■国産スポーツカーの雄なのに、世界初公開はニューヨーク?
2020年9月にプロトタイプが発表されてからおよそ1年が経った、2021年8月17日(現地時間)、アメリカ・ニューヨークのブルックリンにある会場で、日産新型「フェアレディZ」(北米市販仕様/米国名Z)が正式発表されました。
なぜ、日本を代表するスポーツカーはアメリカで発表されたのでしょうか。
900万円超えの「スカイラインクーペ」!? 美しすぎる「インフィニティQ60」の魅力
価格こそ明らかにはなっていないものの、400馬力という最高出力を発揮する3リッターV型6気筒ツインターボエンジンが搭載されることや、「スポーツ」と「パフォーマンス」、そして240台限定の「プロトスペック」という3つのグレードがラインナップされているということが明らかにされました。
フェアレディZは、1969年に初代(S30型)が登場して以降、国産2シータースポーツ(一部2+2の設定されていたモデルもあり)の雄として、日本のスポーツカーカルチャーに大きな貢献をしてきました。
今回発表されたものは、初代から数えて7代目にあたりますが、フェアレディZはどの世代にも根強いファンが存在する名車といえます。
フェアレディZは、ハイエンドな性能を持つ「GT-R」とは異なり、多くの人に手が届くスポーツカーとしてこれまでに累計180万台以上を販売してきました。
この数は、スポーツカーとしては世界でもっとも多いもののひとつだと、日産は胸を張っています。
そうした日産を代表するスポーツカーですが、なぜ発表の場を日本ではなくアメリカだったのかという点について考えてみたいと思います。
直接的な理由としては、本来8月19日から「ニューヨークモーターショー」が開催される予定だったこともあり、その直前に世界初公開をおこなったと考えることができます。
基本的にワールドプレミアは、そのクルマにとってもっとも重要な市場でおこなうことが通例となっています。
これまでは、その地でおこなわれるモーターショーが発表の場とされることが多くありましたが、近年ではモーターショーとは別に、独自の発表会をおこなう例も増えています。
今回、新型フェアレディZをアメリカで発表した理由について日産関係者は、次のように説明しています。
「Zはいろんな国の人にとって大切なモデルです。そのため、プロトタイプは日本で発表し、今回時期が整ってきて詳細を発表できるタイミングがニューヨークショーだったのです。本当はニューヨークショーで展示してお客さまに楽しんでいただく予定でした」
※ ※ ※
なお、日本市場での発表は2021年冬が予定されているといい、恐らく2022年1月に開催予定の「東京オートサロン2022」にで公開されるのではないかと予想出来ます。
■いまの日産があるのは、フェアレディZのおかげ?
1969年に登場した初代フェアレディZは、国産車でありながらアメリカを意識したスタイルをもったスポーツカーとして、当初から話題を呼びました。そして、翌1970年には、北米仕様が「ダットサン 240Z」として販売を開始します。
スタイリッシュなデザインと、パワフルな2.4リッター直列6気筒エンジンを搭載し、それでいておよそ3600ドルという安価な価格で登場した240Zは、またたく間に北米市場を席巻しました。
全世界で50万台以上販売された初代フェアレディZ(240Z)のうち、日本仕様は8万台程度であり、残りのほとんどは北米市場だったといわれています。
しかし、日産にとって、240Zは単なるベストセラー車以上の価値があるといえます。
1960年代、高度経済成長期を迎えた日本において、自動車産業も大きな成長を遂げます。
自動車メーカーの多くは、外貨を獲得するために北米市場への輸出を画策しますが、当時世界の自動車大国を標榜していたアメリカの国民たちに対して、満足されるようなクルマを開発することができていませんでした。
1970年代になり、トヨタやホンダなどが徐々に北米市場攻略の足がかりをつかむなかで、日産は攻めあぐねていたといわれています。
そんななかで、まず「510型 ブルーバード(ダットサン 510)」が先達を努め、日産の切り札として用意したのがフェアレディZ(240Z)だったのです。
北米市場で510がスマッシュヒットし、フェアレディZ(240Z)が爆発的なヒットを記録したことで、アメリカの人々は「ダットサン」そして「日産」の名を胸に刻み込むことになります。
その後、1980年代になり、日産をはじめとする日系自動車メーカー各社は北米市場を飲み込む勢いでシェアを高めることになります。
現在、世界の主要市場のなかで、日産車の新車販売台数がもっとも多いのは中国で、北米市場は中国に次ぐ2番手です。
しかし、北米市場は「ローグ(日本名:エクストレイル)」や「アルティマ」、「セントラ」といった中、上級車の販売割合が多く、まさに日産にとっての「ドル箱市場」といえます。
その足がかりとなったのが初代フェアレディZ(240Z)なのです。日産が新型フェアレディZのワールドプレミアの場にアメリカを選んだのは、フェアレディZにとっての現在の最重要市場であるということだけではなく、過去へのリスペクトという視点もあるのかもしれません。
※ ※ ※
歴史的背景があるとはいえ、日本を代表するスポーツカーが、日本で発表されなかったことを残念に思う人もいるかもしれません。
ただ、プロトタイプ版のフェアレディZは、2020年9月に日本国内で世界初公開されています。
プロトタイプのエクステリアは今回発表されたものとほとんど変わらないことから、新型フェアレディZを初めて目の当たりにしたのは、事実上、日本のファンたちであったといえます。
このように、プロトタイプと市販版の発表場所をわけたのは、日産によるファンたちへの配慮があったといえそうです。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「世界で一番嫌い」 マツコ・デラックスはなぜ「二子玉川」を拒絶するのか? 理想化された街に漂う“らしさ”の呪縛、再開発と多様性の葛藤を考える
来年から「クルマの税金」が変わる!? 今年も納税時期迫るが…今後は負担減るの? 自動車諸税、ついに抜本改革なるか 「環境性能と公平性」を軸に
ホンダ新「ステップワゴン」公開! 豪華仕様の「上級モデル」! カクカクデザインもイイ“人気ミニバン”の「AIR EX」何が違うのか
「西船橋の次は“水戸”に停まります」千葉県と茨城県を直結する特急が運転へ 豪華グリーン車も連結
本当かよ!? 空自F-2後継の新戦闘機計画「GCAP」にオーストラリアも参加←現地の専門家に聞いてみた
「世界で一番嫌い」 マツコ・デラックスはなぜ「二子玉川」を拒絶するのか? 理想化された街に漂う“らしさ”の呪縛、再開発と多様性の葛藤を考える
中国にはBYD以外にも多数のEVメーカーが存在! BYDの成功で日本に押し寄せることはある?
来年から「クルマの税金」が変わる!? 今年も納税時期迫るが…今後は負担減るの? 自動車諸税、ついに抜本改革なるか 「環境性能と公平性」を軸に
「車中泊トラブル」なぜ後を絶たない…!? 「ご遠慮ください」案内を無視する人も… 背景にはキャンプと「混同」も? 現状はどうなっている?
「それでいいの!?」「たしかに…」ネズミ捕りに合わないためのポイントを元白バイ警官が解説!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
歴代のデザインの良いとこ取りって感じ(良い意味)。
先代とシャーシとか同じで型式が34のままらしいけど、全然良いと思う。
これはあり。