この記事をまとめると
■「ケンメリ」という愛称で親しまれた4代目の日産スカイラインを紹介
ブタにゃみえないけど「ブタケツ」と呼ばれるのはナゼ? 「2代目日産ローレル」がいまや旧車乗りのアイドルだった
■広告でのキャッチコピーがそのまま愛称になりCMソングやCMのロケ地が有名になった
■排ガス規制前に販売された「GT-R」は約200台程度しか作られなかった激レアモデルだ
ケンメリとは一体どんなクルマ?
「ケンメリ」というワードを耳にして「!」と反応してしまうのは、それなりに旧車が好きな人か、あるいは60代以上の人ではないかと思います。30代より若い世代の人は「ケンメリ? なにそれ、聞いたことない」という感じかもしれません。
「ケンメリ」というのは、1972年から発売された4代目「日産スカイライン」のニックネームです。
ここでは「ケンメリ」スカイラインに焦点を当てて、そのニックネームの由来や、クルマとしての特徴、いまはどんな存在として受け継がれているかなどを掘り下げてみましょう。
■スカイラインがなぜ「ケンメリ」と呼ばれているのか?
この4代目の「日産スカイライン」、ちゃんと「スカイライン」という名称がメーカーから与えられているのに、なぜ「ケンメリ」というニックネームのほうで呼ばれているのでしょうか?
まずは「ケンメリ」の名前の由来からいきましょう。
「ケンメリ」というのは「ケンとメリーのスカイライン」という、販売プロモーションのキャッチフレーズから取られた呼び名です。
もう少し詳しく説明しましょう。広告でキャッチフレーズを立てるイメージ戦略の方法は、先代の3代目「スカイライン」、通称「ハコスカ」のときから行われてきました。そのキャッチフレーズが「愛のスカイライン」です。
3代目のスカイラインは、角張った印象のデザインや、レースでの強さを証明したことなどから硬派なクルマというイメージで認識されていて、広告に使われた「愛の~」という優しいイメージと合わず、結果的にその形状を由来とする「ハコスカ」というニックネームで定着しました。
その後で登場した4代目のキャンペーンのときも「愛の~」というキャッチフレーズは引き継がれましたが、4代目はそのときの時代の雰囲気に合わせてファッショナブルさを前面に押し出す方針となり、具体的なキャラクターを立ててイメージを強めようということで、日本とアメリカのハーフの男性とアメリカ人の女性というカップルを設定したのです。
そのイメージに合う名前ということで、日本でもアメリカでも通用する「ケン」と、アメリカらしい「メリー」という組み合わせに決まったようです。
実際にその戦略が見事に時代の雰囲気にハマり、ケンメリは先代の販売台数を大きく上まわるヒットを記録しました。オマケとして、CMソングとして使われていたBUZZによる「ケンとメリー~愛と風のように」という曲がヒットチャートの上位に上がり、大ヒットとなったことからも、いかに人気が高かったかが窺えるでしょう。
ちなみに、このときのCMでは北海道の美瑛町が舞台に選ばれ、広々とした草原の丘の上に1本だけ生えているポプラの木が視聴者の印象に深く残ったそうです。そしていつしかその木は観光名所としても人気を博し、いまでもその木を目当てにしたツアーが組まれたりしているそうです。スカイラインが好きだという人はぜひ訪れてみてください。
いまでは数千万円の価値!? 幻のGT-Rも存在した!
■「ケンメリ」ってどんなクルマ?
そのような経緯で、高度成長期の波にも上手く乗って大ヒットとなった「ケンメリ」ですが、実際に数字で見ても67万台という優秀な販売台数を記録して、その後に続く歴代のスカイライン全体を通して、じつはもっとも多く売れたモデルになります。このことは「ケンメリ」がどんなクルマかを語る際には絶対に外せない要素です。
では、その大ヒットした「ケンメリ」のメカニズムの特徴を見ていきましょう。
基本設計はプリンス時代に遡るモノコックボディに、L20型の直列6気筒OHCエンジンを搭載。足まわりはフロントがマクファーソンストラットで後ろは510型ブルーバードで実績を積んだセミトレーリングアーム式の4輪独立懸架を採用。基本的な構成は、先代の「ハコスカ」からほぼそのまま受け継いでいますので、「ハコスカ」から正統進化したモデルと言えますが、外観のデザインは大きく変更されています。
「ハコスカ」はやや険しい目つきが特徴で、エッジが効いたシャープな印象のフォルムを持っていて、どちらかというと硬派な印象のクルマでしたが、スタイリッシュさをコンセプトにモデルチェンジが行われたこの「ケンメリ」は、同じ丸目4灯の顔つきながらも、表情はだいぶマイルドになり、ボディのシェイプも優しさや優雅さを感じるスムースなデザインとなり、大きく方向転換されました。
とくに変わった部分はリヤの造形で、オーソドックスな3ボックスタイプの「ハコスカ」に対して、「ケンメリ」はルーフから後ろに向かってなめらかに斜面が続くファストバックスタイルのスポーティなデザインを採用しているのが特徴的です。「ケンメリ」のファンには、この後ろ姿が好きだと言う人が多いのもわかる気がします。
■時代の流れに逆らえず、「牙を抜かれた」とも言われた後期モデル
この「ケンメリ」の時代は、経済的には高度成長の真っ最中で活気に湧いていたときでしたが、アメリカやヨーロッパ各国などの先進国では、工業の急激な発展の副作用として環境悪化が問題視され始めていました。その結果、世界的に公害を減らす政策が求められ、昭和48年には日本でも排気ガスを減らす義務を課す「排出ガス規制」が施行されました。
この基準設定は、当時の自動車開発のレベルではかなり厳しいものだったようで、クルマの市場ではまだまだ高性能車が求められているなかで、大幅なパワーダウンを余儀なくされるこの規制に、各メーカーは相当苦しんでいたと聞きます。
まさにその渦中に販売されていた「ケンメリ」もその対象となり、エンジンには排気ガスの有害成分を減らすための追加デバイスがいくつも装着されました。
その当時はまだキャブレター全盛の時代だったので、いまのように出力と環境性能を両立させることが困難で、結果として大きくパワーダウンせざるを得ませんでした。
それでも結果的に歴代最多の販売台数を記録したのは賞賛すべきですが、クルマとしては「牙を抜かれた」と評価されてもやむなし、という状況だったようです。
■忘れてはならない「GT-R」の存在
その「排出ガス規制」が施行される直前、前期モデルの最終期に特別グレードの「2000 GT-R」が発売されました。
構成的には先代の「ハコスカ」のGT-Rと同じく、心臓部のエンジンにはレース由来の設計といわれる直列6気筒DOHCの「S20型」を搭載。前後に幅広のタイヤを収められるオーバーフェンダーを装着し、専用のグリルとリヤのガーニッシュが与えられ、テールゲート上にはスポイラーを備えたスパルタンな外観に仕立てられたモデルです。
発売の前にはモーターショーにて、市販版よりワイドなフェンダーと前後の大型スポイラー、レーシングジャケットなどを装着し、レーシングカラーに塗られたプロトモデルが展示されましたが、結果として「ハコスカ」の輝かしい戦績を引き継ぐだけに留まり、実際にワークスとしてレース活動は行われませんでした。
冷静に見ると、「S20型」というエンジンがすばらしいユニットだということは疑いを挟む余地がないのですが、それ以外に関しては、大柄になって運動性能が低くなったボディに、ほぼ進化をしていない足まわりと、もしレースに参戦していたら果たして勝てただろうか? と少し疑問に感じてしまう仕様だったことも否めません。
ではこの「ケンメリ GT-R」が歴代の「GT-R」のなかでもひときわ特別な扱いとなっているのはなぜでしょう? それは販売台数が極端に少ないためなのです。
いまとなっては正確な数字は曖昧ですが、約200台しか生産されなかったという希少性が旧車マニアの心の琴線に触れ、昭和の時代から希少車として認識されていました。いまではさらに台数が減り、ウワサでは現存数は100台に満たないのではないかともいわれていて、そんなことから、取引価格2000万円という話も聞こえてくるような超プレミアムな扱いになったようです。
希少すぎる「GT-R」はもちろんですが、歴代最高の販売台数を誇ったクルマにもかかわらず、普通のGTグレードでもいまとなっては街で走る姿を見かけることはほとんどなくなり、イベントやオフ会でも「ハコスカ」より台数は少ない印象になっています。
おそらくは、売れたことでありふれたクルマになって、中古車の価格が下がった結果、補修より潰したほうが得だと判断されて台数が減少したという説が濃厚です。そのため、GT-Rではない標準グレードのGTでさえ、1000万円の値が付くほどに高騰しているという話も耳に入ってきます。
好きな車種が手軽に入手できなくなってしまったのは正直残念な気持ちのほうが大きいですが、それだけの価値が認められているということはうれしい要素ですね。
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地方ロケでは
お約束の衝突、横転、炎上の憂き目になる
230セドリックに変わって
ケンメリのパトカーが破壊されてました。