欧州ブランドがハイブリッド化を加速
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
レクサスRXは従来以上に存在感が強まったといえる。ドイツブランドが高いシェアを保っている欧州では苦戦気味ながら、RXの主戦場は北米市場。アメリカではこのクラスでは最も高い販売台数を稼いでいる1台となる。
欧州ブランドがハイブリッド化を急速に進めている現在。レクサスが長年実践してきたパラレル式のハイブリッドシステムは、今一度注目しておくべきだろう。
これまで、レクサスやトヨタが導入してきたシリーズ・パラレル式ハイブリッドが、欧州で高い支持を得られなかったことには理由がある。多くの場合、ディーゼルエンジンの方が郊外での走りが良く、速く、経済性も優れていたためだ。ディーゼルには逆風が吹いているが、その優位性はまだ変わっていない。
現在、導入が進んでいるのはプラグイン・ハイブリッドと呼ばれるシステム。スペック上の燃費や二酸化炭素排出量は驚くほど優れているが、実際に得られるのは定期的に充電ケーブルをつないでバッテリーをフル充電にした場合のみ。
シリーズ・パラレル式ハイブリッドは、シンプルで導入から時間も経ち耐久性も実証されている。充電不要でハイブリッドを利用する複雑さは、内燃エンジンモデルと比較しても少ない。欧州ではセルフチャージ式と呼ばれる理由でもある。
大型モニターが配されるもやや旧式然の車内
モデル中期のマイナーチェンジでは、ハイブリッドシステムを含めてドライブトレインに受けた変更は小さい。今回試乗するFスポーツ・グレードは、外観はよりスポーティな印象を受けるようになった。
ヘッドライトは「ブレードスキャン」と呼ばれるアダプティブLEDヘッドライトを採用。LED光源を回転式のミラーに当てて照射するシステムで、対向車を避けつつ遠方まで明るく照らせるシステムだ。
インフォテインメント・システムは、これまでのトラックパッドに加えてタッチモニターでの操作も可能となった。アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも初めて対応。安全運転支援システムやシャシー周りも改善を受けている。
そんな車内に入ってみると、艶のある大きなインフォテインメント用モニターがダッシュボード丈夫に据えられていても、ドイツブランドのクルマよりは1世代古く見えてしまう。インテリアの変化度合いも小さい。
ただし、底的なシンプル化を狙っていないという点で、必ずしも悪いものではない。レイアウトは少々複雑だが、すべての物理ボタンが色々な所に配置されている。斬新さがあるわけでも流行に乗っているわけでもないが、組み立て品質は高く、用いられている素材も特別感がある。
残念ながら、ボタン類がタッチモニターでの操作の厄介さを軽減してはいない様子。物理ボタンは基本的にシートヒーターやエアコンの機能のみ。モニターのサイズは大きくなりドライバー側にオフセットされているが、身を乗り出して画面を操作する煩わしさは存在する。
都市部での走行時に際立つ良さ
インフォテインメント・システムには、旧式のマウスのようだったコントローラーのかわりに、トラックパッドが採用されているが、使いやすさはいまひとつ。ロータリー式コントローラーを備えるBMW製のシステムと比較すると、走行中の操作は難しい。
車内空間は箱状に背が高く不満は感じられないだろう。体格の良い大人4名が快適に座れる空間に、充分な荷室容量が確保されている。短距離なら大人5名でも問題なさそうだ。
ランドローバー・ディスカバリーやボルボXC90並の飛び抜けた実用性とまでは呼べなくても、レクサスRXには7シーターの「L」も用意されている。RX Lも実際確かめてみたが、3列目はあくまでも臨時用というレベルではあるようだ。
肝心のシリーズ・パラレル式ハイブリッドは、確かに完成度は高い。しかしAUTOCARでは、従来のエンジンモデルと比較して、それほど明確な利点を見つけられずにいる。
最も満足感の高いシーンは、都市部を穏やかに走行させている時。シームレスなCVTと、距離が限られるEVモード、クルマ本来のスムーズなセッティングの良さが一番際立つことができる。
スピードを上げてくと、加速は鋭いものの、自然吸気のV6エンジンからは回転の上昇に合わせてノイズが沸き立ってしまう。4気筒エンジンを積んだレクサスよりは、悪くない音ではあるけれど。パフォーマンス自体は輝くほどではないにしろ、不足はない。
乗り心地はそのままに機敏さを増した操縦性
反面、ドライバーの労力が少ない6気筒ディーゼルと比べると、追い越し加速や高速道路で優位性は陰ってしまう。様々な条件で走行した燃費は10.6km/Lから12.3km/L。むしろ、ハイブリッドを搭載しないガソリンエンジン・モデルと比較しても、良好といえない数字だ。
全体的な印象としては、プラグイン・ハイブリッドを搭載するライバルと並べると、ひと世代前という感じは否めない。EVモードを保とうと試みていると、ペースの遅さから、高速道路の合流などでは後続車の流れを乱していることに気付く場面もあった。
充電する手間はない分、ある程度一貫した燃費が得られることは確かではある。また、それ以外の部分の走りの面では、RXの仕上りは悪くない。
引き締められたアンチロールバーと新しいショックアブソーバーを採用し、ボディ剛性も高められている。オプションとして、ボディロールを減らすアクティブ・コーナリング・アシスト機能も選べるようになっている。
RXの乗り心地は、ゴツゴツしたNXと比較すると良好。路面の悪い区間でも極めて快適に移動できるモデルという印象は変わらない。
ハンドリングは若干シャープさを増した。ステアリングはダイレクト感が強まり、重み付けにも一貫性がある。グリップ力も充分高く抑制の効いた姿勢制御で、車重2tのSUVとして評価できるまとまりだ。
もちろん、日曜日の午後に家族を置いて郊外に走りに行きたくなるタイプではない。このクラスでベンチマークと呼べる程ではないにしろ、高級SUVとして求められるドライビング体験が得られる。
充電を手間に感じるアンチ・ディーゼル派に
ディーゼルエンジンには拒絶反応があり、充電環境が必要なPHEVやEVがまだ暮らしに合わないのなら、欧州での主力モデルとは少し異なるクルマとしてレクサスRXは候補に加えたい。改良によってすべてが良くなっている。
個性的で好感も持てるし、快適で洗練もされている。明確にドイツ・ブランドとは異なるクルマでもあり、周囲へのアピール度も違うけれど。
全体的なクルマの実力としては、BMW X5 30dなどのディーゼル・モデルの方が優れていることも確か。燃費や上質さでも優れており、速度域を問わず優れた走行性も持ち合わせている。ディーゼルエンジンの風当たりは強いものの、大型SUVで長距離ドライブをするなら、ディーゼルは最も効率が高く移動できる手段だといえる。
プラグイン・ハイブリッドを搭載するライバルモデルとレクサスRXとを並べた場合、RXの優位な部分は価格差だろう。ボルボXC90 T8やBMW X5 xDrive45eよりも数千ポンド(数十万円)ほど安い。ただし価格が高い分、ライバルモデルの実力がしっかり高いことは、忘れてはいけない。
レクサスRX 450h Fスポーツのスペック
価格:5万5205ドル(772万円)
全長:4890mm
全幅:1895mm
全高:1685mm
最高速度:199km/h
0-96km/h加速:7.7秒
燃費:12.5-12.6km/L
CO2排出量:172g/km
乾燥重量:2100kg
パワートレイン:V型6気筒3456cc自然吸気+ツインモーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:312ps(システム総合)
最大トルク:34.2kg-m/4600rpm(ガソリンエンジン)/34.2kg-m(フロントモーター)/14.2(リアモーター)
ギアボックス:CVT
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みんなのコメント
燃費は、エコモードの半分から6割程度に低下します。
パワー感は、エコモードの1/3~1/5程度、ノーマルモードの1/10~1/20程度です。
土素人以下。
EVモードは、深夜の住宅地などで限定的に使用する機能。
市街地や郊外は、エコモードで普通に運転すると、20km/Lを下回ることは、ほとんどない。
ノーマルモードにすると、ディーゼルターボに負けることはない。