ポルシェの環境保護への取り組み
ポルシェは全ラインナップの電動化に向けて抜本的な改革を進めており、2024年からマカン、カイエン、ボクスター、ケイマンの4つの新型EVを投入する。これらのEVはガソリン車とともに販売される予定だ。
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ポルシェの目標は、2025年までに販売台数の50%を電動パワートレイン搭載車とし、2030年までに80%をEVにすること。しかし、EVの生産が環境に負荷を与えては元も子もない。そこでポルシェは現在、2030年までにサプライチェーン全体をカーボンニュートラルにするという別の目標を掲げている。
ここでは、ポルシェがどのように実質排出量ゼロを目指しているのかを紹介する。
新しいエネルギーの利用
ポルシェのエネルギー戦略は、持続可能なエネルギー源のみを利用することと、使用量を削減することの2つを柱としている。前者はシュトゥットガルト工場での自然エネルギーへの転換を勧め、これにより年間9万500トンのCO2排出量が削減されたという。
バイオガスの利用は、それほど大きな変化をもたらさなかったが、さらに4万2300トンのCO2を削減している。工場内では、部品を運ぶ自律走行車に回生ブレーキを追加し、効率を高めている。
昔ながらのアプローチ
ポルシェの環境保護への取り組みは、近年のトレンドに対応したものではなく、2000年代に入ってから動き始めたものだ。1999年、カイエンを生産する新工場の建設地としてライプツィヒ近郊の旧軍事試験場が選ばれたが、建設には3年の猶予が与えられた。この施設はドイツ帝国時代から1世紀近く使われていたもので、着工するにはまず軍需品の撤去が必要だった。
ポルシェの環境・エネルギー管理部門の責任者であるアンケ・ヘラーは、「この時、環境保護への “昔ながら” の取り組みが始まった」と説明する。300ヘクタールの施設のうち130ヘクタールを「生態系補償地域」に指定し、工場が環境に与える影響を相殺するという、当時としては斬新なコンセプトが採用されたのだ。
現在、このエリアにはエクスムーア・ポニー、オークロックス(ヘック牛)、50のミツバチのコロニーがあり、138種の鳥類が集まっている。
また、次世代の教育にも活用されている。7歳以上の子ども向けに、工場敷地内を巡るサファリツアーを提供しているのだ。元ザクセン州環境農業大臣のトーマス・シュミットは、「幼い頃から責任を持って、持続可能な方法で自然や環境と関わる方法を子供たちに教えることが重要」と述べている。
製品からのプラスチック排除
カーボンニュートラルに向けた取り組みとして、部品やロジスティクスパートナーとの連携も挙げられる。例えば、サプライヤーとの協力により、製品から可能な限りプラスチックが取り除かれている。
どうしてもプラスチックが必要な場合も、リサイクルが難しい着色プラスチックは禁止している。アンケ・ヘラーは、ポルシェが単独でできることは限られているとし、「常にパートナーが必要」と語る。
ポルシェのプラスチック対策は、工場内で部品を運搬するための台車にも及んでいる。チップボードと段ボールだけで作られたカートに切り替えたのだ。
水質汚染物質の削減
こうした対策は、すでに効果を上げている。ポルシェのライプツィヒ、ヴァイザッハ、ツッフェンハウゼンの各工場は現在、バランスよくカーボンニュートラルな状態にある。
しかし時代は変わり、ポルシェの環境負荷を測定する基準はもはやCO2だけではなくなった。「水は未来の金です」とヘラーは言う。ポルシェは現在、排水中の汚染物質や有害物質の放出を最小限に抑えるよう取り組んでいるとのこと。これが先見の明のある動きなのか、それとも単なる予備的な対策に過ぎないのかは、時間が経ってみないとわからない。
まもなく登場するポルシェの新モデルとは?
2024年に登場予定のマカンEVは、デュアルモーターを搭載し、最高出力611psと最大トルク102kg-mを発生する「同セグメントで最もスポーティなクルマ」となる見込み。
カイエンのEVは、2025年に現在のガソリンエンジン車と並んで発売される予定だ。航続距離は、メルセデス・ベンツEQS SUVの約580kmを上回ると言われている。
718ケイマン/ボクスターは、現在のミドエンジンの特性を模倣した電動スポーツカー専用プラットフォームを採用する予定。発売は2026年と見られる。
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みんなのコメント
911は内燃機関を残すようで、チリでバイオガソリンを生産するようですね。
バイオエタノールだったらブラジルのフレックス車のようにガソリンもエタノールも混合して使えるけど、始動時だけはガソリンが必要なので、別途ガソリンタンクが必要な仕様になるのかしらん?
大衆車メーカーはEV以外に選択肢はない