ステランティスはカルロス・タバレスCEO(最高経営責任者)が1日付で辞任したと発表した。同社取締役会で即時承認され、ジョン・エルカン会長率いる暫定執行委員会に経営体制が移る。同社は北米事業が不振に陥っており、欧州でも電気自動車(EV)を中心に販売が伸び悩む。人員削減などの方針に対し、取締役会や労働組合などの反発を招いたとみられる。
同社は10月、タバレス氏が2026年初頭に任期を終えると発表していたが、前倒しの退任となった。同社の上席独立取締役のアンリ・デ・カストリーズ氏は「ここ数週間で異なる見解が浮上し、本日の決定に至った」と、タバレス氏と取締役会の間に意見の相違があったことを示唆した。
ステランティス、カルロス・タバレスCEOが2026年初頭に退任
背景には経営難による混乱がある。特に事業規模が最も大きい北米では、24年7~9月期の売上高が124億 ユーロ (約1兆965万円)と、前年同期から42.0%減った。EVのほか、高価格ブランドを目指した「ジープ」など既存ブランドの販売不振が背景にあるとみられ、在庫の圧縮と工場の人員整理を進めている。また、欧州も販売の主力が小型車で、売上収益ともに伸び悩む。苦境の最中、コストカットを進めるタバレス氏に対し、全米自動車労組(UAW)はストライキを示唆するなど対立姿勢を明確化していた。
同社は30年までに欧州ですべての乗用車を、米国の乗用車とピックアップトラックの半数をEVにする方針で、電動車用の新プラットフォーム群も11月までに発表していた。新たな経営体制の下、投資を含めた電動化戦略の行方に注目される。
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