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こんなはずじゃなかった!? どんなつもりだったの!? 浸透しない名前 鎮魂歌

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こんなはずじゃなかった!? どんなつもりだったの!? 浸透しない名前 鎮魂歌

 とある番組で、俳優の高橋一生さんが身の回りのいろんなものに名前をつけていると話していて、つける物もつけた名前も独特(車を「たけし」、愛犬に「肉山さん」、洗濯機は「せんだ君」など)だったので、強烈に印象に残っている。

 そのセンス云々の話は置いておくとして、名付けるというのは、特に名前を付けた当人にとっては思い入れの深い行為だ。

超「角」フォルムの超無骨SUV「ボーリンジャー B1」の正体

 しかし、そんな名付け親たちの込めた想いや期待などとは裏腹に、その名前がまったく周知してもらえない悲しいケースもままある。

 ここでは、イマイチ世に浸透が進まない印象でベストカーとしても気を揉んでいる「サポカー制度」についてのお話を皮切りに、世の中に受け入れられてないのかなー、そういえば聞かなくなったね……という名前たちをそっと取り上げてみたい。

※本稿は2017年11月のものです。


文・写真:ベストカー編集部


初出:『ベストカー』2017年12月10日号

■なかなか浸透しないネーミング 【サポカー編】

 最近、トヨタやマツダのホームページなどでやたらと躍る「サポカー」の文字。

 これは「高齢運転者による事故防止対策」の一環で、自動ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などを搭載したクルマ「安全運転サポート車」の普及・啓発のため、それらを備えたクルマに与えられた呼称である。

 音頭をとったのは経産省と国交省だ。

 正式名称は「セーフティ・サポートカー」なのだが、広く人口に膾炙(かいしゃ)することを狙ってか、「サポカー」と略してみた、ということらしい。

 実はこのサポカー、装備しているものの種類によって4分類されている。下にまとめたので、ぜひ参照してほしい。「言葉自体は親しみやすいが中身がイマイチわからない」といわれがちなサポカーも、これでバッチリだ。

■国交省、経産省が推進する「サポカー」の分類

・左上:サポカー…自動ブレーキを搭載したクルマ。ドライバー全般に推奨。(対象車:サポカーS対象車はすべて含まれる)

・右上:サポカーS ベーシック…低速自動ブレーキ(30km/h以下。対車両)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置装着車(対象車:S660、N-ONE、N-WGN、アルト、eKスペースなど)

・左下:サポカーS ベーシック+…自動ブレーキ(対車両)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置装着車、ペダル踏み間違い時加速抑制装置装着車(対象車:S660、N-ONE、N-WGN、アルト、eKスペースなど)

・右下:サポカーS ワイド…自動ブレーキ(対歩行者)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱警報、先進ライト装着車(対象車:クラウン、プリウス、シビック、CX-8、CX-5など)

■なかなか浸透しないネーミング 【のりもの・国名・地名編】

■東京さくらトラム(都電荒川線の愛称)

〈呼称の由来〉

 今年4月に決定した、都内に唯一残る路面電車、都電荒川線の愛称。「沿線に桜の名所が多く、イメージに合っている」、「日本と東京を象徴する花で、外国人にも親しまれている」などの理由で決定。

〈編集部コメント〉

「チンチン電車」でいいと思います。出発進行時に鳴らすベルの音にちなんだ「チンチン電車」。昭和を偲ばせる、いい愛称でしょ?

■E電(元国鉄)

〈呼称の由来〉

 1987年、日本国有鉄道民営化の際に、「国鉄電車」の略称「国電」に代わるものとして採用。が、大々的に普及活動を行ったにもかかわらず、結局浸透したのは「国鉄」の代替名称の「JR」だった。

〈編集部コメント〉

 担当的には「E電」の響きが軽すぎたのではないかなーと考える。いい年したサラリーマンが使うには、「E電」はチト恥ずかしい。ちなみに名称の一般公募では「E電」は20位だった。なんでそんなん採用したの。

■オーストリー(オーストリア)

〈呼称の由来〉

 元はモーツァルトなどを輩出した由緒正しきオーストリア(大丈夫ですよね? 南半球じゃなくて中央ヨーロッパですよ)。が、2006年10月に駐日オーストリア大使館商務部がオーストラリアとの混同を避けるため、国名の日本語表記をオーストリーにすると発表。

〈編集部コメント〉

 オーストラリアと混同する、というのはよくわかるが、オーストリーもオーストリーでやっぱりまったくシックリこない。

■ジョージア(グルジア)

〈呼称の由来〉

 黒海沿岸に位置し、1991年まではソ連の構成国だったグルジア。実は2015年4月に呼称をジョージアと改める法律が、日本で成立している。

〈編集部コメント〉

 アメリカの州名やコーヒーの名前としてのほうがはるかに浸透している気がするが、実はグルジアと呼んでた国のほうが少数派だったらしい。

■バスケットボールストリート(センター街)

〈呼称の由来〉

 スポーツ振興と青少年の健全育成を基本理念に2011年9月、渋谷センター街エリアのメイン通りを「バスケットボールストリート」と改称した。

〈編集部コメント〉

 これはわりと浸透している気もする。ちなみにちゃんと由来もあって、「センター街は日本のバスケの聖地・国立代々木競技場第二体育館に通じる道だから」とのことである。それは知らなかった…。

■ 親富孝通り(親不孝通り)

〈呼称の由来〉

 親不孝通りは、福岡の中央区天神地区にある通りの名。1976年に大手予備校が移転してきて、多くの予備校生がたむろするようになり「親不孝者ばかりくる」ことから、その名が付いたとされる。

 1990年代後半に治安が悪化し、通りの名称にも問題があるとされ、2000年に「親富孝通り」に改称された。

〈編集部コメント〉

 ……んが、しかし。この親富孝通り、2015年頃から地元商店主の間で足の遠のいた若者を呼び戻そうと「親不孝通り」復活の動きが高まり、2017年2月に地元の協議会が名称復活を決定。浸透しない名前はやっぱりダメなのねという例。

■ダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル国際空港)

〈呼称の由来〉

 なんのことやらわからないかもしれないが、これはハワイ・オアフ島にあるホノルル国際空港の新名称。ちなみにダニエル・K・イノウエは、ハワイ州出身の日系アメリカ人初の連邦上院議員だった人物だ。

〈編集部コメント〉

 2017年4月に改称。どう考えてもハワイ州最大の都市であるホノルルの名を冠していたほうがいい気がするが、決めるのはハワイ人なので、しょうがない。

■クルマ界 いつのまにか消えたネーミング 

 クルマの世界では技術の進歩も、流行の移り変わりも早い。

 ココではその過程で、惜しくも主流から外れていってしまったものを紹介する。懐かしさにハンカチを噛み締めつつお読みいただきたい。

■G-BOOK

 トヨタが提供するテレマティクスサービスで2002年、WiLLサイファに標準搭載された。現在もサービスは継続されているが、登場から15年が経過し、さらに2014年に新たなテレマティクスサービス「Tコネクト」がスタートしたことで、存在感は希薄に。

■鬼キャン

 車両正面や真後ろから見て、タイヤがハの字状に見えるほど極端なネガティブキャンバーを付けた状態のこと。元はグループAの32型スカイラインGT-Rを真似たものとされているが、直進安定性は悪く、タイヤも偏摩耗するなどロクなことがない。

■ターボラグ

 完全消滅とはいえないが、最近のターボ車では再加速までの遅延時間は、だいぶ解消されつつある。

■ザウバーディッシュホイール

 VIPカーにはけっこう人気でしたな。

■サイドターン

 サイドブレーキを引くことで後輪をロックさせ、意図的にリアを滑らすテクニック。だがシビックタイプRですら電子制御式パーキングブレーキとなった今、チト時代遅れ感が漂うのも事実。

■なかなか浸透しないネーミング【スポーツその他編】

■リレーション(ゲートボール)

〈呼称の由来〉

 本来5人対5人で競うゲートボールを、フットサルやビーチバレーのように新しいスタイルで楽しんでもらえるよう、2人対2人、3人対3人で楽しむものを「リレーション‐2」、「リレーション‐3」と呼ぶようにと、日本ゲートボール連合が決定した。

〈編集部コメント〉

 若々しい呼称になった。実際やってみるとなかなか熱くなれる、れっきとした「スポーツ」だったりする。そして実は日本発祥のスポーツで、世界選手権も開かれている。第1回は1986年だ。

■母さん助けて詐欺(オレオレ詐欺・振り込め詐欺)

〈呼称の由来〉

 2004年11月までは「オレオレ詐欺」。手口の多様化で実態にそぐわなくなり、同年12月に「振り込め詐欺」となったが、ATMによる振込限度額の引き下げを受け、振り込ませる詐欺が減少。公募により2013年5月に「母さん助けて詐欺」となった。

〈編集部コメント〉

 惜しくも採用されなかった「ニセ電話詐欺」のほうがわかりやすい気が。

■レイブル(ニート)

〈呼称の由来〉

「遅咲き」、「大器晩成」を意味する「レイトブルーマー」の略で、就労意欲がありながら職に就けない若者を指す言葉として、2011年から大阪府が提唱。「ニート」では負のイメージが強く、採用側が二の足を踏むという実態への対処だそうだ。

〈編集部コメント〉

 欧米では若者を応援する言葉だとか。そういう意味では大いに浸透してほしい。

■アーティスティック スイミング(シンクロナイズド・スイミング)

〈呼称の由来〉

 2917年7月22日、国際水泳連盟がブダペストで総会を開き、シンクロナイズド・スイミングから名称を変更「した」。競技内容をイメージしやすい名称に変えることで、種目の人気を高めるのが狙いだ、という。

〈編集部コメント〉

 「同時性に限らず表現力や演技の構成を競うのだから、『アーティスティック(=芸術性)』がふさわしい」とは国際水泳連盟の弁。ロシアのポクロフスカヤ・ヘッドコーチは「え~、元のままでいいよ~」とコメントしたそうだ。いいぞ、ポクロフスカヤ!

*   *   *

 というわけで、サポカーをスタート地点に。なかなか浸透しないネーミングを見てきた。「名前は燃える生命」と1970年代後半から1980年代前半に活躍したグループも歌っていた。呼称、大事にしたいよね。

【番外コラム】 わりとフリーダム! 最近増えている空港の愛称

 上で紹介しているダニエル・K・イノウエ国際空港もそうだが、もしかしたら空港というのは、あんがい気軽に名称をイジれるものなのかもしれない。そう思えてしまう例が、我が国日本にもけっこうある、それが下に挙げたような空港の愛称だ。

『ゲゲゲの鬼太郎』、『名探偵コナン』といったマンガのキャラクターから、「おいしい」「きときと」といった形容詞、形容動詞がつくもの。そしてその土地の名物、出身者などがつくパターンまで実にさまざま。何気に地方空港に多い気がするが、見ていて楽しいので、もっと各地に波及していってほしい。

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