■超ローコスト! インドネシアの現地ミニバンとは?
トヨタでは、「カリヤ」という7人乗りの小型ミニバンが、インドネシア市場向けに販売されています。このミニバンは現地専用モデルとなり、日本市場で販売されていません。カリヤとは、どのようなミニバンなのでしょうか。
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じつは、カリヤは「シグラ」というクルマのOEM車であり、シグラはダイハツのクルマです。
インドネシアはトヨタ車の人気が高い地域ですが、現地ではダイハツ車も評価を集めています。その理由のひとつに、1992年から設立された「アストラ・ダイハツ・モーター」の存在があります。
アストラ・ダイハツ・モーターは、ダイハツのインドネシアにおける合弁会社として設立されました。2002年には、ダイハツが持ち株を61.75%まで引き上げ、実質ダイハツの子会社となっています。
そのダイハツが手掛ける7人乗りミニバンのシグラをトヨタにOEM供給し、トヨタはカリヤとして販売しています。
カリヤのボディサイズは、全長4070mm×全幅1655mm×全高1600mmで、このサイズと同等の日本車ではマツダ「マツダ2」があります。
マツダ2は4WD仕様と「15MB」を除いて、全長4065mm×全幅1695mm×全高1500mmなので、カリヤはマツダ2より5mm長く、幅では40mm狭く、全高では100mm高いミニバンとなります。
しかし、マツダ2の全長に3列シートを詰め込んでいると考えると、車内に7人乗れたとしてもかなり狭いことは否めません。
内装デザインは、近年の日本車ではあまり見られない、ローコストな造りとなっています。シートはファブリックのみで、トリム類はプラスチック感が非常に高く、高級とは程遠いイメージです。
エアコンもダイヤル式のマニュアルエアコンとなり、エアコンの吹き出し口はフロントのみとなっています。
インドネシアは赤道にも近く、平均気温も高い熱帯地域となります。そのため、後部座席の人が暑く感じないように、空気を前から後ろまで循環できるファンが取り付けられています。
3列目シートは、分割ではなく1ピースで折りたたむ方式となり、ここにもコストダウンの努力がうかがえます。
エンジンは、1.2リッターガソリンエンジンを搭載し、最高出力88馬力となり、5速MTまたは4速ATが組み合わされます。
カリヤには、廉価版の「E」とベーシックな「G」の2種類のグレードが用意されています。バックセンサー、リアエアベント付き手動エアコン、パワーウィンドウ、マルチ情報ディスプレイ、ダブルエアバッグ、EBD付きABSが全てのグレードに装備されます。
「G」のみの装備として、インジケーター付き電動格納式サイドミラー、アンダーシートストレージトレイ、フロントシートバックストレージポケットなどのアイテムが追加されています。また、廉価版の「E」グレードではATが選べずMTのみとなります。
※ ※ ※
カリヤは、インドネシアの自動車規制にあたる、低価格でエネルギー効率の高い車「LCGC(低コストグリーンカー)」として開発され、インドネシアの多くの人が手に入れやすい手頃な価格で販売されています。
価格は、5速MTのみが設定される「E」グレードは1億3746万3000ルピアで、日本円で約93万8000円。
5速MTの「G」グレードは1億4640万ルピアで、日本円で約99万9000円。4速ATの「G」グレードは、もっとも高価な1億5840万ルピアで、日本円で約108万円となっています。
なお、インドネシアのルピアは、2020年4月13日現在、1円が144.57ルピアとなり、円の価値が相対的に高い通貨となります。そのため、現地では億を超える桁でも、日本円に直すと、どのグレードも100万円前後の価格となっています。
カリヤの価格は、7人乗りミニバンとしてだけでなく、日本で販売するどのクルマと比べても考えられないほど衝撃的な低価格です。
現在の日本では、軽自動車も100万円以下で購入することは難しく、インドネシアで販売するトヨタ車の安さをうかがい知ることができます。
■カリヤの人気は手頃な価格とトヨタの安心感
インドネシアでの移動手段は、公共交通機関やオートバイの利用がほとんどとなっています。しかし、中間層の厚みが増してきたことから、自動車購入を検討する人が増えてきています。
そして、自動車購入を後押ししているのが、インドネシア政府が進める低コストグリーンカー(LCGC)プログラムです。
LCGCプログラムは2013年7月にインドネシア政府より正式に発表された政策で、「燃費20km/L以上」「ガソリンエンジン車980ccから1.2リッター」「ディーゼル車1.5リッター以下」などの条件があります。これらに適応した車種は、奢侈(しゃし)品販売税(ぜいたく品税)を減免する法律が施行されています。
車両価格もエアバッグなどの安全装備が装着されない場合は、9500万ルピア以下に抑えることが義務付けられており、より多くの人が自動車購入の機会が与えられています。
そんななか、インドネシアではトヨタ車が人気で、7人乗りのカリヤは値段も手ごろなことから多くのインドネシア人から支持を得ています。
ある調査によれば、2019年におけるインドネシアにおけるメーカー別新車販売台数は、トヨタが2万7453台で31.3%のシェアを持ち、続くダイハツも1万855台で12.4%のシェアを誇っています。
また、現地でカリヤを購入するのは、初めてクルマを購入する中間層が多いともいわれ、これまで公共交通機関を乗り継ぎ、長い時間をかけて通勤をしてきた人たちから人気を集めているようです。
こうした人たちがクルマを初めて手に入れる歓びを、インドネシア政府の政策とトヨタやダイハツの企業努力で実現したといってよいでしょう。
※ ※ ※
インドネシアには、多くの日系企業が参入しています。ホンダはインドネシアにおいて第3位のシェアを獲得し、4位は三菱、5位はスズキと、日本メーカーが活躍している市場です。
カリヤはインドネシアには無くてはならないモデルとして、幅広いニーズに応えています。
日本では消費者のニーズから導入困難ですが、「超廉価なミニバン」が導入される日が来るとしたら、脚光を浴びるかもしれません。
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みんなのコメント
すっかりお忘れのようで…w
特にトヨタ版は、CMが不評を買ったこともありわずか3年余りで製造中止に
なってしまった7~8人乗りの小型ミニバンでしたが、かの地インドネシアでは
ダイハツの現地法人の手で「アルザ(ALZA)」として生産されていたんですね。
その後継車が「シグラ」、シグラのOEM版がこの「トヨタ・カリヤ」というわけですね。
まぁ日本ではこの手のクルマはやはり「スライドドア」がないと人気出ない…という
事情もありますが、現地インドネシアでは、あまりその点重視されない分
低コスト低価格で販売できるわけでしょうね。
ちなみにこの「カリヤ(CALYA)」という車名、サンスクリット語で「完璧な」という
意味だそうで…てっきりトヨタにゆかりのある愛知県「刈谷市」からとったのか
と思いましたが…w