※この記事は2007年6月に発売された「VW GOLF FAN Vol.12」から転載されたものです。
170psのTSIと200psのT-FSI、サーキットで勝つのはどっちだ!?
フォルクスワーゲン・ゴルフGT TSI vs ゴルフGTI
「VWゴルフIIリフレッシュ大作戦」最終報告【VW GOLF FAN Vol.12】
TSI再検証。その最初のステージはサーキット・アタック。俎上に上げるのはゴルフGT TSIである。そしてターゲットとなるのは2LT-FSIを搭載する兄貴分ゴルフGTIのタイム。そう、テーマはズバリ「サーキットでGT TSIはGTIにどこまで迫れるのか」だ!!
気になるのは2LターボT-FSIとの実力差
フォルクスワーゲン(VW)が面白いエンジンを世に送り出してきた。ゴルフGT用のパワーユニットとして2L直噴エンジン(FSI)に替えて、1.4L直噴+ツインチャージャー(スーパーチャージャー+ターボチャージャー)ユニットを開発、搭載したのだ。これによって省燃費、CO2削減という環境性能を高めるとともに、ハイパワー化も達成して、ドライビングプレジャーを高めている。
……というのがVWの掲げるお題目だが、それと同時にGLiと同じエンジンのサスペンション違いという、GTのあまりプレミアム性のない位置付けを、新しいエンジンを搭載することで起立させるという狙いもある。
実際、ツインチャージャーの威力はなかなかのもので、1.4Lエンジンとは思えない低回転域のトルク、高回転の伸びがある。となれば、気になるのはGTI=2L FSIターボとの性能差。というわけで、本庄サーキットにGT TSIとGTIを持ち込み、ガチンコのタイムアタック対決をやってみよう、ということになった。
ちなみにラップタイムを左右するタイヤだが、テスト車はいずれも225/45R17のコンチスポーツコンタクト2を装着している。ただし、ホイールサイズがGT TSIが7J×17なのに対して、GTIは7.5J×17。実接地面積でおよそ5mm程度GTIのほうが広くなる。それがどのようにタイムに影響するのだろうか?
1.4Lの排気量を感じさせないTSI
まずはTSIでコースインしたが、サーキットで真っ先に感じたのは、市街地やワインディングで感じた以上に中低回転域のトルクが充実しているということ。1.4Lという排気量の少なさを感じる場面は皆無といっていい。低回転域ではスーパーチャージャーが過給しているのでターボラグがなく、アクセルを踏んだ瞬間から厚みのあるトルクを発揮する。
カタログデーターによれば24.5kg-mの最大トルクを1500~4750rpmの間で発揮するとあるが、さすがに2000rpm台ではサーキットでタイムを削り取るような速さは得られない。しかし、3000rpm台の後半、具体的にいえば3800rpmくらいからはサーキット走行でも十分に使える加速性能を示し、トルクの太さでクルマをグイグイ前に押し出すような加速感を得られる。
そして4500rpmくらいになると、ターボの伸びの良い加速フィールに取って代わり車速を伸ばしていく。TSIのいいところは、低回転域のトルクの太さとともに高回転域の伸びのよさも確保しているところにある。スーパーチャージャーだけではどうしても機構上のメカニカルロスが高回転域でのパワーを減殺してしまう。その領域をメカニカルロスのないターボで受け持ってくれるわけだ。
一方、ハンドリング面では、サスペンションがスパルタンなセッティングではなく、むしろしなやかな味付けなので、強引にコーナーに飛び込みクルマを捻じ曲げようとすると、フロントアウト側の沈み込みが大きくなり過ぎてしまう。だから、気持ち進入スピードを控えめにして、コーナーのアペックスポイント(頂点)くらいでスイッと向きを変え、なるべく早くアクセルを踏み出すようにしてやるほうが、スムーズで速い立ち上がり加速が得られる。
特に本庄サーキットはタイトコーナーが多いので、立ち上がり重視で走るのがいい。コーナー半ばのアクセルコントロールも、スーパーチャージャー領域なので、アクセルの微妙な操作にリニアに反応してくれコントロールしやすいのだ。タイムは50秒352だった。
速さはGTIに軍配、TSIの良さは懐の深さ
次にGTIでサーキットを走り出してみると、よりガシッとした安定感のある乗り味に気付く。よりスポーティなサスセッティングと実質接地幅およそ5mmアップの効果だろう。実はリム幅が広がるとサイドウオール部の絞り込みが少なくなるので、タイヤの剛性も若干アップするのだ。
とはいえ、操縦性にさほど大きな差はないといえるし、接地面積が広がったことによるブレーキ性能の差も誤差の範囲といっていいレベル。ただ、ブレーキを残しながらタイトコーナーのカーブに入っていくときの安定感で、GTIがやや勝るようだ。
さすがというべきか、感心したのは、そのターボの巧みなセッティングだ。TSIのアクセルレスポンスはNAエンジン並に優れていると思ったが、GTIのレスポンスも負けていないのだ。
GTIはターボなので、タイトコーナーから立ち上がるときのターボラグに、TSIの付け入る隙があるのではと思っていたが、圧縮比10.3対1の高圧縮比ターボを可能にする直噴エンジンのおかげで、低中回転域のアクセルレスポンス、パワーの付きが素晴らしくいいのだ。しかも、高回転域のターボの伸びは排気量差を実感させるだけの迫力があり、この点でもGTIが勝っていた。
ただし、当初はTSIとGTIのタイム差は0.6秒ほどだった。それは旋回スピードを高めにしてコーナーを立ち上がっていたからだ。といっても、タイヤがスキール音を発するほど激しく攻め立てたわけではなく、気持ち高めにしていたという程度。だが、その走り方だと、コーナー立ち上がりでアクセルを開け、ターボが効き出したときにホイールスピンしやすくなってしまうし、パワーコントロールも難しい。
そこで走り方を変え、アペックスポイントでの旋回スピードをTSIよりも抑え気味にして、極端な立ち上がり重視の走り方にしてみた。すると、旋回に使っていたタイヤのグリップ力をそのままトラクションに生かせるようになって、あっさりと48秒870をマーク。GTIの性能を見せつける形となった。
もちろん、ゴルフのスポーツモデルであるGTIが、そんなに簡単に攻略されてしまっては立場がないわけで、価格差以上の速さをGTIは持っているし、またそういった走りの性能に、より重心を置いたクルマであるということだ。
ただひとつ、比較的大きな意味を持つだろうと思うのは、最初のタイム差。TSIはパッと乗ってベストタイムが出るほど乗り易いということ。逆にGTIは速さを引き出すためにはそれなりのテクニックや工夫が必要。ゴルフにスポーツ性を求めるなら迷わずGTIだが、どんな場面でもコンスタントに速く走れる懐の深さが、TSIはあるということだ。
GTI BEST LAP 48'870
【specifications】VOLKSWAGENGOLF GTI(6速DSG)
■全長×全幅×全高=4225×1760×1495mm
■ホイールベース=2575mm
■トレッド(前/後)=1530/1505mm
■車両重量=1460kg
■最小回転半径=5.0m
■乗車定員=5名
■エンジン型式/種類=AXX/直4DOHC16Vターボ
■内径×行程=82.5×92.8mm
■総排気量=1984cc
■圧縮比=10.3
■最高出力=200ps(147kW)/5100~6000rpm
■最大トルク=28.6kg-m(280Nm)/1800~5000rpm
■燃料タンク容量=55L(プレミアム)
■10・15モード燃費=12.6km/L
■ミッション形式=6速DSG
■変速比=(1)3.461(2)2.150(3)1.464(4)1.078(5)1.093(6)0.921(R)3.989(F)4.058((5)(6)(R)3.136)
■サスペンション形式=前ストラット&コイル、後4リンク/コイル
■ブレーキ=前Vディスク/後ディスク
■タイヤ(ホイール)=225/45R17(7.5J)
■東京標準現金価格=3,440,000円
GT TSI BEST LAP 50'352
【specifications】VOLKSWAGEN GOLF GT TSI
■全長×全幅×全高=4225×1760×1500mm
■ホイールベース=2575mm
■トレッド(前/後)=1525/1500mm
■車両重量=1410kg
■最小回転半径=5.0m
■乗車定員=5名
■エンジン型式/種類=BLG/直4DOHC+ターボ+スーパーチャージャー
■内径×行程=76.5×75.6mm
■総排気量=1389cc
■圧縮比=9.7
■最高出力=170ps(125kW)/6000rpm
■最大トルク=24.5kg-m(240Nm)/1500~4750rpm
■燃料タンク容量=55L(プレミアム)
■10・15モード燃費=14km/L
■ミッション形式=6速DSG
■変速比=(1)3.461(2)2.150(3)1.464(4)1.078(5)1.093(6)0.921(R)3.989(F)4.117((5)(6)(R)3.043)
■サスペンション形式=前ストラット&コイル、後4リンク/コイル
■ブレーキ=前Vディスク/後ディスク
■タイヤ(ホイール)=225/45R17(7J)
■東京標準現金価格=3,050,000円
リポート:斎藤 聡/フォト:郡大二郎
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