三菱「エクリプス」というクルマをご存知だろうか。三菱自動車と米国のクライスラー社が共同出資して設立した「ダイヤモンドスターモーターズ(以下DSM)」社が、かつて生産していたスポーツクーペ・コンバーチブルだ。初代~3代目までは日本にも輸入されており、また、映画「ワイルド・スピード」でフィーチャーされたことで知った方も多いだろう。
三菱のスペシャルティモデル「エクリプス」とはどんなクルマだったのか、振り返ってみよう。
もちろん日本導入予定! 進化したアルピーヌA110は最強スペックとなる「S」と「GT」が登場
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:MITSUBISHI、ベストカー編集部
[gallink]
「スタリオン」の後継モデルとして開発
初代エクリプスは、80年代の三菱を代表するスポーツカー「スタリオン」の後継モデルとしてDSM社が開発、1989年に北米で発売された。
全長4340mm×全幅1690mm×全高1305mmと5ナンバーサイズのコンパクトなボディに、リトラクタブル・ヘッドライトのスポーティなクーペデザインが与えられたエクリプス。北米市場をターゲットにしているだけに、ポンティアック・ファイアーバードなどのポニーカー(日本で言うスペシャルティカー)を小さくしたような、存在感のあるスタイリングで登場した。
日本に輸入されたのは1990年。4G63型2.0L 直4DOHCガソリンNAを搭載した「GS」と、同ターボにフルタイム4WDを組み合わせた「GSR-4」が導入された。ターボ車の最高出力は147kW(200ps)/6000rpm、最大トルクは274.6Nm(28.0kgm)/3000rpmというスペックで、北米仕様そのままに左ハンドルのみというラインアップで登場。姉妹車として、クライスラーのブランド、プリムスの「レーザー」というモデルも登場した。
日本の自動車メーカーであるとはいえ、北米で開発・生産されたスポーツクーペが、「ポン」と輸入されるなんてことは現在であれば考えにくいこと。バブル絶頂期ならではの出来事だったといえるだろう。
上段が初代エクリプス、下段がプリムス・レーザー。レーザーは初代のみで消滅してしまった
「ワイスピ」で広く知られた2代目・3代目
北米では1994年、日本では1995年に2代目が登場。プラットフォームは初代と同じであるものの、スタイリングは、全体的に丸みを帯びたデザインとなり、ヘッドライトも、リトラクタブル・ヘッドライトから固定式へと変わった。ボディサイズも全長4395mm×全幅1745mm×全高1295mmとやや大きくなった。
搭載されるエンジンは初代同様4G63で、ターボのみのモノグレード設定となるが、最高出力は169kW(230ps)/6000rpm、最大トルクは389.3Nm(29.5kgm)/2500rpmに引き上げられている。駆動方式はFFのみ、5速MTもしくは4速ATとの組み合わせだ。
1996年には、4シーターのコンバーチブル「スパイダー」も登場。オープントップは、ボタンひとつで、しかも10秒程度で開閉が可能だった。
2代目エクリプス。ボディサイズが大きくなり、丸みを帯びたスタイリングとなる
その後、1999年に3代目のクーペモデルが北米で登場するも、すぐに日本に輸入されることはなかった。日本に輸入されたのは2004年のこと。2000年に登場したスパイダーのみを、ランプなど灯火類や排出ガスの仕様を日本の法規に適合させ(ハンドルは左のまま)てのことだった。
ボディサイズは全長4515mm×全幅1760mm×全高1355mmと、2代目よりさらにサイズアップ。エンジンは3.0L V6SOHCの6G72型を搭載し、最高出力は144kW(196ps)/5750rpm、最大トルクは267Nm(27.2kgm)/4250rpmというスペック。4シーターオープンモデル、FFで4速ATのみの設定だ。
初代や2代目とは違い、V6エンジンが搭載されボディもサイズアップ、デザインもモダンになったことによって、全体的な印象が大きく変わり、ヨーロッパのプレミアムGTカーのようなテイストが感じられる。ターボではないので、走りも穏やかで優雅な性格になった。
この2代目と3代目エクリプスは、映画「ワイルド・スピード」の第1作目と2作目に、それぞれチューンドカーとして登場している。北米での人気はもちろん、日本でもエクリプスが広く知られるきっかけとなった。
2004年に発売された3代目エクリプス。日本にはオープンモデルの「スパイダー」のみ導入された
4代目は日本に輸入されず そして生産終了
4代目は2005年に北米で発売された。エンジンは2.4L 直4と3.8L V6の2種類が用意され、3代目よりさらに丸みを帯び、北米で好まれる筋肉質でボリューム感のあるスタイリングとなったが、この4代目が日本に正規輸入されることはなかった。
というのも、このころ日本のクーペ市場はかなり縮小しており、エクリプスのようなモデルの需要はほとんどない状況。特にエクリプスは、左ハンドル仕様のみで、北米市場に合わせて大きくなったボディサイズやターボモデルの廃止など、日本人にとってはとっつきにくい要素がてんこもりだったのだ。
日本では受け入れられなくなっていたエクリプスだが、北米での販売は好調だった。しかし、三菱自動車の中期経営計画「ジャンプ2013」に基づき、2012年に生産終了となってしまった。
4代目エクリプスは日本に導入されず。スポーティでバランスの良いスタイリングはなかなかイケてると思うが…
◆ ◆ ◆
北米生まれの小気味良いクーペであるエクリプスには独特の個性があった。初代や2代目のような小型サイズでピリリと刺激的なパワートレインが続いていれば、そして右ハンドル仕様があれば、もっと違った道を辿っていたかもしれない。
ちなみに現在新車で販売されているSUV「エクリプス クロス」は、このモデルから名前が取られているが、メカニズムの共通性はない。クーペSUVモデルだからというのが命名の理由だそうだが、本来のクーペモデルが復活する日はやってくるのだろうか。
[gallink]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「世界で一番嫌い」 マツコ・デラックスはなぜ「二子玉川」を拒絶するのか? 理想化された街に漂う“らしさ”の呪縛、再開発と多様性の葛藤を考える
来年から「クルマの税金」が変わる!? 今年も納税時期迫るが…今後は負担減るの? 自動車諸税、ついに抜本改革なるか 「環境性能と公平性」を軸に
ホンダ新「ステップワゴン」公開! 豪華仕様の「上級モデル」! カクカクデザインもイイ“人気ミニバン”の「AIR EX」何が違うのか
「車中泊トラブル」なぜ後を絶たない…!? 「ご遠慮ください」案内を無視する人も… 背景にはキャンプと「混同」も? 現状はどうなっている?
「西船橋の次は“水戸”に停まります」千葉県と茨城県を直結する特急が運転へ 豪華グリーン車も連結
「世界で一番嫌い」 マツコ・デラックスはなぜ「二子玉川」を拒絶するのか? 理想化された街に漂う“らしさ”の呪縛、再開発と多様性の葛藤を考える
中国にはBYD以外にも多数のEVメーカーが存在! BYDの成功で日本に押し寄せることはある?
来年から「クルマの税金」が変わる!? 今年も納税時期迫るが…今後は負担減るの? 自動車諸税、ついに抜本改革なるか 「環境性能と公平性」を軸に
現在では当たり前の3気筒エンジンも10年前は違っていた!! 今こそ3気筒を見直すべし【ベストカーアーカイブス2014】
「車中泊トラブル」なぜ後を絶たない…!? 「ご遠慮ください」案内を無視する人も… 背景にはキャンプと「混同」も? 現状はどうなっている?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
エクリプスのクライスラー向けはプリムスの「レーザー」だけでなく2代目までFMCしたイーグルブランド向けの「タロン」もありました。