既にmotorsport.comが報じた通り、世界耐久選手権(WEC)は来季から、ハイパーカークラスへ参戦するメーカーに2台体制での参戦を義務付ける方針と見られていた。そして、今年のル・マン24時間レースの決勝を今週末に控えた金曜日の定例記者会見で、WEC主催者であるFIAとACO(西フランス自動車クラブ)がこのレギュレーション変更内容を認めた。
FIAのリシャール・ミル耐久委員長は次のように語った。
■ホンダ、ル・マン挑戦の可能性は現状ゼロも“優先順位”次第と示唆「永遠に参戦しないという訳ではない」インディ撤退説も否定
「世界選手権としては理に適っている。各メーカーは2台のマシンを用意すべきだ」
「我々はマニュファクチャラーに本気のモノを持ち込んで欲しいと思っている。もうひとつの要素はBoP(性能調整)に関するもので、2台のマシンデータが必要だ」
この2台体制レギュレーションは、2025年にWECのエントリー枠が全37台から全40台に拡大されることと連動している。
WECのシリーズCEOであるフレデリック・ルキアンは昨年、40台という目標を明らかにしており、今回の記者会見でもこれが認められた。
現在、ハイパーカークラスに参戦するメーカーでこの2台体制レギュレーションに対応しなければならないのは、キャデラック、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニの3社で、これらは今年のWECに1台体制で出走している。
また来季からハイパーカークラスに参戦する予定のアストンマーティンは、昨年10月のプロジェクト立ち上げ時に、非ハイブリッドのヴァルキリーAMR-LMHをWECとIMSAスポーツカー選手権の両方に1台ずつ投入することを発表していた。しかし先月、レギュレーション変更にも「適応していく」として、計画が頓挫することはないと強調していた。
そして今回、ACOの記者会見に併せてアストンマーティンは声明を発表し、ファクトリーチームであるハート・オブ・レーシングが2台のヴァルキリーをWECに投入する意向であることを認めた。
アストンマーティンの耐久モータースポーツ主任であるアダム・カーターは次のように語った。
「2025年、我々のワークスチームであるハート・オブ・レーシングと共に、2台のアストンマーティン・ヴァルキリーAMR-LMHをグリッドに投入し、世界最高のスポーツカーメーカーの素晴らしい面々と戦うつもりだ」
キャデラックの親会社であるゼネラル・モーターズでスポーツカーレース主任を務めるローラ・ウォントロップ・クラウザーは、motorsport.comの取材に対して「やってくるレギュレーションに対応していく」と語った。
来年からはイギリスのJOTAが、現在のポルシェ963LMDhを駆るカスタマー体制から、キャデラックのファクトリーチームに移行すると考えられ、2台のVシリーズ.Rがグリッドに並ぶことは間違いなさそうだ。
またアイアン・リンクスが代表チームを務めるランボルギーニは、昨年7月の発表時から、2025年に2台体制でWECへ参戦する意向を示していた。
そしてもう1社のイソッタ・フラスキーニでモータースポーツ代表を務めるクラウディオ・ベッロは、2台目のティーポ6コンペティツィオーネLMHにパートナーチームのデュケーヌと共に取り組むことが優先事項だと説明した。
「今のところ、他のチームを探すことは考えていない」とベッロはmotorsport.comに語った。
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