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新型マツダCX-60にとことん迫る!(前編)──居住性は感動レベル!

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新型マツダCX-60にとことん迫る!(前編)──居住性は感動レベル!

予約受注がスタートしたマツダの新しいクロスオーバーSUV「CX-60」のプロトタイプを世良耕太が取材。前編では、居住性やグレード構成を中心に解説する。

リッチな空間

日本のサーキットをアストンマーティンの超希少モデルが走った!

マツダは新型クロスオーバーSUV、CX-60の予約受注を開始した。販売開始は9月を予定している。

マツダが新世代ラージ商品群の第1弾として開発したCX-60は、エンジンやトランスミッションで構成するパワートレインを縦置きに搭載し、後輪を駆動する方式を取り入れたのが特徴。これは前後重量配分の適正化にくわえ、駆動輪(リア)と操舵輪(フロント)をわけることにより、4つのタイヤの力をフルに発揮させることを目的としている。

ラインナップの主力に据えるのは後輪駆動ベースのAWD(四輪駆動)であり、4つのタイヤがフルにパフォーマンスを発揮できる構造とすることにより、しっかりとした安心感と“意のままの走り”を実現するのが狙いだ。

そうした開発コンセプトを知ったうえで、CX-60の居住空間を見ていこう。2列シートのSUVであることは横置きパワートレーンの「CX-5」とおなじであるが、全幅はCX-5が1845mmなのに対し、CX-60は1890mmで45mm幅広だ。デザイナーによれば、この45mmの違いはそのまま室内の幅の違いという(カタログに載る室内寸法に大きな違いはないが)。

CX-5はエンジン~トランスミッションのパワートレインがエンジンルーム内で完結しているのに対し、CX-60はトランスミッションが運転席と助手席の間に横たわっている。ドライバーにとって適正なペダル配置になるよう、新開発した8速AT(オートマチック・トランスミッション)は径方向にスリム(つまり細い)にしたのが特徴であるものの、そうはいっても運転席と助手席の間に厳然と存在するのは事実である。

そのトランスミッションを避けているため、運転席と助手席の間隔、専門用語でいうところのカップルディスタンスはCX-5よりも広くなっている。CX-60は縦置きパワートレーンという構造面の特徴を生かし、広い車幅を存分に生かしたワイドなインストルメントパネル、前後方向に突き抜けてスピード感や構造的な強さを表現するドアトリムアッパー、強靱なトランスミッションの存在を伝えるワイドなセンターコンソールで室内空間を構成している。

ちなみに、CX-5や、ひとまわりコンパクトな「CX-30」のコンソールボックスのフタは後方にスライドさせながら上に開く構造であるが、CX-60は中央で分割したフタが横に開く構造とした。CX-60のフタは長くワイドなので、1枚ものにして上に引き上げる構造にするとアクションが大きく、腕が不格好になってしまう。

マツダのデザイナーはこのときの腕の形を「チキンウイング」と呼んでいるが、これを避けたかった。だからCX-60のコンソールボックスのフタは片方ずつ開ける構造にしたそうで、このほうが、腕の動きは小さく抑えられるというわけだ。

一般にカップルディスタンスが大きいと、空間がリッチに感じられる。CX-60は背の高いSUVであるが、運転席はステアリングを抱え込むようなアップライトなポジションではなく、背の低い乗用車と同様の、ステアリングに正対し、脚を前に投げ出すようなポジションとなる。後席左右の乗員はやや中央寄りに座らせつつ少しヒップポイントを上げ、前席シート間から前方の景色がよく目に入るようにし、リッチな空間を視覚的に感じ取りやすいようにした。新たに設定した大型パノラマサンルーフ(グレード別設定)は、前席よりも後席乗員に恩恵がありそうだ。

デザイン作業に着手した当初、CX-60はその時点で最新のモデルだったMAZDA3やCX-30と同じステアリング・ホイールを採用する予定だったという。

ところが、骨太なCX-60のインテリアに合わせてみると華奢に感じられたため、専用のステアリング・ホイールを開発することにした。CX-60のステアリングはグリップを少し太くして、インテリアを含めクルマがもつイメージとマッチしたしっかり感を作り、握った際に自然と脇が締まる断面形状としている。

MAZDA3やCX-30ではストレートに伸びている6時方向のスポークは、CX-60ではV字として力強さを表現し、リム部とのつながりを幅広にして視覚的な剛性感を高めている。ラウンドしていたホーンパッドのエッジを立てたのは、しっかり感を表現するためだ。インストルメントパネルがもつマス(量感)と、ステアリングのマスのバランスをとったことになる。

特徴的なグレード構成

CX-60はひとつの車種で、ノンプレミアムに属するゾーンと、プレミアムに属するゾーンの広い価格帯をカバーするデザイン表現に挑戦したのも特徴だ。プレミアムゾーンに位置するグレードが車格感の高さを表現するのは当然として、ノンプレミアムゾーンを構成するグレードが安っぽく見えないように気を配った。

プレミアムゾーンに属するグレードはダイレクトに名称で表現され、「Premium Modern(プレミアムモダン)」と「Premium Sports(プレミアムスポーツ)」の2種類。ノンプレミアムゾーンは「Gallant(ギャラント)」と「Active(アクティブ)」の2種類だ。チーフデザイナーは「4人の子供(グレード)に対し、平等に愛情を注いだ」と、説明する。

アクティブは「使えるSUV」がテーマで、インテリアはインパネ、ドアトリムアッパーを黒色樹脂素材で統一し、CX-60の「頼れる」、そして「使える」キャラクターを表現している。樹脂のシボについては吟味を繰り返しただけあり、クオリティの高さと同時に頼もしさを感じる。

いっぽう、ギャラントはメッキ表現やチタニウムの配色が加わり、シートのセンター部にライン状のアクセントが入る。

プレミアムスポーツはタン色とブラックの大胆な2トーンを採用したのが特徴。シートのセンターエリアにはスウェード調素材を使うと同時にキルティングを施して濃厚な表現とした。

プレミアムモダンは、「マツダが考えるジャパン・プレミアムのインテリア」で、その象徴が、インパネのいちばん目立つ部分に施した、糸を交差させるように縫う「掛け縫い」だ。布のテクスチャーも含め日本的で、同時に上品で質が高い。

マツダは2019年のMAZDA3からレベルアップした純正オーディオを採用している。CX-60では、「音源に入っている情報を正しく再生できること」をコンセプトとする音づくりを進化させた(上級グレードはボーズサウンドシステムが標準)。

「音」が決め手になってMAZDA3を購入したユーザーもいるというが、進化した音を体感した身から言わせてもらえば、CX-60が提供する音は、さらに多くのユーザーを引き付けそうな気がする。

車室内でいい音が堪能できるだけではない。かなり大きなボリュームで聴いているにもかかわらず、外への音漏れが感動するレベルに抑えられているのだ。

マツダCX-60は止まっていても、走っていても、走りに集中していても、音楽に耳を傾けても、居心地のいい室内空間に仕上がっている。

後編では特徴的な装備に迫る。

文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

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  • この時代にこの仕様でかなり安いんで無いか。
    FRベースって他だとランクルしかないぞ。
  • ここまで高性能で300万ちょいだとぼったくってるメーカーは可哀想だな。比較されたら困るだろうに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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