この記事をまとめると
■乗用車の新車販売台数のうち、電気自動車は1.7%
EVのバッテリーを交換式にすれば充電待ち時間なくなるじゃん! が「画期的アイディア」とならないワケ
■現状、集合住宅に住む人は所有しにくい
■軽自動車サイズの電気自動車は販売は好調
総世帯数の約40%は電気自動車を所有しにくい
今はモーター駆動を併用する電動車が増えた。マイルドハイブリッドを含めると、2022年に新車として売られた乗用車(軽自動車+小型車+普通車)のうち、約45%が電動車であった。
しかしエンジンを搭載しない純粋な電気自動車に限定すると、その比率は大幅に下がる。乗用車の新車販売台数の内、電気自動車は1.7%だ。つまり電動車の大半が、エンジンを搭載するハイブリッドかマイルドハイブリッドになる。
それでも2022年の電気自動車販売台数は、前年に比べると2.7倍の約5万9000台に急拡大した。その理由は、2022年に軽自動車サイズの日産サクラと三菱eKクロスEVが発売されたからだ。
とくにサクラの届け出台数は、2022年7/8/11/12月には3000台を上まわり、9月は4000台を超えた。半導体などの不足により、納期を遅らせながらも、堅調な売れ行きとなった。
つまり日本における電気自動車は、日産のリーフやアリアのような小型/普通車では販売しにくいが、軽自動車であれば好調を見込める。今まで「日本では電気自動車が売れない」といわれたが、それは小型/普通車ばかり開発され、軽自動車が少数派に留まったことが原因だ。
それなら、なぜ軽自動車サイズの電気自動車は売れ行きを伸ばせるのか。その理由は、軽自動車サイズの電気自動車が日本の所有形態に適しているからだ。
まず日本では、総世帯数の約40%が集合住宅に住む。そのために自宅に充電設備を設置しにくい。最近は一部の新築マンションに充電設備が備わるが、ごく一部に過ぎない。膨大に所有される既存のマンションに充電設備をあとから設置するのは、スペースの面でも、また自治会などの承認を得ることを考えても不可能に近い。従って総世帯数の約40%は、電気自動車を所有しにくい。
補助金も軽EVの売り上げを後押し
一方、一戸建ての住宅に住む世帯は、充電設備を設置しやすいが、複数の車両を所有することが多い。その内の1台は、遠方まで出かける時にも使える普通車で、そのほかの車両は、維持費が安く買い物などに利用しやすい軽自動車になることが多い。
この所有形態では、3ナンバーサイズの電気自動車は購入しにくい。3ナンバーサイズの普通車は、遠方まで出かける時にも使うファーストカーになるからだ。1回の充電で走行可能な距離が短い電気自動車は、ファーストカーには選ばれにくい。
そして3ナンバーサイズの電気自動車は、セカンドカーとして街中の移動に使うには、ボディが大きくて価格も高い。つまり日本では中途半端だから、売れ行きも伸び悩んだ。
しかし軽自動車サイズの電気自動車なら話が変わる。ボディが小さいからセカンドカーとして買い物などに使いやすく、遠方まで出かける時はファーストカーを利用するから、航続可能距離が短くても不都合は生じない。日本で電気自動車を成立させるには、軽自動車がベストだから、売れ行きも伸びた。
また補助金の交付額も影響を与えた。直近の2023年4月1日以降の経済産業省による交付額を見ると、サクラは55万円、アリアは85万円だ。車両価格はサクラXが254万8700円だから、55万円の補助金交付額は、車両価格の22%に相当する。254万8700円の価格が、補助金を差し引いて199万8700円になると、買い得度が強まる。
一方、アリアで現在販売されているB6は539万円だから、85万円の補助金額は車両価格の16%に留まる。539万円から補助金交付額の85万円を差し引いて454万円だから、サクラほど買い得な印象は受けない。
このように補助金の違いもあり、以前の普通車サイズの電気自動車は売れ行きを伸ばせず、軽自動車が登場して急増した。
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みんなのコメント
重い
充電時間が長すぎ
何より電池は買ってから即劣化が進むのがあり得ないし許容出来ない