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400Vが中心の電気自動車に800Vアーキテクチャー採用の流れ! そもそも電圧を倍にすると何がいいの?

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400Vが中心の電気自動車に800Vアーキテクチャー採用の流れ! そもそも電圧を倍にすると何がいいの?

高性能充電器の使用が可能に

一般に、電気自動車EV)は、400ボルト(V)で機能している。それを800Vにしようというのが、800Vアーキテクチャーと呼ばれる仕様だ。

とりあえず余裕のあるやつ買っとけば……は損! EVのバッテリーは「大は小を兼ねない」

アーキテクチャーとは、建築様式や建築学などの意味になるが、一般的には構造や構成という意味で使われ、ことにコンピュータ関連ではシステムの基本を指す。

EVで800Vアーキテクチャーといえば、800Vの電圧を利用した電力で走り、また充電できる能力を示す。一般的なEVに比べ2倍の電圧の活用だ。

電圧を高めることで、より高性能な出力が得られたり、高性能充電器を使うことを通じて短時間に充電できたりするようになる。加えて、電圧が高くなれば、電流量を下げられることにもなり、配線を細くできる。つまり、配線に使われ銅線の量を減らせるので、軽量化につながる。大容量のリチウムイオンバッテリーを車載する大柄であったり高性能であったりするEVの場合、バッテリーだけでもかなりの重さになるので、配線を軽くできれば、電力消費の効率を高めることにつながる。

電気の使い方については、川の流れを例にすると理解しやすい。

川は、源流となる上流付近は山岳地帯が多く、標高差が大きくなるため、川幅は細い。下流へ向かうにしたがって平地に近づき、高低差が少なくなってくるので、川幅は広くなる。

その場合の高低差が電圧(V)で、川幅を電流(A)としてみると、電圧=高低差のある上流では、電流=川幅は狭い。つまり、配線を細くしたことと同じだ。下流に来るにしたがって、高低差と川幅は逆転する。つまりそれは、電圧が低くなって、電流が増えることと考えられる。それでいながら、上流から下流まで、水量は1本の川であれば変わらない。それが電力(W)を象徴している。

同じ水量が上流から下流へ流れる間に、高低差と川幅は違ってくる。そのことは、電気でいえば、W(ワット)=V(ボルト)×A(アンペア)の関係式から読み取れる。

より厳重な安全対策をする必要がある

たとえば、50kW(キロ・ワット)の充電器で充電するとした場合、400Vアーキテクチャーであれば最大で125Aの電気を流すことになるが、800Vであれば62.5Aで同じ電力を得られる。そのぶん、充電ケーブルを細くすることもでき、軽い扱いで充電作業ができる。

高出力のEVにしたい場合も、電圧が400Vのままであれば、必要な高電力(W)を得るため、配線を太くして、より多くの電気を流せるようにしなければならない。当然ながら、太くなった配線分は重量増になる。

とはいえ、電圧が高いと、故障や不具合に対する安全対策をより厳重にする必要がある。

家庭で使う100Vでさえ、万一ショートしたら火花が散る。車載されている補器用の鉛酸バッテリーの12Vでさえ、ショートしたら火花はもちろん、それなりの衝撃を感じるはずだ。

それらを知れば、400Vでも万一の危険性はかなり高いのであって、それであるから、高電圧系の配線はオレンジに色分けされ、資格をもつ整備士以外は触れないように注意喚起されている。それが2倍の800Vとなれば、より以上の注意深さが、設計はもちろん取り扱いにおいて不可欠だ。

消費者の立場からすれば、高電圧化は利便性の向上に直結し、歓迎されるべきと思いがちだ。しかし、いいことばかりではないことを知っておくべきだろう。

それはEVの高性能化を否定するものではなく、適切なバッテリー車載量を選びながら、充電の仕方で利便性を損なわないような、最良の充電社会基盤整備という構想が不可欠であることを、改めて認識することに通じる。

それには、EVはエンジン車やハイブリッド車とは違う乗り物であるという出発点からはじめなければならない。このことは、メーカーだけでなく、EVを使う消費者にも発想の転換を促すことになるだろう。

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みんなのコメント

7件
  • zzz********
    電線は細くできるが絶縁体はより高性能の物が求められる
    シリコンでは機械的強度が不足する為テフロン等が使用される

    それよりも低圧電気取扱業務の資格は直流750V交流600Vまで
    交流800Vになると高圧電気取扱業務の資格が必要になる
    法改正で600Vを800Vとはいかない
    たかが200Vされど200V…
    危険を軽視する事は許されない
  • M2
    しかし、感電したら即死だな。
    恐ろしいよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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