現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【名車への道】’91 フォルクスワーゲン ゴルフGTI

ここから本文です

【名車への道】’91 フォルクスワーゲン ゴルフGTI

掲載 更新 3
【名車への道】’91 フォルクスワーゲン ゴルフGTI

"内燃機関の国"の名エンジンを積む2代目スポーツハッチ

——今回の車なんですけど、すでに完全な名車なのにまだ取り上げていないモデルにしました。

過去記事はこちら

松本 名車なのに知られていないモデルも多いからね。もう一度、諦めてた車の中から候補を洗い直してみようか。

——オリジナル度、程度の良い名車を探すのはなかなか難しいです……。

松本 そうだね。難しいのは「中古車としてまだ流通している」っていう部分だよね。知識が浅いと名車も見逃しちゃうことがあるよね。

——分かりやすい名車はなんとかなりますが、知る人ぞ知る系の名車は……見逃してますね。でも、今回は絶対大丈夫です。フォルクスワーゲンの名車です。

松本 前々から言ってるゴルフ R32の3ドアのMT車?

——それはまだ見つかってません! 古い方です。

松本 じゃあゴルフIIのGTIは? 確かゴルフIIのベースモデルはやったよね?

——そうです。GTIはやってなかったので今回はそれにしました。

松本 R32も素晴らしいモデルだけど、それもこれもGTIというフォルクスワーゲンのスポーツハッチバックのもとがあってのことだからね。良いと思うよ。

 ——そもそもなんですが、ゴルフIにもGTIってあると思うのですが、ゴルフIIのGTIで良かったですか? やっぱり初代こそが名車の始まりという感じがするんですが……。

松本 確かに名車と名乗るのはファーストモデルが多いと思うんだけど、最初に言ったとおり、現在でも流通しているかどうかが大事だよね。でもね、キミの言うとおりゴルフIのGTIは確かに貴重だよ。日本には正規で入っていないしね。

——そうか。IとIIではそこが違うんですね。

松本 そうだよ。初代のGTIが有名になったのは、当時最先端だったインジェクションを小型車に採用したことでGTに"I"を、インジェクションからの意を込めてつけた点なんだ。さらにメカチューニングを行って当時75ps のノーマルユニットから110psまで高めたんだ。すごい進化だよね?

——その年代にメカチューンでその内容は凄まじいですね。

松本 アウトバーンを180km/hで疾走できたという逸話は有名だよね。もちろん、日本ではなかなか目にすることはできないね。

 ——今日の車両はこちらですね。早速ですが基本から教えてください。

松本 ゴルフII GTIは発売された当時はSOHCエンジンで、1985年の4バルブ版から登場したんだけど、日本では1987年から販売開始されたんだ。初めは2ドアのみの設定だったんだけど、1988年から4ドアHB(日本での呼び名は5ドア)も選べるようになったんだ。

——やっぱりそのエンジンが凄かったわけですか?

松本 そうだね。4バルブのシリンダーヘッドを搭載していて、しっかりと馬力アップが果たされていたんだ。この当時のゴルフはカウンターフローと言ってUターンするような燃焼室が特徴だったんだよ。これはエンジンルームをコンパクト化できるし、直動式でバルブを開閉することなどで燃焼効率を上げたエンジンだったんだ。確かフォルクスワーゲンでは初めてのDOHCだったと思うよ。鋳鉄製のブロックはEA827型という名機中の名機で、1972年にアウディに搭載されていたユニットなんだ。

——そんなに古いってことは元は排気量が小さかったんですか?

松本 初めは1.3Lユニットだね。そこからボアストロークを変更して2Lまで拡張したんだ。まだVW の16V が世に出る数年前に、エッティンガーというチューナーが、16Vヘッドを取り付けて、しかもターボまで付けてレースに出場していてね。それもインターナショナルなレースね。結構いい成績までいったんだよ。このエッティンガーチューンのエンジンをイベントで見たことがあるんだけど、バルブの挟み角が狭くて後に登場するゴルフの16Vにすごく似ていたんだよ。挟み角のバルブレイアウトはその後主流になっていったんだけど、コンパクトな燃焼室でピックアップがよく、低中速トルクを重視したエンジンなんだ。とても扱いやすいDOHCらしい走りと言っていいんじゃないかなぁ。ちなみにインテーク側が寝ているレイアウトでね。エグゾースト側は立ったレイアウトのバルブなんだよ。シンメトリーじゃないところに内燃機関の哲学を感じるよね。

——日本ではハイメカツインカムと言われたトヨタのDOHCもバルブの挟み角が狭くてコンパクトさを売りにしていましたよね?

松本 そうなんだよ。よく知っているね。コンパクト、高性能、低燃費を狙ったユニットなんだよね。ゴルフGTIの16バルブはドライバビリティと最高出力を考えて作られた名エンジンなんだ。30年近く第一線でこのE827は使われたんだよ。BMWもそうだけど、内燃機関の国であるドイツが作るエンジンはやっぱり違うんだよね。

——やっぱり有名なエンジニアが関わってるんですか?

松本 E827の基礎を作ったのはルートヴィヒ・クラウスというエンジニアなんだけど伝説的な人物だね。メルセデスW196などの純レーシングエンジンを設計した人なんだよ。そのクラウスが晩年作ったエンジンがこのE827。このエンジンを作ることができたから、フォルクスワーゲンは空冷から水冷にシフトできたといってもいいだろうね。ブランドを支えた一人だと思うよ。

ちなみにゴルフIIってIに比べるとデザイン的に評価が分かれるんだけど、デザインしたのはハーバート・シェーファーっていうデザイナー。板金工からの叩き上げで、その腕はマイスターの称号が与えられていた人なんだよ。立体的な部分を理解したデザイナーで、板金技術に秀でているから生産性にも明るかった。フォルクスワーゲンはゴルフIIを境に近代化に入っていくことになる。この人もルートヴィヒ・クラウス同様ダイムラーとアウトユニオンで腕を鳴らしてフォルクスワーゲンに貢献した人だね。ゴルフIIのGTI 16Vは近代化を目指して成功したモデル。まさに名車の裏に天才あり、だね。

 

フォルクスワーゲン ゴルフGTI

大人気を博した初代ゴルフGTIの正常進化版として1984年に登場した"コンパクトスポーツ"の2世代目。当初は触媒コンバーターの導入により最高出力は107psであったが、1986年に新たな16バルブエンジンを搭載することで129psに。俊敏な走りを復活させている。フォルクスワーゲン ゴルフIIの中古車を探す▼検索条件フォルクスワーゲン ゴルフII×全国※カーセンサーEDGE 2022年5月号(2022年3月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています文/松本英雄、写真/岡村昌宏

【取材協力】Coolman carカーセンサーEDGE.netはこちら

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
レスポンス
三菱「新型SUVミニバン」公開! 全長4.5m級ボディדジムニー超え”最低地上高採用! タフ仕様の「エクスパンダークロス アウトドアE」比国に登場
三菱「新型SUVミニバン」公開! 全長4.5m級ボディדジムニー超え”最低地上高採用! タフ仕様の「エクスパンダークロス アウトドアE」比国に登場
くるまのニュース
新型フォルクスワーゲン・ティグアン発売。7年ぶり全面刷新、2Lディーゼルと1.5Lハイブリッドを展開
新型フォルクスワーゲン・ティグアン発売。7年ぶり全面刷新、2Lディーゼルと1.5Lハイブリッドを展開
AUTOSPORT web
【第2回】サイトウサトシのタイヤノハナシ:スタッドレスタイヤはなぜ効く?
【第2回】サイトウサトシのタイヤノハナシ:スタッドレスタイヤはなぜ効く?
AUTOCAR JAPAN
巨大GTウイングに赤黒の「トミカスカイライン」カラー! リバティウォークはトラック相手でも容赦なしの圧巻カスタム!!
巨大GTウイングに赤黒の「トミカスカイライン」カラー! リバティウォークはトラック相手でも容赦なしの圧巻カスタム!!
WEB CARTOP
ガスリー、ご近所さんになった角田裕毅とカラオケ熱唱「声枯れるほど歌った。楽しい夜だった」思い出アデルの曲も再び
ガスリー、ご近所さんになった角田裕毅とカラオケ熱唱「声枯れるほど歌った。楽しい夜だった」思い出アデルの曲も再び
motorsport.com 日本版
Jujuが人気ドライバー部門首位「暖かい声援が何よりも活力に」。2024年のSFgoアワードはTGMが“2冠”
Jujuが人気ドライバー部門首位「暖かい声援が何よりも活力に」。2024年のSFgoアワードはTGMが“2冠”
AUTOSPORT web
ラリーカーが空を飛ぶ! WRCラリージャパン堂々幕開け。Rally1ではM-スポーツ・フォードのフルモーSSS1最速。勝田貴元3番手
ラリーカーが空を飛ぶ! WRCラリージャパン堂々幕開け。Rally1ではM-スポーツ・フォードのフルモーSSS1最速。勝田貴元3番手
motorsport.com 日本版
60系『プリウス』のメーター手前を小物置きに、カーメイトが専用トレー発売
60系『プリウス』のメーター手前を小物置きに、カーメイトが専用トレー発売
レスポンス
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
くるまのニュース
レクサス新型「本格ラグジュアリーSUV」発表! “450馬力”超えの「3列シート」採用モデル登場! 超パワフルな「高性能ハイブリッド」初搭載した“新型LX”加国発売!
レクサス新型「本格ラグジュアリーSUV」発表! “450馬力”超えの「3列シート」採用モデル登場! 超パワフルな「高性能ハイブリッド」初搭載した“新型LX”加国発売!
くるまのニュース
“ツーリングもサーキットも楽しめる”スーパースポーツバイク! ヤマハ「YZF-R7 ABS」の2025年モデルは鮮烈なブルーとグレーが魅力です
“ツーリングもサーキットも楽しめる”スーパースポーツバイク! ヤマハ「YZF-R7 ABS」の2025年モデルは鮮烈なブルーとグレーが魅力です
VAGUE
いすゞ、新開発の2.2Lディーゼルエンジンを『D-MAX』と『MU-X』に搭載
いすゞ、新開発の2.2Lディーゼルエンジンを『D-MAX』と『MU-X』に搭載
レスポンス
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
新型「“真っ黒”クロスオーバーSUV」発表! 初の「精悍ブラック仕様」&特別な“豪華内装”採用! 専用装備マシマシな「Cクラス オールテレイン」登場!
新型「“真っ黒”クロスオーバーSUV」発表! 初の「精悍ブラック仕様」&特別な“豪華内装”採用! 専用装備マシマシな「Cクラス オールテレイン」登場!
くるまのニュース
最新EVと環境への挑戦を体感! 第30回日本EVフェスティバル 11月23日
最新EVと環境への挑戦を体感! 第30回日本EVフェスティバル 11月23日
レスポンス
インフィニティ、フルサイズSUV『QX80』新型の購入者に新サービス…専任コーディネーターが対応
インフィニティ、フルサイズSUV『QX80』新型の購入者に新サービス…専任コーディネーターが対応
レスポンス
ホンダ「2列×6人乗り」小型ミニバンが凄い! まさかの「前席に3人並ぶ」斬新シート採用! 全長4.3mで「最高にちょうどいい」サイズの“エディックス”とは!
ホンダ「2列×6人乗り」小型ミニバンが凄い! まさかの「前席に3人並ぶ」斬新シート採用! 全長4.3mで「最高にちょうどいい」サイズの“エディックス”とは!
くるまのニュース

みんなのコメント

3件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.9549.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.0804.0万円

中古車を検索
ゴルフ (ハッチバック)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.9549.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.0804.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村