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トヨタに肉薄! 「GM・ヒョンデ提携」の衝撃、北米依存を超えた中国・インド攻略の行方とは

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トヨタに肉薄! 「GM・ヒョンデ提携」の衝撃、北米依存を超えた中国・インド攻略の行方とは

世界で1030万台、協力の新時代

 米国のゼネラルモーターズ(GM)と韓国の現代自動車(Hyundai Motor Company)は、2024年9月12日に重要な戦略分野での協力を模索する覚書を締結した。

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 この覚書により、両社は今後、

・乗用車や商用車の開発・生産
・内燃機関車両の開発
・再生可能エネルギーや電気・水素分野での共同開発
・EV用バッテリー材料や鉄鋼などの原材料の共同調達

を進めていく。なお、GMと覚書を交わしたのは現代自動車であり、現代自動車グループ(Hyundai Motor Group)傘下の起亜やジェネシスは対象外となる。

 2023年の世界自動車販売台数において、GMは第5位(619万台)、現代自動車は第6位(421万台)だった。現代自動車グループ全体では第3位(730万台)となる。両社の販売台数を合計すると

「1030万台」

に達し、世界トップのトヨタ(1109万台)に迫る規模となる。

GMの提携実績とその影響

 現代自動車が他の自動車メーカーと提携するのは、2000年にダイムラークライスラー(当時)と資本提携した以来となる。

 ダイムラークライスラーは現代自動車の株式10.44%を取得したが、2004年には全て売却し、わずか4年で提携を終えた。提携の目的は商用車の合弁生産や、ダイムラークライスラー傘下の三菱自動車工業との新型車やエンジンの共同開発・製造だったが、これらは実現しなかった。

 一方、GMは日本の自動車メーカーを中心にさまざまな提携をしてきた。しかし、ほとんどの提携は不調に終わっている。主な提携先とその内容は次の通りだ。

●ホンダ
1999年からエンジンを相互供給し、2013年には燃料電池に関する協業を開始した。2024年の1月からは両社による合弁会社で燃料電池システムを生産している。電気自動車(EV)分野ではGMがバッテリーを供給し、量販価格帯EVの共同開発を行っていたが、2023年秋に打ち切られた。現在も自動運転分野での提携は続き、GM傘下のクルーズに共同出資している。

●ルノー日産
2006年にカルロス・ゴーン氏が主導し、ルノーと日産がGMへそれぞれ10%ずつ出資する案が検討された。しかし、オバマ政権が介入して破談となり、GMは2009年にチャプター11適用を申請し、事実上の経営破たんに追い込まれた。

●PSA(プジョー・シトロエン)
2012年にGMがPSA株式の7%を取得し、共同購買や小型・中型車の共同開発を目指したが、1年後に提携は解消された。また、2017年にはGMがオペルとボクスフォールをPSAから買収した。

●トヨタ
両社は1984年に米カリフォルニア州にNUMMI工場を建設した。トヨタはカローラやタコマ、GMはポンティアック・バイブなどを生産したが、2009年のGMの経営破たんにより工場は閉鎖された。現在はテスラのEV工場となっている。

これらのほかにも、1999年に富士重工業(現・スバル)や2000年にフィアットの株式20%を取得したが、いずれも2005年に資本関係を解消した。

北米市場での相互補完

 両社で検討が進められている協力関係が具体的にどうなるのかを考えてみよう。

 まず、両社のEV戦略に関連したバッテリー分野での協業が考えられる。両社とも、バッテリーメーカーであるLGやサムスンSDIと合弁会社を設立し、北米でバッテリー工場の建設を進めている。

 2024年7月には、GMとLGエナジーとの合弁会社によるミシガン工場の建設延期が発表された。延期の理由はサプライチェーンの問題やコストの上昇だが、EV需要の鈍化によって計画が見直された可能性もある。この協業を通じて、両社はおのおののバッテリー工場をより効率的に運用するスキームを検討するだろう。

 次に、両社のターゲット市場について考察する。GMは北米と中国の販売比率が合わせて80%を超え、依存度が高い。一方、現代自動車は

・北米
・欧州
・インド
・中南米

などが主な販売地域である。これから考えると、両社で相互補完できる地域は中国とインドとなる。

 現代自動車は中国市場で販売不振に陥っている。以前は中国に五つの工場を持ち、年産150万台程度の能力があったが、2021年に北京第1工場を、2023年12月には重慶工場を売却し、生産能力を大幅に縮小している。GMとの協業を通じて、中国事業の立て直しを模索する可能性は残されている。

 インド市場では、現代自動車がGMからタレガオン工場を2023年8月に買収し、2025年に生産を開始する予定だ。既存のチェンナイ工場と合わせて、年産100万台超の能力を計画中である。GMは2017年にインド市場から完全撤退したが、協業を通じて再参入を考える可能性がある。

 GMの依存度が高い北米市場では、現代自動車の販売が堅調であり、両社はお互いに不可侵の立場を取るだろう。

EV市場を変革する協業

 ソフトウエア定義車両に対応するためのソフトウエア開発費の抑制や効率化、GMがホンダとの提携を打ち切った量販価格帯のEV共同開発などが考えられる。

 こうした協業により、手頃な価格で高機能なEVの販売が期待できる。

 さらに、現代自動車が推進するハイブリッド車(HV)も注目すべきポイントだ。

 EV市場の減速にともない、HVの需要が伸びている。現代自動車が開発するハイブリッド技術を供与することで、GMはHVのラインアップを拡充することも検討されるだろう。

 このように、今回の提携検討では、双方にとってメリットがあるEV戦略の効率化や補完関係を模索している。

 両社による提携がグローバルなEV市場にどのような影響を与えるか、今後の進展に注目したい。

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みんなのコメント

23件
  • 冥土インPRC
    『なぜEV推しメディアはトヨタにカスハラ的"妄言&暴言"を繰り返すのか?』

    世界的にEVが現在下火で、それを隠すのに精一杯になっているメルクマール。
  • おーめん
    どーでもいい記事。
    ひゅんだいに興味無し。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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