同等に速く希少なスーパーカー
1960年代後半から始まった、スーパーカー時代。その勢いは衰えることなく、1980年代から1990年代半ばにかけて、動力性能の記録は次々に塗り替えられた。そんな1台へ憧れた、という読者も少なからずいらっしゃると思う。
【画像】ジャガーXJ220 同時期のスーパーカー フェラーリF40とマクラーレンF1も 全77枚
クルマの進歩はその後も続き、当時の数字は驚くようなものではなくなった。だが、クラシックカーとして価値は上昇の一途にある。
フェラーリ288 GTOやF40、F50、ポルシェ959、ブガッティEB110やマクラーレンF1といった伝説的な希少モデルを入手するには、現在は7桁ポンド(数億円)の資金が必要になっている。英国製の特徴的な1台を除いて。
ジャガーXJ220は、生産数がフェラーリ288 GTOやポルシェ959と並ぶくらい少なく、圧倒的なマクラーレンF1を除いて、ライバルに負けず劣らず速い。過去にル・マンでクラス優勝を遂げてきたという、ブランドの確かな歴史もある。
しかも、それら多くのスーパーカーより仕立てはゴージャスで、ジャガーとしても前例がないほど。そんなXJ220が、近年は40万ポンド(約6400万円)程度で売買されている。驚くほど低調な値動きといっていいだろう。
ジャガーがXJ220を発表したのは、34年前の1988年。48バルブのV型12気筒エンジンを搭載する四輪駆動のスーパーカーとして、英国バーミンガム・モーターショーで大きな注目を集めた。
そして29年前の1993年、自動車雑誌としては唯一、AUTOCARではXJ220の試乗テストを実施した。貴重なダークブルーの1台をお借りして。
取り消されたル・マンでのクラス優勝
今日、筆者の目の前にあるXJ220は、偶然にも29年前にAUTOCARで試乗したクルマそのものだという。現在の所有者は、このスーパーカーの第一人者として知られる、ドン・ロー氏。 J999 JAGのナンバーを下げた、量産版の第1号車だ。
当初は、レーシングドライバーやレーシングチームのマネージャーとして活躍した、トム・ウォーキンショー氏が社用車として乗っていた。29年前のわれわれは彼に申し出て、特別なジャガーをいつもの試乗ルートへ連れ出したのだった。
ここで改めて、ジャガーXJ220をおさらいしておこう。スーパーカー時代のレジェンドの1台と表現しても構わないだろう。ドラマチックなスタイリングは極めて低く、実用性には欠けるが、とても速い。だが、それ以上の存在でもある。
ジャガーがこれまで生産した公道用モデルのなかで、最も速い。コンセプトカーから量産化に至るまで紆余曲折があり、内容は大きく変更され、生産開始も遅れた。
1993年にはル・マン24時間レースへ出場。GTクラスへXJ220 Cが3台投入され、見事にクラス優勝を掴み取っている。レース後、排気系から触媒が取り外されていたことが理由で、失格となったけれど。
ただし、当時の規則では触媒の取り付けが明記されていたわけではない。少なくとも公道用のXJ220には備わっていた。レースカーという理由で外されたのだろうか。
最新の911 GT3に勝る中間加速
当初、エンジンはV型12気筒だと告知されていたが、最終的に3.5LのV型6気筒ツインターボへ変更され、注文していた投資家から批判を集めた。四輪駆動も見送られ、後輪駆動となった。
一方、1990年代に入り景気は急速に悪化。エンジンの変更は注文をキャンセルする格好の理由になった。このV6ツインターボは、トム・ウォーキンショー・レーシングのグループCカー、XJR-10やXJR-11で不満のない成績を納めていたのだが。
コンセプトカーから6気筒を失っても、XJ220は速かった。0-97km/h加速3.6秒は、今でも高性能モデルとして充分に通用する。
しかも後輪駆動で、トラクション・コントロールやローンチ・コントロールといった、電子アシストは一切なし。当時最先端のタイヤと、マニュアル・トランスミッションを操るドライバーによって成し遂げられた数字だった。
新しい992型のポルシェ911 GT3と、加速性能を比べてみよう。リアエンジンというトラクションと、ステアリングホイールに付いたシフトパドルの効果が発揮され、静止状態から225km/hくらいまでの加速は、911 GT3の方が速い。
しかし、変速なしでの中間加速を比べると逆転する。パワーをタイヤが受け止められるようになる、100km/h前後からはXJ220が有利。97km/hから128km/hと、209km/hから241km/hまでの加速は、0.5秒も短くこなせる。
英国の自動車試験場、ミルブルックの限られたストレートでも、273km/h(時速170マイル)までの加速テストを実施できた最初の量産車だった。当時、実際にステアリングホイールを握った筆者には、忘れられない記憶だ。
この続きは後編にて。
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みんなのコメント
うちのデーラーに 社長の車で所有しており 乗りたくて入社しました。
この車は、視界が悪いのと、大きさ以外は普通です。
車内も意外に静かでカーステレオやエアコンもあります。
ブレーキの倍力装置が付いていないため、そこは大変かも?
車高はかなり低いです。
会社にあったのは、なぜか左ハンドル(笑)社長のオーダーで
正規デーラー車は、日本ではこの車しかないそうです。
うちの会社はJJができるまで、正規輸入代理店契約をしていたみたいで、ジャガーカーズから直に買えたみたいです。
部品がないので 落ちるタイプのリトラの機構が壊れていました。
あの車どうしたんだろう?
タイヤサイズもかなり太くて、まさにレースのための車でした。
たまに、工場の人の運転で、横横あたりで状態維持のため走っていました。
僕は助手席で視界の確認のために、乗っていました。