輸入車 [2022.11.19 UP]
DBXに乗って感じたアストンマーティンに期待するもの【九島辰也】
文●九島辰也 写真●アストンマーティン
【新型7シリーズ、X7】BMWのフラッグシップはラグジュアリーを革新する
先回もレポートしたようにフェラーリがプロサングエを日本でお披露目しました。京都の仁和寺に飾られたシーンはとても印象的なもので、言うなれば“オツ”です。侘び寂び的な。
フェラーリはこれをSUVとは呼びませんが、これでかなりのウルトラハイブランドがその手のクルマをラインナップしたことになります。もっとも早かったのはベントレーベンテイガでしょう。初期のコンセプトモデルは少し不評でしたが、市販化されると人気になったのはご存知の通り。ベントレーのラインナップのかなりの部分を占めることとなります。
その後、マセラティレヴァンテ、ランボルギーニウラカン、ロールスロイスカリナンなどが後に続きます。レヴァンテは最初V6で登場しましたが、その後トロフィオなどV8モデルが追加され、販売に加速がつきました。そして、これらから少し時間を空けてリリースされたのがアストンマーティンDBX。こちらも当然ながらアストンマーティン史上初の背の高いクルマとなります。
アストンマーティン DBX
そんなDBXのステアリングを久しぶりに握りました。モデルは550psのスタンダードモデル。直近は707psのDBX707が話題ですが、そちらではありません。このカテゴリーでも700馬力オーバーのモデルが増えていますが、SUVの707psは驚きの数字です。まぁ、550psでも十分速いんですけどね。
ところで、アストンマーティンのモデル名の多くに“DB”が付くことにお気づきでしょうか? これは1940年代後半当時のアストンマーティンブランドを買収し、立て直した富豪デイビッド・ブラウン氏の頭文字です。DB1、DB2、DB3……なんて続きますが、メジャーなのはやはりDB5でしょう。ボンドカーとしてスクリーンを駆け回ったアレです。
それに“X”が付いたDCXはそのクロスオーバーってところ。まったく別の名前ではなく、DBシリーズにしたことに何か特別な想いを感じます。
それじゃどんなキャラクターなのかといえば、まさにアストンマーティンそのもの。背が高くなったこと以外はDB11やDBSといった2ドアスポーツカーを走らせているのと何ら変わりません。うまいのはドライビングポジションで、それがスポーツカーなんです。タイトで運転することに集中させるようなポジションとなります。ステアリングに正対するのがいいですね。
そして走り出すとクルマがものすごく小さく感じます。操作系に対して一体で追従し、コーナーを駆け抜けます。リアシートやリアドアがあることを忘れさせる運動性能と言っていいでしょう。それに背が高いことも。一応言っておきますが、サイズは全長で約5m、全幅もほぼ2mあります。それに全高は1680mmなので、標準的なラグジュアリー輸入SUVとカテゴライズしていいでしょう。遠くから見ても堂々としていますし、存在感もハンパありません。なのに、ここまで徹底してスポーツカーテイストに仕上げられるのは開発陣のこだわりとしか言えませんね。
デザインもそうです。SUVだからSUVらしくする、なんてところは皆無で、2ドアスポーツカーをそのまま継承します。フロントマスクはその代表例で、彼らのデザインを象徴するDBSに一番近い意匠です。イアン・カラム氏がスタートさせたデザインキューをマレック・ライヒマンがうまくモダンにした装いと言えます。変化球ではないストレートなところが好印象ですね。
アストンマーティン DBX
ただインテリアは少しシンプル過ぎる気がします。ライバルのインターフェイスがどんどんデジタルを駆使しして進化しているのを見ると、かなり保守王道。2500万円というプライスタグを考えると何か工夫が欲しいところでしょう。どうせなら“デジタルとクラシックの融合”なんてテーマをやって欲しいですね。DB5のメータークラスターをオマージュしながらアナログメーターをひとつずつデジタルにしちゃうとか。驚かせて欲しいものです。
その意味では最近のアストンマーティンは少し小休止している気がします。F1参戦での活動が前面に押し出させすぎてプロダクトやブランドにラグジュアリーな世界観が薄れてしまっているような。パフォーマンスの凄さはもはや世の中の多くの人が理解していますから007に通じるラグジュアリーでワイルドな男心をくすぐるコンテンツを提供して欲しいです。やっぱリアルにワクワクして憧れるのはそんな世界ですからね。そしてそこは、日本車はもちろん、ドイツ車やフランス車、イタリア車も踏み込めませんから。アストンマーティンの次なるブランド戦略に期待です。
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