昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は、昭和46年発売のマツダ カペラ ロータリークーペだ。
まさに“風”の速さを見せつけたロータリーパワー
マツダ カペラ ロータリークーペGS:昭和46年(1971年)10月発売
1970年代、マツダ(当時は東洋工業)は“ロータリゼーション”を旗印に、積極的にロータリー戦略を推し進めた。その第一弾として1970年5月にベールを脱いだのが、ブランニューモデルのカペラ・ロータリーだ。
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マツダは67年に世界初の2ローター・ロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツを発売し、その後、ファミリア・ロータリークーペとルーチェ・ロータリークーペを送り込んでいる。この3車に続く、ミドルサイズのロータリー搭載車が、カペラだ。
カペラはマツダの創立50周年を記念して企画されたクルマである。エンジニアの英知を結集して開発され、帝国ホテルを発表会場に選ぶなど、すべてにおいて並々ならぬ意欲を示した。
ボディバリエーションは4ドアセダンと2ドアクーペの2種類で、NA型4気筒エンジンを積むレシプロシリーズも設定されている。だが、カペラの主役となるのはロータリー搭載車だ。
スタイリングは、直線と曲面を織りまぜたダイナミックなものである。超音速ジェット機をイメージしたウエービングラインを採り入れ、ポップアップしたベルトラインや骨太のリアクオーターピラーを特徴とした。また、フロントとリアのフェンダーを六角形に絞り込み、ワイド感をアピールしている。
ヘッドライトはデビュー当初は角型だったが、71年10月のGシリーズ登場を機に丸型4灯式に改められた。さらに先進的な接着式ウインドーの採用や昇降可能なクーペのリアクオーターウインドーなど、新しい装備を満載している。
インテリアもスポーティムードあふれるデザインだ。厚いクラッシュパッドのなかに3眼メーターを組み込み、GS(グランドスポーツ)には3本スポークステアリングやセンターコンソールを採用した。クーペのフロントシートは、ライバルに先駆けてウォークインシステムを導入している。
エンジンは、カペラのために開発された12A型2ローター・ロータリーをメインに置く。基本的には10A型と同じだが、ローターハウジングの厚みを10mm増し、単室容積で573ccの排気量を得ている。また、排気孔をハニカムポートとして排気効率を上げ、トルク特性を改善した。
性能的にも10A型ロータリーを大きく凌ぐ。最高出力は120ps/6500rpm、最大トルクは16.0kgm/3500rpmというスペックは、2Lのスポーティカーに匹敵する動力性能だ。
サスペンションもロータリーのために開発された。フロントはトーションバー式スタビライザーを備えたストラット/コイル、リアは4リンク・ラテラルロッドで、ダンパーもガス封入式のド・カルボン・タイプを奢っている。
ちなみに最高速はクーペが190km/h、セダンが185km/hだ。0→400m加速も5名乗車時に16.2秒を達成、2名乗車では当時のスポーツカー並みの15.7秒を叩き出した。
カペラの頂点に立つのはクーペGSだったが、71年10月のGシリーズ追加設定時には、ロータリーでは世界初のAT仕様であるREマチックも設定された。シルキースムーズなロータリーとATの組み合わせは、スポーティATの先駆けとなった。
その余勢を駆って1972年2月には、カペラGシリーズのトップに君臨するクーペGSIIを投入している。サスペンション強化によって車高を40mm下げ、ボディサイドにはアローストライプを配した。足下も、165SR13ラジアルと4.5Jのホイールにグレードアップされている。
エンジンもわずかにパワーアップされ、最高指導者は125ps/7000rpm、最大トルクは16.3kgm/4000rpmに向上した。最高速はGSと同じ190km/hだが、5速MTを駆使すればゼロヨンを15.6秒で走り切る実力の持ち主である。
カペラGSIIは“風のカペラ”のニックネームを与えられ、サーキットはもちろん、公道でも速い走りを披露した。当時、カペラの六角形テールランプ(初期型は丸型)に脅威を感じたライバル車のオーナーも多かったはずだ。
カペラ ロータリークーペGS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4150×1595×1395mm
●ホイールベース:2470mm
●重量:975kg
●エンジン型式・種類:12A型・直2ローター
●排気量:573cc×2
●最高出力:120ps/6500rpm
●最大トルク:16.0kgm/3500rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:165SR13
●価格:87万円
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