■刑事ドラマにつきものの捜査車両が話題に!?
時代によって流行りのテレビドラマは変わっていきますが、かつては刑事ドラマが大人気だったころがあります。
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そして、かつての刑事ドラマではド派手なカーアクションが欠かせず、小道具として使われるクルマが話題になりました。
そんな刑事ドラマに捜査車両として登場したクルマのなかから、派手な加飾を施さずとも存在感のあったモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●日産「レパード」
舘ひろしが演じるタカこと鷹山敏樹と、柴田恭兵が演じるユージこと大下勇次のふたりが主人公の刑事ドラマ「あぶない刑事」は、1986年に日本テレビ系列で放送が開始されました。
ふたりの勤務先は神奈川県警港警察署捜査課で、広域暴力団「銀星会」の壊滅のために横浜の街を舞台に全力で疾走するシーンや、市街地で拳銃を発砲しまくる場面もあれば、絶妙なタイミングでジョークを交えた掛け合いなども多く、シリアスさと笑いが融合した刑事ドラマとして話題となります。
続編となる「もっとあぶない刑事」や、映画「あぶない刑事」「またまたあぶない刑事」「もっともあぶない刑事」「あぶない刑事リターンズ」「あぶない刑事フォーエヴァー」「まだまだあぶない刑事」、そして2016年公開の「さらばあぶない刑事」による完結まで、長きに渡って高い人気を維持してきました。
このドラマでタカとユージが乗っていたのは、1986年に登場した2代目日産「レパード」です。初代レパードは近未来的なデザインで好き嫌いがはっきりしていましたが、2代目はトヨタ「ソアラ」の大ヒットの影響でBMW「6シリーズ」をオマージュしたようなスタイリッシュな2ドアクーペになりました。
派手さは薄れましたが「スカイライン」や「フェアレディZ」にはない気品を好む層に好まれ、あぶない刑事の人気が高まるのに合わせてレパードの人気が高まっていきました。
日産が本作への車両提供を行っていたことから、港警察署の捜査車両としては「セドリック」「グロリア」、「セフィーロ」、「スカイライン」なども登場しましたが、映画「あぶない刑事リターンズ」以降は車両提供が三菱となったために日産車はほとんど登場しませんでした。
●日産「フィガロ」
2000年からテレビ朝日・東映の製作で放送されている刑事ドラマシリーズ「相棒」。水谷豊が演じる主人公の杉下右京は、警視庁の窓際部署「特命係」の係長で、特命係に配属された相棒や協力者の支援を得て、難事件の謎を解き明かしていくストーリーで高い人気を獲得。
劇場版の公開やノベライズの発刊などがおこなわれ、2019年10月からは「season18」が放映されています。
その杉下右京の愛車が黒い日産「フィガロ」で、当初、ドラマの中では相棒が運転することが多く右京はあまり運転していませんでしたが、途中から右京が運転するシーンも増えていきました。
日産が初代「マーチ」をベースに作った、遊び心を持ったレトロ調なデザインの「パイクカー」シリーズの第3弾として、1991年に登場した「フィガロ」は手動で開閉するルーフを持ったコンバーチブルクーペで、重量増に対応するために「マーチターボ」の1リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載しました。
クラシカルな外観で、一見2シーターのように見えますが、狭いながらもリアシートを備える4名乗車で、内装もメーターやアナログ時計、パネルに設置されたトグルスイッチ、CDプレイヤーを備えながら古いクルマの5ボタンラジオのようなデザインとするなど、クラシカルでこだわりがある演出がされたクルマでした。
国内専用モデルとして台数限定で販売されたフィガロですが、後に中古車が大量にイギリスに渡り、現在も高い人気を誇っています。国内では一部を除けばそれほど中古車の価格が高騰していませんので、入手も容易かもしれません。
●三菱「ギャラン」
1989年にテレビ朝日系列で放送が開始された刑事ドラマ「ゴリラ・警視庁捜査第8班」は、鈴木瑞穂が演じる警視庁刑事部長の麻生公義が指揮を執る、通常の警察の捜査範囲を超えた凶悪犯罪に対処するため組織した警視庁捜査第8班「ゴリラ」と、犯罪組織の戦いを描いたドラマです。
ゴリラのメンバーは殺人許可証を持ち、渡哲也が演じる班長の倉本省、舘ひろしが演じる伊達健、神田正輝が演じる風間有悟、谷川竜が演じる谷川竜太郎の、4名の元刑事が実行部隊で、多用化する犯罪に立ち向かいます。
「西部警察」と同様に派手なアクションや爆破シーンなども多いドラマでしたが、ゴリラでは三菱が車両提供をしていたので劇中の倉本省のクルマはシルバーの「ギャラン VR-4」でした。
1987年に発売された6代目ギャランのトップグレードとして登場したギャラン VR-4は、当時の2リッター4気筒エンジンでは最強だった205馬力を発揮し、フルタイム4WDシステムで路面に伝え、圧倒的なパフォーマンスで国産ハイパワー4WD車のマーケットを拡大。世界ラリー選手権において篠塚健次郎がドライブし日本人初優勝を飾りました。
またゴリラの劇中では、伊達健がドライブするガルウイングドアの黒い「スタリオン2600 GSR-VR」も登場し、西部警察と同様にクルマ好きからは注目されましたが、視聴率は低迷し1年で終了。
このスタリオンが5台限定で発売されたことも、大いに話題となりました。
■刑事ドラマの金字塔で名脇役だったクルマとは
●三菱「ギャラン ラムダ」
1977年にフジテレビ系列で放送された「華麗なる刑事」は、アメリカ・ロサンゼルス市警察から日本にやってきたエリート刑事の高村一平と、鹿児島県警から警視庁に転属してきた南郷五郎の、2人の刑事が事件を解決していくアクションドラマです。
当時人気絶頂だった草刈正雄が高村一平を演じ、すでに実力派俳優として高い評価がされていた田中邦衛が相棒である南郷五郎を演じただけでも話題となりましたが、ほかにも檀ふみ、沢たまき、佐野浅夫、加納竜などが共演するなど、豪華なキャスティングでした。
ロサンゼルス帰りの高村一平が「S&W M29 44マグナム」を使っていたのは、クリントイーストウッド主演の映画「ダーティーハリー」の影響があったといわれていますが、リアリティよりも派手さを演出するドラマということでしょう。
劇中で乗っていたのは1976年にデビューした三菱初代「ギャランΛ(ラムダ) 2000GSR」でした。「コルトギャランGTO 2000GSR」と同様に、2リッター直列4気筒SOHCエンジンを、標準グレードの圧縮比8.5から9.5まで高めツインキャブを装着したハイオク仕様で、排ガス規制が厳しくなったなかでも最高出力125馬力(グロス)を発揮。
当時のアメリカンクーペのようなスラントノーズに角型4灯ヘッドライト、サイドまで回り込んだリアウインドウなど、それまでの国産車にないデザインで人気車となりました。
劇中では赤いボディのサイドに白いアクセントストライプが入った2000GSRがメインビジュアルとして使用されていましたが、放送回によってはサイドストライプがないものや、バンパーにゴム製のオーバーライダーが装着されていない1.6リッターモデルも登場していました。
ちなみに相棒である南郷五郎の愛車は白い「ランサーセレステ」でした。
●トヨタ「セリカ」
1972年から日本テレビ系列で放送された「太陽にほえろ!」は、東京都新宿区の警視庁七曲警察署の捜査第一係に所属する刑事たちを描いたテレビドラマです。
1986年まで続いた長寿番組で出演者も石原裕次郎を筆頭に、若手刑事を演じた萩原健一、松田優作、勝野洋、山下真司、渡辺徹、沖雅也、三田村邦彦、世良公則だけでなく、ベテラン刑事役には露口茂、下川辰平、竜雷太、小野寺昭などが出演。説明の必要もないくらいの、日本の刑事ドラマの代名詞的存在です。
萩原健一が演じたマカロニこと早見淳の愛車として、放送開始後はスズキ「ジムニー」が使用されていましたが、トヨタによる車両提供が開始されると「クラウン」「セリカ」「カローラ」「スプリンター」「コロナ」、「カリーナ」などの新型車が捜査車両となり、1980年代に入ると「クレスタ」や「ソアラ」「セリカXX」などもブラウン管の中に登場するようになっていきました。
なかでもセリカは初代のモデルから登場し、長谷直美が演じたマミーこと岩城令子が3代目セリカクーペ「1800GT-TR」で派手なアクションを展開したり、1985年にFF化された4代目セリカクーペも番組内に登場。
「流面形」と呼ばれた4代目セリカは滑らかで流動感ある曲線で構成されたスタイリッシュなボディで、当時の若者から絶大な支持を受けました。
※ ※ ※
西部警察や太陽にほえろ! などが全盛期のころ、刑事ドラマは派手なアクションが当たり前で、もちろんカーアクションもふんだんにあり、小道具としては銃と並んでクルマも重要な存在でした。
とくに西部警察では改造した数々の日産車が登場し、記憶している人も多いでしょう。
近年の刑事ドラマではクルマが活躍することが少なくなってきましたが、登場するクルマを少しだけ気にして観てみるのも面白いかもしれません。
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