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従来より上級志向に BMW i7 プロトタイプ 試作車へ試乗 SクラスやEQSのライバル

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従来より上級志向に BMW i7 プロトタイプ 試作車へ試乗 SクラスやEQSのライバル

全長は約5400mmのリムジンサイズ

今回試乗したプロトタイプのBMW i7は、技術的にG70型となる次期7シリーズにも通じる部分を持つ。自社最大のボディサイズが与えられた、ラグジュアリーな純EVだ。

【画像】純EV版の7シリーズ BMW i7 現行750とiX 競合するサルーンと比較 全143枚

次期7シリーズには、マイルド・ハイブリッドやプラグイン・ハイブリッド(PHEV)など、電動化された複数のパワートレインが用意される。だが、ひと足早く2022年11月に発売されるのが、ツインモーターで合計500ps以上の最高出力を持つi7となる。

メルセデス・ベンツは、既にEQSを市場に投入済み。そのライバルに当たるモデルを、BMWの開発現場へお邪魔して味見させていただいた。

BMW i7は、4月中頃に発表予定。今回はそれより前ということで、公道走行可能ながらボディには偽装が施されていた。全長は約5400mmと大柄だが、スタイリングについて触れられる部分は少ない。

少なくとも、i7は歴代のBMWの中で最長。現行の6代目7シリーズより100mmも伸びる。

内装にも全面に布が掛けられていたものの、一部の要素がSUVのBMW iXと共通することは明確。実は、駆動系統やリチウムイオンバッテリーなど、主要なコンポーネントをサルーンのi7はiXと共有している。

見た目の印象は、大型サルーンというより、要人を乗せるリムジンのよう。伝統的な3ボックス・プロポーションを持ち、フロントガラスやリアガラスはEQSなどと比べて角度が起きている。

リアドアは大きく、ホイールベースは3000mmを超える。リアシート側の空間も見るからに大きそうだ。

馬力はiXの523ps以上 バッテリーは105kWh

EQSは純EV専用プラットフォームをベースにするが、i7は内燃エンジンが載る新しい7シリーズと共通の、CLARプラットフォームを基礎としている。その結果、フロアはフラットではなく、トランスミッション・トンネルが車内を前後に貫く。

ただしフロアパンへ手を加え、実容量で105kWhという大容量の駆動用バッテリーを並べている。システムは電圧400Vで稼働し、急速充電は195kWまで対応するという。

今回試乗したi7の場合、前後に駆動用モーターが載る四輪駆動。運転した印象はポジティブなものだったが、プロトタイプということで、幾つかの改善点も残っているようだ。

i7の車重は2000kgを軽く超えるが、スタートダッシュは鋭い。動力性能はまだ未確定ながら、SUVのiX xドライブ50が備える、523psと77.8kg-mは超えるとのこと。ちなみにEQS 580 4マティックは、523psと86.9kg-mだ。

パワフルでスムーズな駆動系によって、公道で運転した印象は、活発さと穏やかさが共存したもの。アウトバーンで240km/h以上も出してみたが、落ち着いており、極めて安定していた。

ドライブモードは、パーソナルとスポーツ、エフィシェンシーの3種類。どのモードを選んでも、立ち上がりから豊かなトルクを生み出す駆動用モーターのおかげで、非常にレスポンスに優れる。

トランスミッションは、現在のBMWの純EVと同様にシングルスピード。0-100km/h加速時間は、4.5秒を切るだろう。BMWがi7で目指しているのは、7シリーズと同等の動的能力を与えること。それは成功したようだ。

印象的な快適で安定した乗り心地

フロントタイヤの向きを変える可変レシオのステアリングは、フィードバックが乏しいものの、重み付けは良好。多くのライバルサルーンより、間違いなくコミュニケーション力は高い。

リアにも操舵システムが与えられるが、既存の7シリーズより切れ角は大きい。低速域で扱いやすくし、高速域で安定性を高めるという目的も、実現できていると感じた。i7は、ひと回り小さい7シリーズのように俊敏に身をこなす。回頭性も良い。

タイヤは、フロントが255/45、リアが285/40というワイドな21インチを履いていた。銘柄はヨコハマ・アドバンスポーツで、グリップ力は充分以上のようだった。

市街地での運転で気になったのは、ボディの幅。全幅もまだ明らかではないが、間違いなく現在の7シリーズより広い。

そんな大きなi7を支えるのは、ロールス・ロイス・ゴーストも採用するエアサスペンション。乗り心地と姿勢制御とを、上手にバランスさせているようだった。アームの構成は、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式になる。

エアスプリングとアダプティブダンパーが相乗し、快適な乗り心地を生んでいた。特に、衝撃吸収性には優れているようだ。電子制御のアンチロールバーが、ボディロールを巧みに抑え込んでいたのも印象的だった。

ブレーキペダルの反応は、漸進的ながら感触が薄い。回生ブレーキの強さは3段階から選べ、最大で208kWのエネルギー回収を実現させたという。航続距離は、643km前後が見込まれている。

ロールス・ゴーストやルーシッド・エアーも競合

グレード名なども不明。だが、xドライブ40、xドライブ50、M60という、iXと似た展開になることが予想できる。

純EVへ乗り換える準備が整っていないドライバーや道路インフラを持つ国に向けて、内燃エンジンを載せた7シリーズも、i7と並行して販売される。3.0L直6ターボの740iと、4.4L V8ターボの750iは、欧州市場には投入されない見込み。

そのかわり、PHEVが用意される。マイルド・ハイブリッド3.0L直6ディーゼルターボの740dも提供されるらしい。

まだ不明点が多いニューモデルのi7と次期型7シリーズだが、従来より上級志向を狙っていることは間違いない。拡大したボディサイズを考えると、メルセデス・ベンツEQSやSクラスだけがライバルではないことが伺える。

グループ内の上級ブランド、ロールス・ロイス・ゴーストもその対象。北米の新メーカー、ルーシッド社のエアなども、見据えているに違いない。

プラットフォームを共有する、7シリーズとの差別化を巧みに果たそうとしているi7。プロトタイプとはいえ、その完成像をうかがい知ることはできた。

BMWは、中国や北米を主要市場に設定している。しかし動的能力や乗り心地、洗練性、存在感などは、欧州や日本のユーザーにも響くはず。お披露目まで、もうすぐだ。

BMW i7 プロトタイプのスペック

英国価格:約12万ポンド(約1920万円/予想)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:199km/h(予想)
0-100km/h加速:4.3秒(予想)
航続距離:643km(予想)
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2300kg(予想)
パワートレイン:ツインAC同期モーター
バッテリー:105kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:543ps(予想)
最大トルク:81.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード・オートマティック

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みんなのコメント

3件
  • FRが売りのメーカーにとってはEV化で魅力消えるね。
    重いし四駆が主だし。
    BMは中国向けでデザインも酷いから
    欧米では期待されてないでしょ。
  • 傘下のロールスロイスと同じデザインになった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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