現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【インプレ】ヤマハ「テネレ700」(2021年)アドベンチャーというよりビッグオフ? 走破性の高さが頼もしい!

ここから本文です

【インプレ】ヤマハ「テネレ700」(2021年)アドベンチャーというよりビッグオフ? 走破性の高さが頼もしい!

掲載 3
【インプレ】ヤマハ「テネレ700」(2021年)アドベンチャーというよりビッグオフ? 走破性の高さが頼もしい!

2020年にテネレの名を復活させたミドルサイズのアドベンチャーモデルがテネレ700。パワフルでトルクフルな特性を備える、MT-07系の270度クランクを採用した688cc水冷並列2気筒エンジンを中核に、軽量で強靭なボディ、ストロークの長い前後サスペンションを組み合わせて、オフロードでの高い走破性を実現。アクセサリーパッケージモデルとして、ローシートとローダウンリンクを装着、シート高を38mm下げたテネレ700Lowも用意される。
文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行

ヤマハ「テネレ700」インプレ・解説(濱矢文夫)
ロードスポーツのエンジンをベースにまったく異なる個性に昇華

2021年の人気バイク ランキングTOP10|JAPAN BIKE OF THE YEAR 2021結果発表

もしあなたがオフロードを走ることを楽しんでいるなら、もしくはこれから積極的に不整地に飛び出して楽しみたいと思っているなら、このテネレ700は最良の友になるだろう。

現在、広い意味でアドベンチャーとはデュアルパーパスツーリングモデルのことを言っている。しかし本来の意味ではアドベンチャー=冒険だ。パリ・ダカールラリー(今のダカールラリー)で道のない砂漠を駆け抜けたレーシングモデルにルーツがある。そんなことをあらためて思わせてくれる機種だ。

MT-07の水冷DOHC並列2気筒エンジンをダブルクレードルフレームに積んで、フロント21インチ、リア18インチのオフロード車定番のワイヤースポークホイールにチューブの入ったタイヤを履く。成り立ちからだけでなく、メーカーも最初からオフロード走行性能をアピールした。

正直に言うけれど、専用設計ではない上下方向に長いオンロードモデルからの流用したエンジンを使って、いくら特性を変えたとしてもオフロードバイクとしてどうなんだろうという気持ちが乗る前にはあったが、結果としてそんな心配はいらなかった。

公道を乗ることができるオフロードバイクをトレールモデルやオン・オフモデルと呼び、軽い250cc以下の排気量が主流。これは明らかにそれらより重量はあるけれど、生半可な250トレールよりオフロード走行性能は高い。210mm、200mmと、本格派なホイールトラベルがある前後サスペンションに最低地上高は240mmを確保。もうこれだけで、優れた走破性が想像できてしまう。

ちなみに昨年惜しまれつつカタログ落ちになった、同じヤマハの名車、セロー250のホイールトラベルは225/180mm。最低地上高は285mm。比較すると2気筒688ccがどれだけ頑張ったかがわかる。

実際にダートの道を走っているときの感覚はオフロード車そのもの。前輪にオンロードモデルのような荷重がかかっておらず、コーナーへの進入ではライダーが前に重心をかけてフォークを縮ませてやるとグリップが高まり小さくスムーズに曲がれる。

こうしていると、たとえリアタイヤがグリップを失いブレークしても怖くない。それができるライダーならボタンを長押ししてABSをキャンセルした方がいっそう振り回せておもしろさが増す。車体と外装は、ちゃんとライダーが前後に動いて荷重コントロールをしやすいカタチ。

ちょっとしたギャップで大げさに飛び上がってみても、足廻りは剛性があって、初期の沈み込みが速く、奥に向かうにつれ減衰を強めて、ビョンと勢いよく戻らないダンピングの前後サスはへこたれたところを感じさせずにショックを吸収。最初は奇妙に見えた高いところにセットしたエンジンにより重心が高く、オフロードバイク的な軽くてヒラヒラとした動きを出すことに貢献している。

もう、ここまでくると、ちょっとオフロード性能にこだわってみた、というレベルではなく、正面からがっぷり四つになって不整地走行に向き合った、ポテンシャルの高いオフロードバイクと言っても言い過ぎではないだろう。主流と言える、オンロード走行をメインに据えて、オフロード走行をある程度担保したアドベンチャーとは一線を画す。その分、シートは低くないけれど、土の上を走る楽しさを知っている人はそれに慣れているはずだ。

エンジンはMT-07とは違い、低回転域でスロットルを開けたときのトルクのクリック感がしっかりありながら、その領域でのスロットルを動作させる幅が広め、低スピードでの制御のしやすさ、ギャップなどで急に前輪の荷重を抜きたいときのスロットルアクションに応えてくれる。

テネレ700は、オフロードを基本に、遠くまで高速道路を自走して林道などにいく場合の余裕のパワーとウインドプロテクション能力を備えていると思えばいい。リッターオーバーアドベンチャーより間違いなく軽くて、自由自在に動かしたくなるサイズも絶妙。

昔から国内メーカーの中でもっともオフロードバイクに力を入れてきたヤマハらしい選択。日本市場ではニッチだけど筆者も含めて「待ってました」とこのゾーンにどハマリするライダーは確実にいる。

ヤマハ「テネレ700」各部装備・ディテール解説



フェイスデザイン

ラリーマシン風の大型スクリーンと共に、フロントマスクを印象付ける4灯式LEDヘッドライト。上側2灯がロービーム、下側2灯がハイビーム、下端にはポジションランプを配置した個性的なデザインが個性的な表情を見せる。



エンジン

MT-07用から発展した水冷並列ツインエンジン。MT同様「クロスプレーン・コンセプト」に基づいたメカニズムをベースに吸排気系などを改良し、豊かな低中速トルクと伸びやかな高回転の伸びを併せ持つ。ギアレシオなどの変更でオフロードでの楽しさとオンロードでの扱いやすさをバランス良く備える。



フロント 足まわり

Φ43mm倒立フロントフォークは210mmという長いストロークを備え、優れた接地感、ショック吸収性を備える。フロントブレーキはΦ282mmローターにブレンボ社製2ポットキャリパーを組み合わせる。オン・オフ切替え可能なABSも標準装備。フロントホイール径は21インチ、軽量スポークのアルミ製リムを使用する。



リア 足まわり

スイングアームは軽量で良好な剛性バランスを備える重力鋳造されたアルミ製。リアブレーキはΦ245mmの軽量ウェーブディスクに1ポットキャリパーという組合せ。標準装着タイヤはオフロード、オンロードでバランス良く走れるピレリ製のスコーピオン・ラリーSTR。



リアサスペンション

リアサスは専用設計のリンク式モノクロスサスペンション。減衰特性とバネ定数、リンクレシオを最適化することで、一般路での快適な乗り味とオフロードでの粘り強い特性を両立したリアサスペンションを装着。プリロードと圧側、伸側ダンピングの調整が可能なフルアジャスタブルタイプ。



ハンドル

アルミ製のワイドなテーパーハンドルバーを採用するなど、ハンドル周りはオフロード車そのものというべき造り。ハンドガードも標準装備。



メーター

縦型デザインのフル液晶多機能メーターは、強い太陽光の下でも表示されている情報を読み取りやすいように作られている。デジタル表示の速度計を中心に、バー表示のタコメーター、燃料計、使用中のギアがわかるようギアポジションインジケーターをわかりやすく配置している。



燃料タンク

コントロールしやすいスリムな造りのボディだが、それでも燃料タンクの容量は16Lを確保している。WMTCモード値で航続距離を計算すると約380kmに達する。



シート

走行状況に応じて好みのポジションを取りやすく、積極的にライダーがポジションを動かしてライディングすることができるフラットシートを採用。シートは前後別体で、リアシートはキー操作だけで簡単に取り外しが可能だ。



テールまわり

スリムなデザインのテールカウル後端に、コンパクトなLEDテールランプをマウント。純粋なオフロードモデルのような軽快なデザインだ。

ヤマハ「テネレ700」主なスペックと価格
[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]

文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行

[ アルバム : 【写真16枚】ヤマハ「テネレ700」 はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ずっと50km/hで走らなきゃだめ? 最低速度が50km/hの高速道路に最高速度規制が50km/hがかかった場合の走り方とは
ずっと50km/hで走らなきゃだめ? 最低速度が50km/hの高速道路に最高速度規制が50km/hがかかった場合の走り方とは
バイクのニュース
なぜ停止線の「めちゃ手前」で止まる? “スペース空け過ぎ”に「違反なの?」「正直ありがたい」「トラックのため」の声も! 「狭い道では助かる!?」謎の行為に反響集まる!
なぜ停止線の「めちゃ手前」で止まる? “スペース空け過ぎ”に「違反なの?」「正直ありがたい」「トラックのため」の声も! 「狭い道では助かる!?」謎の行為に反響集まる!
くるまのニュース
気掛かりなリコール届け出件数、ホンダは原付108万台、マツダは「CX-60」3万4461台[新聞ウォッチ]
気掛かりなリコール届け出件数、ホンダは原付108万台、マツダは「CX-60」3万4461台[新聞ウォッチ]
レスポンス
フランス市場にランチア復活、新型『イプシロン』で…有料会員記事ランキング
フランス市場にランチア復活、新型『イプシロン』で…有料会員記事ランキング
レスポンス
BMW『i5ツーリング』、394馬力ツインモーターの「xDrive40」追加へ…航続520km
BMW『i5ツーリング』、394馬力ツインモーターの「xDrive40」追加へ…航続520km
レスポンス
ヤマハが電動車いすの完成車販売をやめて「ユニット専業メーカー」になることを宣言した理由
ヤマハが電動車いすの完成車販売をやめて「ユニット専業メーカー」になることを宣言した理由
レスポンス
RB、2025年シーズンから正式名称を”レーシングブルズ”に変更へ。呼称に関する混乱、ついに終止符?
RB、2025年シーズンから正式名称を”レーシングブルズ”に変更へ。呼称に関する混乱、ついに終止符?
motorsport.com 日本版
マツダ新型「コンパクトSUV」発表! めちゃ豪華内装の特別仕様車設定! 大幅改良の「MX-30」約239万円から!
マツダ新型「コンパクトSUV」発表! めちゃ豪華内装の特別仕様車設定! 大幅改良の「MX-30」約239万円から!
くるまのニュース
約180万円から! ダイハツ本気の「AWDスポーツカー」に反響あり! パワフルな「ターボ×専用エンジン」搭載! ド迫力ボディを“5速MT”で操る「辛口モデル」X4に大注目!
約180万円から! ダイハツ本気の「AWDスポーツカー」に反響あり! パワフルな「ターボ×専用エンジン」搭載! ド迫力ボディを“5速MT”で操る「辛口モデル」X4に大注目!
くるまのニュース
カワサキ「Z900」新デザインを採用した最新モデル発表 国内導入へ向け準備中
カワサキ「Z900」新デザインを採用した最新モデル発表 国内導入へ向け準備中
バイクのニュース
インドからの輸入だけど日本にマッチさせる専用仕様! すでにバカ売れ「スズキ・フロンクス」が凄い!!
インドからの輸入だけど日本にマッチさせる専用仕様! すでにバカ売れ「スズキ・フロンクス」が凄い!!
WEB CARTOP
日産、eパワー搭載車累計生産150万台到達 初搭載は2016年「ノート」
日産、eパワー搭載車累計生産150万台到達 初搭載は2016年「ノート」
日刊自動車新聞
マグヌッセン、体調回復せず……F1サンパウロGP完全欠場が決定。ベアマンが決勝レースも走行
マグヌッセン、体調回復せず……F1サンパウロGP完全欠場が決定。ベアマンが決勝レースも走行
motorsport.com 日本版
【ワールドプレミア】V12ツインターボエンジン+マニュアルトランスミッション搭載「パガーニ ユートピア ロードスター」公式発表 その全情報!
【ワールドプレミア】V12ツインターボエンジン+マニュアルトランスミッション搭載「パガーニ ユートピア ロードスター」公式発表 その全情報!
AutoBild Japan
ダニエル・クレイグ所有の『007』仕様のトライアンフ、過去最高の6万ポンドで落札
ダニエル・クレイグ所有の『007』仕様のトライアンフ、過去最高の6万ポンドで落札
レスポンス
近畿道が超便利に!? 進行中の「淀川北岸線」計画のスゴさとは すでに一部は開通済み!? 夢の都市計画道路どこまで進んだのか
近畿道が超便利に!? 進行中の「淀川北岸線」計画のスゴさとは すでに一部は開通済み!? 夢の都市計画道路どこまで進んだのか
くるまのニュース
ロータリーエンジン搭載バイク【バンビーンOCR1000】漫画『熱風の虎』にも登場した70年代モンスターマシンに乗る
ロータリーエンジン搭載バイク【バンビーンOCR1000】漫画『熱風の虎』にも登場した70年代モンスターマシンに乗る
モーサイ
注目のLUUPは躍進か岐路か!?「脱・電動キックボード」の動きはどうなる? 運転マナーが与える市場への影響とは
注目のLUUPは躍進か岐路か!?「脱・電動キックボード」の動きはどうなる? 運転マナーが与える市場への影響とは
VAGUE

みんなのコメント

3件
  • 跨ってみるとフロントフォークがずいぶんと前の方にあるので乗り手を選ぶバイクだなと感じた
    アメリカやアフリカのダートを100㎞で突っ走るタイプ?
    日本のセセコマシイ林道を走るにしては大きくて重たい
    まずは250㏄で乗りこなしてからのステップアップでしょう
  • オフロードの感覚が違うからねえ。海外動画見て分かるのは圧倒的に広い原野走ったり週末に休暇取って国境超えて旅したり、日本のオフロードの使い方とは全然違う。

    海外でもシングルトラックみたいな日本の林道・けもの道級の細い道は300~400くらいの小排気量車(日本と同じ車体の排気量増し)がメインに見える。

    好きなのに乗ればいいけど、日本の林道には大きくて重いよね。転んだ後に起こして家に帰るまでが遠足です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村