この記事をまとめると
■東南アジアでもひときわ高い人気を誇るのがトヨタのアルファード&ヴェルファイアだ
マレーシアではクルマに「CKD」「CBU」の表記があるけどコレって何? 日本でも今後注目される可能性のある「クルマの作り方」
■すでにマレーシアでは「中国版アルヴェル」と呼べるようなモデルが販売されている
■アルヴェルの独走がこのまま続くのかそれとも「アルヴェルキラー」が登場するのかに注目
マレーシアでは高級車としてアルヴェルが大人気
筆者は海外に出かけたときには訪問都市の大通りなどで、そこをどんなクルマが走っているのかを定点観測することにしている。東南アジアではタイ、インドネシア、ベトナムなどを過去に訪れており、今回初めてマレーシアを訪れたのだが、そのような国々ではとにかくアルファード系(含むヴェルファイア)をよく見かける。先進国では正規輸入販売していないものの、筆者が見てきた限り、アルファード&ヴェルファイアはトヨタ車のなかでも筆頭といっていいほどの「世界戦略車」となっているように見える。
マレーシアではアルファードとヴェルファイアが正規輸入販売されている。価格はヴェルファイアが43万8000リンギット(約1752万円)からでアルファードが53万8000リンギット(約1892万円)からとなっている。首都クアラルンプール市中心部から少し離れた幹線道路沿いにある、新車ディーラーが集中出店している地域では中古車店も見かけるのだが、そこでも日本から並行輸入されたと思われる現行型アルファードやヴェルファイアが数多く店頭に並んでいる。
前述した価格を見てもわかるとおり、東南アジアにおけるアルファード&ヴェルファイアのユーザーはかなりの富裕層となる。その富裕ぶりは日本の富裕層の比ではない。そのため、正規輸入モデルでは満足せずに「いくらでも出すから日本で販売されている仕様に乗りたい」という人も多く、東南アジア各地では、香港経由ともいわれているが、日本から専門業者が介在して並行輸入した日本仕様のアルファードやヴェルファイアを街なかで多く見かけることができる。
このアルファード系の絶対的な人気の高さを黙って見ていないのが中国メーカー。本国中国でも、「なんちゃってアルファード」みたいなモデルを各中国メーカーの多くがラインアップしているが、その傾向は東南アジア、そしてマレーシアでも同様であった。
12月5日の「クアラルンプール国際モビリティショー」の開幕前日にメディア向けプレビューが行われ、その日の一部出展ブランドのプレスカンファレンスのトップを飾ったGWM(長城汽車)は、プレスカンファレンスの席上でPHEV(プラグインがハイブリッド車)となる、高級ミニバン「WEY80」をマレーシアにて発表した。
アルファードを超えるギラギラした顔つき、鮮やかなブラウン系の本革シートなど、まさになんちゃってアルファードといえるモデルであった(正式発売は後日なので価格発表はなし)。ただし、アルファードほど排気量は大きくなく、1.5リッターターボベースという小排気量ユニットというところがいかにも中国車らしかった。
アルヴェル人気にあやかろうとパクリ車両を多発する中国メーカー
また、広州汽車では「m8」という高級ミニバンをマレーシアデビューさせている。こちらは2リッターターボベースのプラグインハイブリッドユニットを搭載している。
このほか、マレーシア国内では今回のKLIMSではブースを構えていなかったものの、すでに吉利(ジーリー)汽車系のZEEKR(ジーカー)が009という高級ミニバンをマレーシアでラインアップさせている。こちらはBEV(バッテリー電気自動車)となり、価格は34万9800リンギット(約1183万円)からとなっている。
毛色は異なるものの韓国ヒョンデはマレーシアでも「スターリア」という、タイでは一時「アルファードキラー」ともいわれたミニバンをラインアップしており、こちらは18万2938リンギット(約621万円)で、価格的にはアルファード系の純粋なライバルとまではいえない。
ただし、いままでマレーシア以外の東南アジアの国でも見てきたことだが、アルファード系からレクサスLMへという流れはあるものの(とくにタイ)、アルファード系以外の「アルファード的ミニバン」へと流れるのはかなり限定的に見える。たとえていえば、メルセデス・ベンツユーザーがメルセデス・ベンツっぽい他メーカー車があるからそれに乗り換えるということはほぼ想像すらできないほど、東南アジアにおいてアルファード系はブランディングを確立しているといっていいだろう。
欧米メーカーでは理解の難しいカテゴリーであり(そもそもミニバンが馴染んでいない)、中国メーカー車ではアルファード系のような「ほどよいギラギラ感」を超えた「ドギツイキャラクター」からは、けっしてアルファード以上の高級感というものは感じない。
王者アルファード系の独走はこのまま続くのか、そして名実ともに「アルファードキラー」というものは出て来るのか、この辺りも筆者が東南アジアをめぐるときには注視している。
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中国人は金ぴかにしそうだもんね