現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【KTM 990RC R 試乗】エキサイティングかつ、人間が操ることができる「良い境界線」…鈴木大五郎

ここから本文です

【KTM 990RC R 試乗】エキサイティングかつ、人間が操ることができる「良い境界線」…鈴木大五郎

掲載 更新 3
【KTM 990RC R 試乗】エキサイティングかつ、人間が操ることができる「良い境界線」…鈴木大五郎

◆KTMらしい全くブレないフィロソフィーが息づく「990RC R」
世界最高峰のロードレース、MotoGPにはじまり、AMAスーパークロス、モトクロス世界選手権にダカールラリーetc、幅広いレースシーンでのトップコンテンダーとして活躍。ブランドとしてはハスクバーナにGASGAS、そしてMVアグスタまでも吸収合併…冷静に考えてみればそれはちょっとやりすぎだろ?と思う。

KTMが経営危機にあるというニュースが2024年に流れた。そのやり過ぎ精神がちょっと首を締めた面もあったのかもしれない。いっぽうで、そんな攻撃的スタンスが、生み出されるマシンの魅力に現れているのも事実であろう。 大方の問題が片付いた今、噂されていた『990RC R』が遂に発売決定。スペイン・セビリアにておこなわれたローンチで、そのフィロソフィーはまったくブレることなく息づいていることが感じられたのであった。

【画像】KTM 990RC R

RCとはレーシングコンペティションの略。同社のMotoGPマシン『RC16』にも似たレーシーなスタイリングが特徴だ。また、4気筒エンジンを積むリッタークラスのマシンと比較して明らかにコンパクトである。

エンジンは『990Duke』に搭載されている947ccの並列ツインを流用するが、セットアップは専用となり、最高出力は130psに設定される。もしかするとスーパーバイク参戦を念頭に開発されたRC8以来のレーシングスペックとなるマシンなのか?

しかしその予想は良い意味で裏切られる。イメージよりもライディングポジションは前傾がきつくないし、意外なほどフレンドリーな走りを持っていたのである。

◆ストリートでの使用にもマッチングする仕様
テスト初日はセビリア郊外のワインディングを中心に走行。990Duke由来のエンジンは低回転域から使いやすいトルクを発生。ミッションもストリートでの使用にマッチングするもの。クラッチワークもイージーで、ストップ&ゴーでももたつくことがない。

ハンドリングは軽快さと安定感がうまくバランスしている。 KTM伝統のスチール製フレームはしっかりとした剛性感を伝えるが、スイングアームは柔軟性を持たせているという。その恩恵か、フィードバック性が高く、乗り味がシャープ過ぎない優しさを持っている。

また、クルーズコントロール(オプション)を装備する等、スポーツライディングだけに的を絞ったマシンではないことがしっかりと感じられたのである。

2日目はサーキットに移動。ミシュラン製スリックタイヤに換装されたマシンがお出迎え。30分のセッションが7セットとKTM流のおもてなしを受ける。

ライディングモードは通常4種類で、オプションのトラックパックを選択すれば、サーキット走行における最適な設定が得られるとともに、さらに細かいセットアップも可能となる。ちなみにこのオプション。購入から1500キロまでは全て使え、その後は用途に合わせて選択出来るというのも新しく、親切でもある(日本での導入は未定)。

コーナーリング中の安定感と運動性。公道で感じたフィードバック性の高さも健在で、徐々にペースが上がる中で、簡単にサスペンションの設定を変更出来るのも嬉しい。さらなるペースアップを望むライダーにはパワーパーツが揃っているのだから安心だ。

◆130psはエキサイティングかつ、人間が操ることができる良い境界線
130psはエキサイティングさを十分感じながら、人間が操ることのできる良い境界線だと思う。それは基本的には電子制御にもさほど頼ることないバランスといえる。

しかし攻め込むことによって、物理的限界に近づいたとき、邪魔することなく サポートしてくれる安心感。ブレーキングパフォーマンスも非常に高く、リアホイールが浮き上がりそうなほどハードなブレーキングを繰り返しても熱ダレやフィーリングの変化は起きず、フロントのABSを介入させることも難しいほどだった。4種類あるABS設定も秀逸で、新たに採用されたスーパーモト+モードはリアのABSが基本的にカットされるものの、ブレーキング時のスライドアングルが8度を超えると介入するという優れもの。

そんな走りはしないだろ!などと言うなかれ。エキスパートに向けた積極的な走りもサポートしている。ピンポイント的マニアックさは良い意味で薄まりつつも、純粋な走ることを楽しむKTMらしさは磨きがかけられている。

KTMの未来について一抹の不安がなかったわけではない。そんな不安を払拭するのに素晴らしいタイミングでリリースされたと感じられたのである。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

文:レスポンス 鈴木大五郎
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

【スズキ DR-Z4S/SM 試乗】足がつかない不安も、走り出したらすっかり忘れました…小鳥遊レイラ
【スズキ DR-Z4S/SM 試乗】足がつかない不安も、走り出したらすっかり忘れました…小鳥遊レイラ
レスポンス
【スズキ アドレス125 試乗】扱いやすさ&快適性は星5つ!“軽快125”の新スタンダード…伊丹孝裕
【スズキ アドレス125 試乗】扱いやすさ&快適性は星5つ!“軽快125”の新スタンダード…伊丹孝裕
レスポンス
【ヤマハ アクシスZ 試乗】最軽量か、ゆとりか。「シグナス」と「ジョグ」の間で光る「王道コミューター」の姿…伊丹孝裕
【ヤマハ アクシスZ 試乗】最軽量か、ゆとりか。「シグナス」と「ジョグ」の間で光る「王道コミューター」の姿…伊丹孝裕
レスポンス
三菱『トライトン』に「サバナ」、シュノーケルや専用ラリーイエロー採用…ブラジル限定
三菱『トライトン』に「サバナ」、シュノーケルや専用ラリーイエロー採用…ブラジル限定
レスポンス
最終コーナーをまわったアルピーヌ A110【石井昌道】
最終コーナーをまわったアルピーヌ A110【石井昌道】
グーネット
「やっぱトヨタはすげぇよ…」新型スーパーカー『GR GT』発表にSNSは興奮の渦!「V8ツインターボはあつい!」「会長は国宝」など絶賛
「やっぱトヨタはすげぇよ…」新型スーパーカー『GR GT』発表にSNSは興奮の渦!「V8ツインターボはあつい!」「会長は国宝」など絶賛
レスポンス
【新車試乗】ホンダ(HONDA)CRF250ラリーは「遊び倒したくなるツーリングマシン」
【新車試乗】ホンダ(HONDA)CRF250ラリーは「遊び倒したくなるツーリングマシン」
WEBヤングマシン
ディフェンダー最強「OCTA」がベース、『ダカール D7X-R』発表…ダカール・ラリー2026に挑む
ディフェンダー最強「OCTA」がベース、『ダカール D7X-R』発表…ダカール・ラリー2026に挑む
レスポンス
【スズキDR-Z4S試乗】国産唯一の400ccオンオフモデルをワンデイツーリングで試す!
【スズキDR-Z4S試乗】国産唯一の400ccオンオフモデルをワンデイツーリングで試す!
モーサイ
【新型試乗】スズキ(SUZUKI)Vストローム250SXは「オンロードメインで楽しむ扱いやすいツアラーモデル」!
【新型試乗】スズキ(SUZUKI)Vストローム250SXは「オンロードメインで楽しむ扱いやすいツアラーモデル」!
WEBヤングマシン
【新型試乗】カワサキ KLX230シェルパSは「軽く小さく初心者にも優しい」。レーシング女子・岡崎静夏の軽アドベンチャー&オフロード一気試乗
【新型試乗】カワサキ KLX230シェルパSは「軽く小さく初心者にも優しい」。レーシング女子・岡崎静夏の軽アドベンチャー&オフロード一気試乗
WEBヤングマシン
KTMから大型SSのダークホースが出撃!【990 RC R】海外試乗記
KTMから大型SSのダークホースが出撃!【990 RC R】海外試乗記
モーサイ
「間違いなく正解」新型トヨタ『RAV4』がSNSで話題沸騰! 注目グレードはやはり「GRスポーツ」
「間違いなく正解」新型トヨタ『RAV4』がSNSで話題沸騰! 注目グレードはやはり「GRスポーツ」
レスポンス
「令和に相応しいスーパーカー」レクサス『LFA』復活にSNSでは話題沸騰!
「令和に相応しいスーパーカー」レクサス『LFA』復活にSNSでは話題沸騰!
レスポンス
車高アップは乗り心地が悪いは昔の話? TEINがクロスロードで証明した最適解~カスタムHOW TO特別編~
車高アップは乗り心地が悪いは昔の話? TEINがクロスロードで証明した最適解~カスタムHOW TO特別編~
レスポンス
トヨタがスーパーカー『GR GT』発表、4リットルV8ツインターボで650馬力以上…オールアルミ骨格採用
トヨタがスーパーカー『GR GT』発表、4リットルV8ツインターボで650馬力以上…オールアルミ骨格採用
レスポンス
トヨタ GR GT、「勝ちたい人に選ばれる」レーシングカー『GR GT3』も開発中…2027年頃発売へ
トヨタ GR GT、「勝ちたい人に選ばれる」レーシングカー『GR GT3』も開発中…2027年頃発売へ
レスポンス
レクサス『LFA』後継はEVに、「LFAコンセプト」世界初公開…低重心・軽量・高剛性を追求
レクサス『LFA』後継はEVに、「LFAコンセプト」世界初公開…低重心・軽量・高剛性を追求
レスポンス

みんなのコメント

3件
  • *****
    KTMは怖くて無理😅
    いつどうなるかわからん
  • aki********
    KTMのレース部門は売りに出されるようだね!
    本体救った出資者が売却を迫っている模様、さてどうなるのかね?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95 . 2万円 105 . 3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

16 . 0万円 92 . 8万円

中古車を検索
ホンダ ストリートの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95 . 2万円 105 . 3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

16 . 0万円 92 . 8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村