クラウンクロスオーバーの発売日がようやく決まった。ワールドプレミア後、発売開始は品質確認が必要という理由で延期されていたが、このほど9月1日で決着したようだ。
予約注文段階から、生産工場が動き出す受注(オーダー)のフェーズへ展開した新型クラウン。発表から1カ月半が経過し、販売店ではどのような動きがあるのか、現状をお伝えしていこう。
新型クラウンクロスオーバー、本日9月1日正式発売! 気になる販売現場の士気や如何に?
文/佐々木 亘、写真/ベストカーWeb編集部
■やっとオーダーできる安堵感
名古屋のミッドランドスクエアに展示された新型クラウンクロスオーバー。本日9月1日に正式発売となったが、メーカー側からのアナウンスは特になし
クラウンは、7月15日の発表時点から見積書や注文書の作成は可能だった。できなかったのは、ディーラーからメーカーへのオーダー(受注計上)である。顧客と取り交わされた注文書は、販売店本部で行われるオーダーを待ちわびていた。
それぞれのお店で受け付けた注文データは販売店本部へ送られる。販売店本部はデータ受信後、注文内容に問題がないことを確認して、メーカーへオーダーするという流れが一般的だ。
9月1日に開いたメーカーオーダーの門。これにより、おおよその生産日程や納期などが各店舗で確認できるようになり、新車「注文」から「納車」へ向けた活動をスタートできる。
クラウンクロスオーバーの生産は、8月末頃から愛知県豊田市の堤工場で、9月中旬からは元町工場で始まる予定だ。すでに全国各地で計上されている予約台数は約1万台と言われており、今後正式な納期が発表される。予約が1万台超となると、納車には1年以上を要するだろう。
新型クラウンが、いよいよ動き出す。
■展示車と試乗車の配車は未定! 全国行脚も開催地は限定的
DISCOVER YOUR CROWN.という全国キャラバンが始まっているが、実車を見られるのは愛知と東京以外では福岡、札幌、大阪の全国3都市
発売の日程は決まったが、販売店向けの試乗車や展示車の入荷予定は立っていない。
従来であれば、ディーラー配車枠確定→生産スタート→展示車・試乗車配車→発表・発売という流れが組まれ、発売日には展示車や試乗車が各店舗で準備されている状態だった。しかし、クラウンクロスオーバーでは、この予定調和が大きく崩れている。
筆者が取材した8月末現在、クラウンの試乗車や展示車がいつ来るのかという問いに対して、販売店の明確な回答は得られなかった。クラウンの試乗を希望する商談客は多いようで、販売店としても売り方に苦心する姿が見える。
メーカーでは「DISCOVER YOUR CROWN.全国キャラバン」という、新型クラウンにいち早く触れられるイベントを開催中だ。福岡・大阪・札幌の全国3都市を、クラウンが巡る。
また、常設展示は愛知県豊田市のトヨタ会館、名古屋市のミッドランドスクエアで行われている。すでに東京では六本木で展示され、主要都市ではクラウンを目にする機会が設けられた形だ。
しかし、地方都市では、クラウンクロスオーバーを見る機会がまだない。
販売現場からは「47都道府県とは言わないが、仙台・新潟・岡山といった政令指定都市にはキャラバンで周ってほしかった。一時的なイベントでも、クルマを確認する機会があれば、顧客へ案内する機会ができ、商談が一歩進む。もう、カラーサンプルのミニカーとカタログだけでは、販売活動は手詰まりだ。」という話が出てきている。
販売現場の混乱収束には、もう少し時間がかかるだろう。まずはクラウンを観られる環境整備を進めてほしい。
■グレードはRSが健闘中? 販売現場の最新情報
新型クラウンクロスオーバーの2.5Lハイブリッド。従来型のクラウンオーナーにはこちらのほうがやはりしっくりくるのか
予約注文では、2.4Lターボハイブリッドと2.5Lハイブリッド、2種類のパワートレーンが人気を分け合っている。従来のクラウンオーナーが慣れ親しんだ2.5Lハイブリッドを選ぶのに対し、マークXやカムリ、トヨタ以外のメーカーからの乗り替え客が、2.4Lターボハイブリッドを支持しているようだ。
さらに「現車を見てから、乗ってから」という客層が多く、その興味はRSに向いている。今後、試乗車が配備されれば需要がRSに偏り、グレードごとの納期差が出てくるだろう。
多くのクルマが1年以上の納車待ちとなり、改良やモデルチェンジを控えオーダーストップしている。販売店としては、売るクルマがない。今は、注文を受け付けることができ、納車まで事を運べるクルマを探して販売している状況である。
こうした背景もあり、現在のトヨタ販売店は、筆者の知っているクラウン登場後のお祭り状態ではない。事態が好転するのを静かに待ち、販売の士気を下げないよう、懸命に努力を続けているようにも見えた。
クラウンを売るための城は準備万端だが、肝心の城主がなかなか現れず、フラッグシップモデルのクラウンが登場したという盛り上がりは感じられない。販売現場はクラウンの到着を待ちわびている。
社会情勢や世界情勢などさまざまな問題が山積し、その影響を大きく受けているトヨタ。メーカーがひとつずつ、問題を解決していく姿は見えてきた。販売現場に好循環が広がるのは、もうしばし先になりそうだが、メーカーとディーラーがともに手を取り合い、大切な「クラウン」を日本中に届けてほしい。
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みんなのコメント
そんなユーザーは切り捨てたし、内外装共安っぽいから現車見て確認したい人が多いと思う。
画像や動画で見るよりはマシだからって人がクラウン買うんだろうね。