューの3代目グランドチェロキーで、WJからWKになった。ラングラーはジープのアイコンであることからJKとなったようだ。
この世代ではなんといっても、4ドアのアンリミテッドが登場したことがニュース。先代TJにもアンリミテッドはあったが、2ドアのロングホイールベース版だった。初の4ドアということで、日本で大幅に販売台数を増やした。エンジンが直列6気筒からV型6気筒に変わったことも特筆される。
2020年に発売された現行型はJL。こちらもKを使った車種が多くなったためで、ラングラーの前に現行チェロキーがKLとなっている。この代ではラングラー初のダウンサイジングターボが2リッター4気筒で登場したことが特筆されるが、海外ではこのエンジンを用いたプラグインハイブリッド仕様もある。
この方式でいけば次はJMになりそうだ。そしてMのあとにもアルファベットが13個残っているので、形式名と新型が登場するペースを考えれば、あと1世紀以上ラングラーは生き続けることができることになる。
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