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【繁浩太郎の言いたい放題】日産自動車のチャレンジ

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【繁浩太郎の言いたい放題】日産自動車のチャレンジ

日産ヘリテージコレクション

日産自動車の創業は1933年で、社名の由来は母体となった企業グループ「日本産業」からきており、その意味は個人の利益追求でなく、日本全体の産業を活性化させたいという壮大な想いからきている。

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日産自動車には、言うまでもなく過去に数々のクルマを造ってきた栄光の歴史があるが、その名車の多くが座間にある「日産ヘリテージコレクション」に動態保存されている。


ダットサンから、ブルーバード、スカイライン、セドリック、フェアレディ・・・「技術の日産」を思い起こさせるその性能とデザインなどで一世を風靡した名車達。それらを目の当たりにすると懐かしく輝かしい日産車というのを通り越して、「日産」の名前の由来とおり、それらは本当に日本の産業を背負って成長してきたと感じられ、日本人の誇りさえ感じる。


ブルーバード

その中でも、ブルーバード510の革新性とそのデザインは秀逸だ。

それまで常識だった三角窓を廃止し、フロントウインドの傾斜を大きくし、小型の四角いセダンから台形のセダンになった。それは「スーパーソニックライン」と呼ばれた。

改めて見ても全く古さを感じさせない時代を超える普遍的なデザインといえる。また技術としては、当時先進のOHCエンジンや4輪独立式サスペンションなどを備え、時代をリードしていた。さらに強度耐久性も当時のレベルを超えており、それゆえラリーで活躍した。また、北米でヒットした初の日本車とも言われている。

スカイラインとフェアレディZ

スカイラインは今も続くブランドで多くのユーザーに愛され続けているが、スカイラインから派生したGT-Rはまさに技術の塊だ。

同様に今も続くスポーツカーとしてフェアレディZがある。そのルーツである純粋なオープンスポーツカーの初代フェアレディSPL213も動態保存されていて、今回なんと同乗試乗させてもらうチャンスがあった。

今のオープンスポーツとは異なり、低いウインドシールド、狭いキャビン、低いシートバックなどにより低速走行でも、直接風を体で受ける感じで、走行感があり、眼に入る景色と開放感は非日常。自然と気持ちが高ぶった。

そのシートもインパネもハンドルもボディも、そしてエンジン・・・・・・全てがスポーツカーへの憧れの気持ちで造られているようで、当時の日産技術者の情熱が伝わってくる。

私は日本の創成期の車(60年代~70年代)が好きだが、それはそのデザインや技術に作り手の情熱を感じるからだと思っている。

車名エンブレムという小さい部品にこだわったデザインからも、今のクルマにはない情熱を感じる。特に、ハコスカGT-R初期の前後エンブレムの文字バックはチェッカーフラッグになっていて、レースで活躍できる高性能なクルマを造ったという想いと情熱をそこから感じる。

現代の日産車試乗

そんな歴史深い日産自動車の旬のクルマの代表としてノートe-Powerに改めて試乗してみた。発売直後にも試乗しているので、今回で二回目だ。

試乗を始めしばらくして、「あれ?、なんだかエンジン回っていない?」。もちろん、ノートe-Powerはシリーズハイブリッドなので、バッテリーでEVとして走るから、エンジンは回らないのだが、40km/h~50km/hの加減速、また高速域のような走行負荷条件によっては、エンジンが回り、充電しながら走る構造なのだ。

以前試乗した時は、モーターによるトルクフルなEVの走りをしていたが、エンジン音がよく聞こえたためEV感は少なかった。

今回、高速域では流石にエンジンが回っているのが、その音からわかるが、40~50km/h位では加減速しても殆どエンジン音が聞こえない。つまり、エンジンが回ってもその音が殆ど聞こえないので、静かで感覚的には「EV走行」そのものだ。

言うまでもないが、EVでは航続距離確保の為に多くのバッテリーを必要とするが、このe-Power方式ではバッテリーの放電に合わせてエンジンで発電し充電するので、バッテリーの量を少なくでき、航続距離は長い。

純粋なEV車よりバッテリーが少なくてすむということはコストが安くなり、充電に時間を取られることもない。難点は、EVでは不要となるエンジンや燃料系が必要となることと、効率的に高速では燃費が落ちることだ。だが、EVの3大弱点の、コスト、航続距離、充電時間は解決できる。

また、その走りは電動駆動の良さで、このノートで2.0Lターボを凌ぐ走りでありながら、燃費はJC08モードで34.0km/Lとなり、軽自動車よりいい。

さらに、ノートe-Powerはドライブモードが、S(smart)とECO、Normalと3つ選べるが、その特徴として、S(smart)とECOモードでは、回生ブレーキが大きく効くようになっている。

これのおかげで、ブレーキを踏まずにアクセルを少し戻すと回生ブレーキだけで減速し、また踏めば元の走行に戻るというような走行ができるため、一般走行でアクセルとブレーキの踏みかえ回数が減り、それが全体の約7割にも及ぶらしい。

これは体験してみると、ペダル踏み変え時の減速感がなく実にスムーズな運転になり同乗者にも優しい。
また、このワンペダル(アクセルペダル)での走行は新しい感覚で、中々楽で楽しい。

技術の日産

このように日産自動車は、まさに「技術の日産」として、新技術で燃費を段違いに向上させるだけでなく、新しい走り方をも提案している。

日産は、過去に苦しい時期もあったし、最近も工場で問題を起こしたりしているが、各時代でクルマに新技術を付加し、ユーザーのライフスタイルをリードするクルマを技術開発し、世の中に提案してきたという伝統がある。今後も、新しい提案のクルマを期待したい。

ただ、そういう技術の日産ブランドを表現するデザインが、クルマの顔を揃える表現だけではつまらない。
「日産らしくて良い」とユーザーに言われるような「日産のデザイン」を創ることにチャレンジして欲しいものだ。

トヨタは決していい方向ではないかもしれないが、「無難なトヨタデザイン」からクルマの顔を揃えるだけでなく、ブランド表現のデザインへ脱皮しようとしている。

当初めざした、「日本全体の産業を活性化」する企業であり続けるために、技術とデザインをさらに磨いた日産らしい商品で世の中に提案し続けてほしいと思う。

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文:Auto Prove 繁 浩太郎
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