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最新・最強の「508PSE」と、プジョーのモータースポーツ活動を振りかえる【プジョー今昔ストーリー/その12】

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最新・最強の「508PSE」と、プジョーのモータースポーツ活動を振りかえる【プジョー今昔ストーリー/その12】

「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は試乗はしていないが、最新で最強のモデルである508PSEを眺めながら、プジョーのモータースポーツ活動を振りかえってみたい。(タイトル画像は、上が308GTi by プジョースポール、下が508PSE)

508PSEとル・マン参戦マシン「9X8」との共通点
2021年9月2~5日に東京・六本木で開催された「ライオン エクスペリエンス 2021」で、508PSE(プジョー スポール エンジニアード)が公開された。実車を見た印象は「カッコいい!」のひと言。もともと異例に低く伸びやかな印象のあった508のスタイリングは、このスポーティモデルのためだったのかと思うほどで、508PSEによく合っているようだ。

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通常モデルとの違いは控えめなのだが、そこがまた大人で、フランスブランドらしいセンスを感じさせる。フロントマスクで目につくのは、カーボン調の細かいフィンのようなグリルパターンや、アンダーグリル両サイドのエアスクープ状のモチーフ。リアへまわるとディフューザーが、さらにボディサイド下部には、計6個のフィンが付けられている。なによりホイールは大径の20インチで、トレッドも前24mm/後12mm広げられ、これらにより、いかにもスポーツモデルらしい精悍な構えになっている。

パワーユニットはプラグインハイブリッドの4WDで、エンジンは200ps、フロントモーターは110ps、リアモーターは83ps、システムトータルで360psを発生するというプジョー市販車史上最大のパワーとなる。このパワーユニットは300psを発生する3008GTハイブリッド4と基本的には同じ構成だ。SUVの3008でも、ひとたび右足を踏み込めば弾丸列車のような加速性能を持ち合わせているので、その出力をさらに高めて重心も低い508PSEのパフォーマンスは、痛快なものだろうと思われる。

PSEはプジョーのモータースポーツ部門である「プジョースポール」が新しく立ち上げたラインで、電動化によるハイパフォーマンスを追求する。508PSEは、その最初の市販モデルだ。PSEの立ち上げと同時に、プジョースポールから「9X8」のル・マン24時間レース参戦プロジェクトが発表された。9X8は508PSEとは中身はもちろん違うが、同じく4WDハイブリッドを採用する。9X8と508PSEはまさに一蓮托生の関係といえ、9X8のレースでの活躍がPSEの販売にも直接貢献するだろう。ル・マン24時間レースに必勝体制で臨んでくるに違いない。

プジョーは今まで、総力戦で参戦したトップカテゴリーのモータースポーツでは、高い確率で所定の勝利を収めてきた。戦後のプジョーは、当初ラリーで活躍した。とくに1960年代の404や504は、サファリ ラリーをはじめとするアフリカを舞台としたイベントで強さを発揮した。ただアフリカでの活躍は、イベントごとの単発的ともいえるものだった。

プジョーの本格的なモータースポーツ活動はWRC制覇から
プジョーが本格的にモータースポーツに参画するようになったのは、1981年に今のプジョースポールの前身、プジョー・タルボ・スポールを設立してからである。プジョーは当時開発中だった新型車205のイメージを借りて、まったくの専用シャシを持つ205ターボ16(T16)を製作し、WRC(世界ラリー選手権)への挑戦を開始した。

4WD、ミッドシップ、ターボという、当時のラリー界の新しい技術をすべて合わせ持つ、まさに最強のパッケージをものにした205T16は、ジャン・トッドという優れたディレクターのもとで、見事1985、1986年と連続でチャンピオンを獲得する。ちなみに、タルボとは当時プジョー傘下にあったメーカー名で、トッドはそのころタルボのワークスチームでナビゲーターとしてWRCチャンピオン獲得に貢献しており、その系譜を継いだことを示していた。

1986年いっぱいで行われたレギュレーション変更により205T16がWRCに参戦できなくなると、今度はそのマシンをパリ~ダカールラリー参戦車両に転用してまたも王座を獲得、しかも3年連続だった。途中からマシンのデザインを変えて405T16を名乗っていたが、405T16はアメリカのヒルクライムレースであるパイクスピークにも挑戦し、優勝した。

一方で、ラリーのあとはスポーツカーレースへと主戦場を変え、905で見事成功。ただその後F1へ進むも、そこでは挫折し、再びWRCへと舞い戻る。206WRCを新たに開発し、2000年代初頭にこれで連続チャンピオンを獲得することになる。

プジョーはその後スポーツカーレースの舞台に戻り、908で再び成功を収める。

それから、かつてのラリーカー205T16を彷彿とさせる、208T16を名乗るマシンでパイクスピークに挑戦。ここはかつて未舗装路だったが、この時代にほとんど舗装されており、208T16にはスポーツカーレースで培った技術を活かされたわけだ。そのあともダカール ラリーで再び勝利を収めたほか、世界ラリークロス選手権でも208WRXによって王座を獲得しており、ラリー的なイベントで変わらずに活躍している。

そして最も新しい活動が、スポーツカーレースの9X8というわけである。

一般ユーザー向けの、プジョースポールの名を冠したモデルは、308GTi by プジョースポールが最初だったのではないかと思う。新生プジョースポールともいうべきPSEの、今後の展開に注目したい。(文:武田 隆)

[ アルバム : プジョーのモータースポーツ活動 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • このライターはどれだけタルボをぞんざいに扱えば気が済むのだろうか。確かに80年代のタルボ・ポワシー工場の労働争議は、プジョーとしては触れられたくない歴史なのかも知れないが
  • grBからgrAへの移行は、105が担当したんじゃなかった?
    プジョーの405って、2ドアのクーペだよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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