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ニューウェイ、2025年中のチーム移籍が可能に? 内戦状態のレッドブルには大きな痛手か

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ニューウェイ、2025年中のチーム移籍が可能に? 内戦状態のレッドブルには大きな痛手か

 レッドブルは5月1日、長年にわたってチーフ・テクニカルオフィサーを務めてきたエイドリアン・ニューウェイがチームを離脱することを正式発表した。

「今はバトンを他の人に渡し、自分自身も新たな挑戦をする良い機会だと感じている」と語ったニューウェイは、2025年初頭までミルトンキーンズを拠点とするレッドブルのために働き続け、その間にハイパーカーであるRB17を完成させる他、今週末のマイアミGPを含む特定のレースに帯同してトラックサイドで働くことになる。

■レッドブル離脱のニューウェイはどこへ行く……アロンソとホンダが待つアストンマーティン? それともハミルトン加入のフェラーリ?

 一方でニューウェイは、今後チームの技術開発に積極的な役割を果たすことはなく、将来のマシン開発に関するミーティングにも参加しないと見られている。

 当初ニューウェイは2025年末までの契約をレッドブルと結んでおり、さらに12ヵ月間ライバルへの移籍を阻止する条項が契約に盛り込まれていると見られていた。そのため、ニューウェイが移籍を選んだとしても、それは2027年以降になると見られていた。

 しかし彼の法的代理人はレッドブルとの早期決別に合意した。

 レッドブルはニューウェイとの契約を来年第1四半期で終了すると発表しており、理論上それ以降はライバルチームへの移籍が自由となるだろう。

 他チームがニューウェイの獲得に興味を示すのは必然であり、アストンマーティンとフェラーリは彼を獲得するために高額なオファーを出したことで知られている。

 ニューウェイはアストンマーティンへの移籍に興味を示していないと見られているが、フェラーリ移籍の可能性は残っている。 チーム代表のフレデリック・バスールが4月30日にニューウェイと個人的に会い、物事を前進させようとしたことが示唆されている。

 まだ契約は結ばれていないと見られるものの、バスール代表が個人的にニューウェイを説得し、ルイス・ハミルトンの移籍にニューウェイ獲得を間に合わせようと交渉を続けることになりそうだ。

 仮にニューウェイを獲得するチームが出たとしても、そのタイミングは理想的とは言えないだろう。2025年4月にチーム加入が実現したとしても、すでにレギュレーションが変更される2026年に向けて、新車のコンセプトはほぼ決まっている時期だからだ。

 とはいえ、ニューウェイの豊富な知識をインプットできない時期ではなく、新たな時代の勢力図に大きな影響を与える可能性はある。

 レッドブルのライバルチームの関係者は、ニューウェイが2026年に向けてチームを手助けできるほど早く、移籍が可能となったことに驚いているという。それはここ数年F1を支配しているレッドブルにとって、ライバルの前進を手助けすることになり、大きな痛手となりかねないからだ。

 この状況は、2009年に当時マクラーレンのチーム代表だったマーティン・ウィットマーシュが、前年限りで突如F1から撤退したホンダを引き継ぐ形で誕生したブラウンGPにメルセデスのエンジンを供給することに同意したのに似ている。

 この決断によってブラウンGPはタイトルを獲得し、結果としてマクラーレンの手からメルセデスのワークス契約を奪い取ることに成功。2010年から”メルセデスGP"として新たなスタートを切り、今のメルセデスF1に続いていくことになった。

 あるチーム代表は次のように語っている。

「もしエイドリアンがライバルに移籍することになれば、レッドブルにとってはとんだ災難だ」

「クリスチャン(ホーナー/レッドブル代表)は完全に愚か者のように見えるだろう。マクラーレンのウィットマーシュがブラウンにメルセデスのキーを渡したときのようにね」

レッドブルの”内戦”にも影響及ぶ?

 ニューウェイのレッドブル離脱は、チームの支配権をめぐる権力争いによるシーズン序盤の混乱がきっかけとなった。

 この騒動はもともと、ある女性従業員がホーナーの行動に対して苦情を申し立てたことに端を発している。その後、展開はタイとオーストリアのレッドブルの本体であるエナジードリンク会社のオーナー、さらにはチーム内の他の幹部たちを巻き込んだ内戦へとエスカレートしていった。

 ホーナー代表はチームの統制を保とうとしてきたが、ニューウェイの退団は、今後さらなる波乱が起こるのではないかと危惧する人々を、さらに混乱させることとなるだろう。

 ライバルチームからは、ここ数ヵ月でレッドブルの関係者が求職に殺到していると指摘されており、エースドライバーのマックス・フェルスタッペンの将来も不透明なままだ。

 ホーナー自身は、フェルスタッペンが短期的にはレッドブルに留まると主張しているものの、メルセデスが彼を引き抜こうとする動きは止まらない。

 フェルスタッペンの父ヨスは今年初め、ホーナー代表がこのままチームの指揮を執り続ければレッドブルが分裂する危険性があると警告していたが、今回のニューウェイの行動は彼の考えをさらに具体化するものでしかない。

 ニューウェイのレッドブル離脱を受けて、ヨス・フェルスタッペンはオランダのテレグラフ紙に次のように語っている。

「チームは崩壊の危機にある。今年の初め、私はそれを恐れていた」

「チーム内部の平和のためには、重要な人材がチームにとどまることが重要だ。今はそうではない。ニューウェイが去り、今年の初めにはヘルムート(マルコ/モータースポーツアドバイザー)も追放されそうだった。将来にとって、それは良くないことだ」

 ここ数ヵ月にわたり、ホーナー代表を追い出そうとしてきたレッドブルの各派閥はニューウェイの離脱をチームの分裂を食い止めるためにトップが変わる必要性を警告する材料にし、勢いを増す可能性もあるだろう。

 空力の鬼才を謳われたニューウェイの離脱は、貴重な人材の流出という以上の影響をレッドブルに及ぼしそうだ。

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