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【いい尽くせない素晴らしさ】GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダーへ試乗 後編

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【いい尽くせない素晴らしさ】GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダーへ試乗 後編

3.5LのV12エンジンで324ps

執筆:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】近年の新たな流行 現代の技術で復刻 カリフォルニア・スパイダー 他モデルも 全115枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


GTOエンジニアリング社は、カリフォルニア・スパイダーへオーナーの希望に応じたエンジンを搭載してくれる。排気量は3段階から選択でき、カムプロファイルには8種類が用意されている。マイルドな公道仕様から、ハードなサーキット仕様まで。

最高出力は、1番控えめなもので243ps。予算を準備できれば、400ps以上に引き上げることも可能だという。今回の試乗車は3.5LのV12エンジンで、最高出力は中間くらいの324psを発揮する。英国の高速道路には、パーフェクトな仕様に思える。

324psが賄う車重は、1050kgしかない。パワー・ウエイト・レシオは、992型のポルシェ911カレラS並み。気張る必要もなく、とてもたくましい。

運転し始めて、真っ先に夢中にさせてくれるのはエンジン。現在ステアリングホイールを公道で握れるクルマで、最も魅力的なサウンドの1つを奏でる。それでいて、適度に文化的でもある。

とても粘り強く、ギアを選ばずアイドリング状態からカリフォルニア・スパイダーを加速させる。3000rpmを超えたあたりから硬質な感じになり、勢い良く回転数を高める。最高出力が発揮されるのは、7000rpm付近になってからだ。

レース仕様のエンジンなら、最高出力の発生回転域は更に高くなる。エンジンの基本設計が1940年代であることを考えると、驚くべき性能だといわざるを得ない。

現代のターボエンジンのように、低回転から豊かなパワーが湧き出るわけではないが、充分に速い。ハードな質感と、回転の上昇とともに高まるサウンドトラックは、多気筒・自然吸気エンジンだけの気高い特長だ。

現代の技術で引き出した正確な操縦性

5速MTも、筆者がこれまで体験したものでベストの1つ。メカニカルな精度が極めて高い。緻密に仕上げられたギアを、上質なオイルの中で操っている感覚が、手のひらに伝わってくる。

正確にゲートを導けるが、レバーの動きは重い。クラシックカーと同様に、肩から動かす必要がある。

もし本物のフェラーリ250 GTカリフォルニアだったら、この程度を体験したところで降りていたかもしれない。運転を続けるなら、いくつかの動的な制限に耐える必要がある。

しかし、GTOエンジニアリングのカリフォルニア・スパイダーなら心配不要。高められたボディ剛性が、幸福を与え続けてくれる。

次に筆者が印象付けられたのは、余計な感覚が伝わってこないステアリング・フィール。タイヤはクラシカルなミシュランのラジアルパターンだが、フロントノーズの向きを正確に把握できる。

スカットルの振動も大幅に少ない。ステアリングホイールの中央で跳ねるサラブレッドも、小刻みに揺れてぼやけて見えることはない。

現代の技術で引き出された正確な操縦性のおかげで、ドライバーには自信が生まれる。ショーに展示されるクラシックとしてではなく、フェラーリらしく運転できる気が湧いてくる。

シャシーバランスも素晴らしい。グリップレベルは控えめだが、アンダーステアの兆候はない。ノーズをコーナーの頂点へ向け、アクセルオンでパワーを加える。

リアタイヤが受け止められる範囲でV12エンジンを解き放つか、それ以上でリアタイヤを滑らせるか。挙動はとてもシンプル。楽しく接しやすい。

いい尽くせない素晴らしさは否定できない

リア・アスクルはリジッドだが、乗り心地も妥当なレベル。カリフォルニア・スパイダーは公道用のツーリングカーだ。タイトなカーブが連続するサーキットのためのクルマではないから、重要なポイントになる。

イングランドの走り慣れた道を運転しながら、気持ちはカリフォルニアに広がる砂漠へ飛んでいた。恐らくカリフォルニア・スパイダーも、もっと活き活きと走れるだろう。

類まれなV型12気筒エンジンと一緒に、ひたすらワインディングを登り、下る。何時間でも続けられそうな気がする。このクルマには、ちゃんと大きな荷室も付いている。なんと完璧なのだろう。

見事な復活といえる、カリフォルニア・スパイダー・リバイバル。仕上がりの高さに関心を寄せるエンスージァストもいると思うが、これから数十年後、数オーナーを経た後に本物の250 GTだと勘違いされ取り引きされる可能性もなくはない。

どちらも理解できる。でも筆者は、このクルマがどんなドライビング体験をもたらし、どんな意味を含むのかという程度に絞っておこう。

完成度は、オリジナルのように素晴らしい。弱点を克服するため、現代的な知見で理想的な処理も加えられている。単なる模倣品にしたり、オリジナルの個性を歪めることなく。

クラシック・フェラーリを再現するというアイデアを、好む人もいれば好まない人もいると思う。だが、カリフォルニア・スパイダー・リバイバルのいい尽くせないほどの素晴らしさを、どんな人も否定はできないはずだ。

GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダー・リバイバル(欧州仕様)のスペック

英国価格:85万ポンド(1億2920万円)
全長:4420mm(フェラーリ250 GT カリフォルニア/1961年)
全幅:1626mm(フェラーリ250 GT カリフォルニア/1961年)
全高:1219mm(フェラーリ250 GT カリフォルニア/1961年)
最高速度:241km/h以上
0-100km/h加速:6.0秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:1050kg
パワートレイン:V型12気筒3500cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:324ps/7000rpm
最大トルク:−
ギアボックス:5速マニュアル

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