上級コンパクトといして高い人気を誇るノートオーラとアクア。取り回しの良さと経済性、そして質の高い装備によって輸入車志向のユーザーにもアピールする存在だ。この2台のハイブリッドのどちらを購入するかで迷っているユーザーも多いはずだ。
そこでそんな魅力的な2台を渡辺陽一郎氏にガチンコで比較してもらった!
N-BOXほか売上独占4台 アトレー&ハイゼットにFMCのアルト… 最新軽自動車徹底チェック!
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部
■この2車種のプロフィール
日産 ノートオーラ。ノートの上級車種にあたり、ハイブリッドのe-POWERのみを搭載する
ノートオーラはハイブリッドのe-POWERのみを搭載するノートの上級車種で、内外装を上質に変更して全幅もワイドな3ナンバー車とした。
アクアもコンパクトなハイブリッド専用車だ。ヤリスハイブリッドとプラットフォームなどの基本部分を共通化したが、内装の造り、居住性、乗り心地、走行安定性などはアクアが勝っている。従ってアクアはヤリスハイブリッドの上級車種になり、ノートオーラと位置付けが似ている。
そしてノートオーラGは、ノートXに比べて約42万円高いが、LEDヘッドランプ、後側方車両検知警報、アルミホイールなどを標準装着した。これらの装備は、ノートXには備わらず、価格に換算すると約26万円に相当する。
つまりノートオーラが、内外装、動力性能、走行安定性などを上級化した対価は、42万円の価格差から26万円を差し引いた16万円に収まる。ノートオーラGの価格はノートXに比べて高価だが、買い得感は強いのだ。
アクアも同様で、アクアZの価格はヤリスハイブリッドZに比べて7万6000円高いが、後者が装着しないアルミホイールと100V・1500Wの電源コンセントを備える。
ヤリスにこの2つの装備をオプション装着すると、価格が12万6500円高まるから、装備を含めた実質価格は、居住性や乗り心地の優れたアクアZが実質5万円ほど安い。
このようにノートオーラとアクアは、上質で割安なハイブリッド専用のコンパクトカーだ。売れ行きも好調だから、この2車種を比べてみたい。
■ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較
トヨタ アクア。ノートオーラと同じくハイブリッド専用車となる。ノートオーラが全幅がワイドな3ナンバー車に対して、アクアはコンパクトな5ナンバー車となる
ノートオーラのボディサイズは、全長が4045mm、全幅は1735mm、全高は1525mmだ。全幅が1700mmを超えるから3ナンバー車になる。
アクアは4050mm・1695mm・1485mmとされ、5ナンバーサイズに収まる。全幅はノートオーラよりも40mm狭く、全高も40mm低い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、ノートオーラが2580mm、アクアは2600mmだから若干長い。
最小回転半径は、ノートオーラが5.2m、アクアも一番価格の安いBの4.9mを除くと5.2mで等しい。立体駐車場を使いやすい全高も含めて、両車とも互角だ。
そうなると両車で明確に異なるのは全幅で、ノートオーラは40mmワイドだから、取りまわし性にも影響を与える。
その一方でアクアは、サイドウインドーの下端を後ろに向けて大きく持ち上げた。このボディ形状によってアクアは後方視界が悪い。購入時には、縦列駐車や車庫入れを確認したい。両車の違いを比べるとノートオーラが運転しやすい。
★勝敗:ノートオーラの勝ち
■内装のデザイン/質感/視認性/操作性比較
内装はノートオーラが上質だ。インパネの上面は布貼りで、木目調パネルの見栄えも良い。アクアも助手席の前側にパッドを装着して本物のステッチ(縫い目)をあしらうなど、ていねいに造り込んだが、ノートオーラはさらに上質だ。
メーターの視認性は両車ともに互角だ。ATレバーは、ノートオーラはセンターコンソール、アクアはインパネに装着した。操作感覚はノートオーラが馴染みやすい。
★勝敗:ノートオーラの勝ち
■前後席の居住性比較
前席の座り心地は、両車ともに柔軟で、背中から腰、大腿部の近辺をしっかりと支える。着座姿勢が乱れにくく、長距離を移動する時も快適だ。
後席の居住性も、両車とも良く似ている。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、両車とも握りコブシ2つ弱で等しい。
ただし頭上の空間は、全高の違いによってノートオーラが若干広く、サイドウインドーの面積も十分に確保したから開放感が伴う。乗降性もノートオーラが良好で、アクアは天井を後方に向けて下降させたから、頭を下げて乗り降りする。
★勝敗:ノートオーラの勝ち
■荷室/シートアレンジ/収納設備比較
荷室の広さは両車ともにほぼ同じだ。後席の背もたれは、左右独立して前側に倒すことが可能で、実用的には十分なスペースが確保される。
収納設備は、助手席の前側に上下2段のボックスを装着するなど、アクアが少し充実している。
★勝敗:アクアの勝ち
■動力性能&エンジンフィーリング比較
ノートオーラのe-POWERは、基本部分はノートと共通だが、チューニングは異なり動力性能を少し高めた。運転感覚では、実用域の駆動力を向上させている。
アクアも、ヤリスハイブリッドに比べると、実用域を中心に駆動力が高い。アクアの主力グレードでは、バイポーラ型ニッケル水素電池を使うことが利いている。
両車の性能は互角に近いが、ノートオーラのe-POWERは、モーター駆動が基本だから加速が滑らかだ。動力性能は同等だが、加速感でノートオーラが少し有利になる。
★勝敗:ノートオーラの勝ち
■走行安定性&操舵フィーリング比較
危険を避ける時などの安定性は両車とも互角だが、峠道を走る時の曲がりやすさは、ノートオーラが少し上まわる。アクセルペダルを故意に少し緩めることで、車両を内側に向ける運転操作も行える。ノートオーラの性格は上級指向だが、運転感覚は意外にスポーティだ。
アクアも走行安定性が優れ、安心しできるが、走りの奥が深いのはノートオーラになる。
★勝敗:ノートオーラの勝ち
■乗り心地比較
ノートオーラは、走りが機敏でスポーティな代わりに、乗り心地は硬めだ。車両の性格を考えると、操舵感は少しマイルドな設定に抑えて、乗り心地を向上させたい。
アクアも時速40km以下の低速域では硬めに感じるが、ノートオーラと乗り心地を比べると、少し柔軟な印象を受ける。
★勝敗:アクアの勝ち
■安全装備比較
安全装備はアクアが充実する。衝突被害軽減ブレーキは、自車が右左折する時に、直進車両を検知して衝突被害軽減ブレーキを作動させる。右左折時の歩行者検知も同様に行う。
ノートオーラも、2台先を走る車両を検知して、前方で異常が生じた時には早期に警報を発するが、総合的に判断するとアクアが先進的だ。
★勝敗:アクアの勝ち
■燃費性能比較
WLTCモード燃費を2WD同士で比べると、ノートオーラGは27.2km/Lだ。アクアでは、売れ筋のZとGは33.6km/Lになる。燃料消費量はアクアが少ない。
★勝敗:アクアの勝ち
■買い得グレードと価格の割安度比較
ノートオーラの推奨グレードはGで、価格は261万300円だ。運転支援機能のプロパイロットは、BOSEパーソナルサウンドシステムなどと併せてセットオプションになり、セットオプション価格は40万1500円と高い。合計すると301万1800円になる。
アクアの推奨グレードはZで、価格は240万円だ。ノートオーラと異なり、運転支援機能も標準装着される。
そこに後方の並走車両などを検知するブラインドスポットモニター、後退時の安全性を高めるパーキングサポートブレーキ、パノラミックビューモニター、車庫入れを支援するアドバンストパークなどのセットオプションを18万8100円で加えても、総額は258万8100円に収まる。
以上のようにアクアZは、ノートオーラGに比べて買い得だ。ノートオーラの場合、ベース車のノートが価格の割に装備を省いた。そのために冒頭で述べた通り、ノートオーラはノートに比べて装備を充実させた割に価格を安く抑えたのに、アクアに比べると割高になってしまう。
★勝敗:アクアの勝ち
■総合評価/どちらが買い?
機能や装備と価格のバランスではアクアが買い得。ただし、ノートオーラは内外装の質感がアクアを上まわり、プレミアム感がある。予算に余裕がある場合はじゅうぶん検討の余地がある
機能や装備と価格のバランスではアクアが買い得だ。アクアは1か月の販売目標を9800台に設定しており、価格も割安に抑えた。
その点でノートオーラは割高で、運転支援機能のプロパイロットを装着すると、前述のように300万円を超えてしまう。ただし、内外装の質感はアクアを上まわり、プレミアム感覚もある。予算に余裕がある場合は、ノートオーラにも注目したい。
そしてノートオーラでは、8万9100円を加えてG・レザーパッケージを選ぶと、シート生地が本革になって後席のセンターアームレストも加わる。つまりG・レザーパッケージは、Gよりも買い得だ。
さらにG・レザーパッケージの価格に17万500円を加えると、エアロパーツ、アルミホイールと専用のハイグリップタイヤ、スポーティな内装、専用のサスペンションなどを備えたスポーツモデルのノートオーラNISMOを買える。
つまりノートオーラを含めたノートシリーズでは、グレードや仕様を上級化するほど、買い得になっていく。この価格設定の特徴も踏まえた上で、購入する車種やグレードを判断したい。
★勝敗:アクアの勝ち
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