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新型ヴェゼル vs ライバル比較《カローラクロス/クロストレック》

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新型ヴェゼル vs ライバル比較《カローラクロス/クロストレック》

新型車比較・ライバル車対決 [2024.07.23 UP]


新型ヴェゼル vs ライバル比較《カローラクロス/クロストレック》

新型ヴェゼルの実力チェック/用途別オススメグレード

売れ線モデルがしのぎを削る最もホットなライバル対決
いまや300万円前後の価格帯は、新車選びのホットスポット。ちょうどそこにハマってくるのが、ここで取り上げる3モデルだ。いずれもまとまりの良い優等生モデルだが、おのおのの特徴や強みを知っていれば、より満足できる一台を選べるはずだ。

●文:渡辺陽一郎


新型ヴェゼル vs カローラクロス/クロストレック
手ごろなサイズは共通だが
パッケージングは違いあり
 ホンダ・ヴェゼルは、コンパクトSUVを代表するモデル。現行型は2代目で、2021年に発売され、今年の4月にマイナーチェンジを実施している。ボディサイズは全長が4340mm、全幅は1790mmと手ごろなサイズ感を持つ。ハイブリッド車でも300万円前後からという価格設定もあって、ホンダSUVの中では最も注目を集めているモデルだ。
 そんなヴェゼルのライバルといえるのは、トヨタ・カローラクロスとスバル・クロストレックの2車だ。
 まず、カローラクロスの全長は4490mm、全幅は1825mmと、コンパクトSUVとしては少し大きめ。もう1台のクロストレックも、全長は4480mmだから、カローラクロスとほぼ同じ。全幅も1800mmに収まる。
 この3車を眺めると、ヴェゼルとカローラクロスは、いかにもSUVらしいワゴンボディを採用しているが、クロストレックは、5ドアハッチバックのインプレッサもシリーズ展開されているため、SUVとしては少し全高が低め。ただ、最低地上高は200mmと、ヴェゼルの170~195mm、カローラクロスの160mmに比べると余裕を持たせた設計。それでいて全高はシャークフィンアンテナ装着車でも1575mm、非装着車なら1550mmに収まる。そのため立体駐車場も使いやすいメリットがある。

広さはヴェゼルが若干リード
内装質感はいずれも合格点
 インパネまわりの内装の質感は、各車とも十分な水準に達している。そのことを踏まえ比べると、ヴェゼルは、水平基調で開放感を強調するデザインを採用しており、インパネの上面も平らで、前方視界の良さが際立つ。カローラクロスのインパネは立体的な造りで、キャビン設計もフロント2席を囲むように仕上げられている。実用車らしい馴染みやすいキャビン仕立てだ。クロストレックは、コンソールに設置された多彩な情報を表示できる11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイが特徴。ナビディスプレイはオーソドックスな横画面のライバル2車に比べると、少し先進的なイメージが強め。このアイテムは上級のリミテッドには標準装着、ベーシックなツーリングにはオプション設定されている。
 各車ともボディはコンパクトでも車内は広い。特にヴェゼルは空間効率が優れていることが強み。全長はライバル2車よりも短いが、後席スペースは広く取られている。身長170cmの大人4名が乗車した場合でも、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕がある。床面と座面の余裕も十分にあり、居住性に関しては、ミドルSUVのCX‐5やエクストレイルに近い感覚だ。
 クロストレックもヴェゼルと同じ測り方をした場合、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半の余裕がある。後席に座る乗員の靴先を前席の下にスッポリと収めることもでき、見た目以上にリラックスできる。カローラクロスは、同じ測り方で、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ弱。大人4名の乗車は十分に可能だが、ライバル2車に比べると、後席の足元空間は少し狭めだ。
 ただその代わりカローラクロスは荷室が広め。後席の設置位置を少し前寄りにしたことで荷室長を拡大している。通常時でも、荷室長は849mmを確保し、荷室容量も487ℓの余裕がある。全長4500mm以下のSUVの中では、最も荷室が広く取られている。
 逆にヴェゼルは、後席の足元空間を広げたことで、通常時の荷室長は短め。ただ燃料タンクを前席の下に搭載することで、後席を床面へ落とし込むように小さく格納できたり、後席の座面を持ち上げると車内の中央にリヤドアから背の高い荷物を積み込めるチップアップ機構を備えるなど、多彩なシートアレンジ機能がそれをカバー。キャビン&荷室の使い勝手はクラス最大級を誇る。

最新改良でヴェゼルの
e:HEVがパワーアップ
 パワーユニットは、いずれもハイブリッドが主役を務める。
 まずヴェゼルのハイブリッド車は、2モーターのe:HEVを採用しているが、今年4月のマイナーチェンジで各部の制御が見直され、従来型に比べると、エンジンを始動させず静かに走行できる領域が拡大した。通常の走りでは、直列4気筒1.5ℓエンジンが発電して、駆動はモーターが受け持つ。基本的にモーター駆動だから、アクセル操作に対する反応が機敏で運転がしやすい。また、高速巡航時には、エンジンがタイヤを直接駆動してエネルギー効率を向上させる。動力性能を一般のガソリンエンジンに当てはめると、2.3ℓ並みの余裕がある。
 カローラクロスのハイブリッド車は、直列4気筒1.8ℓエンジンがベース。一般的なエンジンに当てはめると、こちらも動力性能は2ℓ超級に相当する。実用回転域の駆動力に余裕があってとても扱いやすい。
 クロストレックは、ハイブリッド車のみの設定だ。水平対向4気筒2ℓエンジンに、小さなモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドに近いe‐BOXERを採用する。モーター駆動はライバル2車に比べると限定的なものだが、それでもエンジン回転数が下がった状態で緩やかに加速を試みるようなケースでは、モーター駆動の支援によって速度を滑らかに上昇させてくれる。
 ちなみにハイブリッド車の魅力のひとつになる燃費性能は、WLTCモード燃費を各車の買い得グレードの2WDで比べると、ヴェゼルが25.3km/ℓ、カローラクロスは26.4km/ℓ、クロストレックは16.4km/ℓとなる。クロストレックはほぼマイルドハイブリッドのため燃費は少し物足りない。

クロストレックの走りは
乗用車感覚に近い
 次は、多くのユーザーが注目する走りについてだ。ヴェゼルは後輪の接地性に重点を置く味付けで、下りカーブなどで危険を避けるために少し雑な操作をしても挙動を乱しにくい。ステアリング操作に対する車両の反応は穏やかで、機敏な印象はないが、乗り心地も適度に柔軟。スポーティ感覚よりも快適性が重視され、キャビン&荷室の使いやすさにこわだっているヴェゼルのキャラと合っている。
 カローラクロスは、乗り心地が少し硬いが、やや高めの全高を感じさせないサスチューンもあって、高速域での走行安定性も良好だ。クロストレックも乗り心地は少し硬めだが、路面当たりを上手にいなしていることに好感を覚える。低めの全高と2670mmの長いホイールベースもあって、走行安定性が優れている。運転感覚もハッチバックのインプレッサに近いため、SUVの高い視線の運転感覚が苦手というユーザーにとっては、クロストレックはもってこいの1台だろう。
 安全装備に関してはクロストレックが最も先進的。死角を補う各種のモニターを用意して、ドライバーの脇見や居眠り運転を警報するドライバーモニタリングシステムも備える。カローラクロスでは右左折時にも衝突被害軽減ブレーキが作動して、ヴェゼルは低速時にも作動する運転支援機能などを備える。ただ、いずれもコンパクトSUVとしては申し分のない内容で、全モデル全グレードに標準装着されている。
 3車の選び分けのポイントとしては、ヴェゼルは後席が広く乗り心地も快適だから、ファミリーユーザーに最適。カローラクロスは広い荷室と少し野性的なフロントマスクもあって、街中はもちろん、荷物の積載も含めてアウドドアなどでも活躍できるタイプ。クロストレックは、峠道などの走りを含めて、SUVでも走行安定性やスポーティな運転の楽しさを求めるユーザーに適している。


HONDA 新型ヴェゼル

現行型はクーペグラフィックのイメージがさらに強まったため、先代よりも車格が上がった印象を受けるが、居心地の良いゆとり十分のパッケージなど、多くの美点も継承している。

見晴らしの良い開放的なキャビン空間を実現。独自の低床構造がもたらす天地のゆとりや、多彩な使い分けが可能なシートアレンジ機能など、フィット譲りの美点もしっかりと受け継いでいる。

後席格納時の荷室は完全フラットになるなど、スタイリッシュな風貌とは裏腹に、便利で快適に使い倒すことができる。実用車としても優秀だ。

ナビ&オーディオはOPで好きなシステムを選ぶタイプ。e:HEV Z PLaYパッケージにはHonda CONNECTディスプレーが標準装備される。

マイナーチェンジでe:HEV車の電動駆動の制御が変更されたことで、全域で余力感が強まり、より扱いやすいモデルに進化している。

これがベストグレード!

ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ(2WD)

価格:299万8600円
オススメはマイナーチェンジで新たに設定されたe:HEV ハントパッケージだ。e:HEV・Xをベースに、野性味を強めた専用の外観、撥水・撥油機能を加えて肌触りも向上させた上級のコンビシート生地、専用ルーフレールが加えられているが、価格アップはe:HEV・Xの11万円高に抑えていることがポイント。アウトドアスタイルが好みなユーザーはもちろん、買い得感を重視するユーザーも選んで損はない。


TOYOTA カローラクロス

高い全高パッケージと室内高がもたらす居住性の良さを売りとするコンパクトSUV。広さと高さで実用性を稼いでいる新趣向のワゴンといってもいいモデルだ。

インパネ造形は他のカローラ系とほぼ同じ。華美な演出は控えめだが、操作性の良さはしっかりと継承されている。シートもブラック基調でシックな雰囲気。

後席格納は分割シングルフォールディングを採用。格納時の床面段差が大きめだが、深さに余裕があるタイプで荷室容量はクラストップレベルの487ℓを実現。

グレードによってモニターサイズと機能は異なるが、スマホ連携を前提とした純正ディスプレイオーディオが標準装備される。

2023年10月の改良でガソリン車は排気量が1.8ℓから2ℓに変更され、ハイブリッド車も電動モジュールの改良で動力性能が強化された。

これがベストグレード!

カローラクロス ハイブリッドS(2WD)

価格:298万円
ガソリン車もこなれた価格で魅力十分だが、おおよそ35万円高でハイブリッド車が狙えることを考えると、性能に優れるハイブリッド車を選びたい。グレードは中級のハイブリッドS。ベーシックなハイブリッドGと比べると、アルミホイールやドライブレコーダー、バックガイドモニター、大型マルチインフォメーションディスプレイなどが追加されるにもかかわらず、価格アップは22万円ほど。買い得感十分な一台だ。


SUBARU クロストレック

インプレッサと共通のボディを用いるため、パッケージングはショートワゴン寄り。プロテクターやクラッディングパネルを各所に配置することでSUVらしさを高めている。

グラスコックピットの機能を盛り込んだキャビン空間。前席シートはブラケットを介さずに直接レールをマウントする構造を採用したことで、着座安定性を高めている。

シート格納は6:4分割式を採用。室内高は他の2車には及ばないものの、広さは十分。開口部には傷防止のテクスチャーも採用している。

コンソール中央に縦型11.6インチモニターを配置。タブレット感覚のタッチ操作に対応するなど、視認性や操作性が大きく向上している。

e-BOXERのアシストは限定的なものだが、インプレッサ譲りの運転感覚は唯一無二。着座高のSUVには興味がないユーザーにとってベストな一台になりうるだろう。

これがベストグレード!

クロストレック ツーリング(4WD)

価格:288万2000円
最初に決めるべきは駆動方式。悪路走破性に高いこともクロストレックの魅力なので、4WDを積極的に選びたい。しかもクロストレックの4WDは他モデルに比べると価格が割安なことも魅力のひとつ。2WDよりも22万円高いが、その中にはヘッドランプウォッシャーやリヤフォグランプ、悪路走破力を高めるXモードの制御も加わるため、4WDの正味価格は約16万円に収まる。グレードは実用装備が充実するツーリングで十分だ。

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