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世界進出へのきっかけとなった名車とは!? アメリカで大ヒットした日本車5選

掲載 更新 10
世界進出へのきっかけとなった名車とは!? アメリカで大ヒットした日本車5選

■自動車大国アメリカで大ヒットした日本車を振り返る

 現在、日本車は世界中で販売されています。なかでも国内市場の登録車の多くは、グローバルモデルとして開発されました。

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 日本車の海外進出が本格的に始まったのは1960年代で、それ以前から海外に輸出していましたが、性能や耐久性などの問題から、なかなか受け入れられませんでした。

 その後、日本車は改良が進み、海外進出成功へのきっかけとなったのは自動車大国のアメリカで、いまも国産メーカーにとって重要なマーケットです。

 そこで、アメリカで大ヒットした日本車を5車種ピックアップして紹介します。

●日産「ブルーバード」

 1967年に発売された3代目のダットサン「ブルーバード」は、小型車の「サニー」に対して中型車と移行し、2代目からボディサイズが大きくなりました。

 デザインはエッジの効いた直線的なラインで構成されるシャープなイメージで、日産はブルーバードのフォルムを「スーパーソニックライン」と名付けます。

 シャシとともにエンジンも2代目から一新され、最新の1.3リッターと1.6リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載。後に1.4リッター、1.8リッターと排気量が拡大されました。

 3代目ブルーバードで特筆すべきは、スポーツグレード以外にもセミトレーリングアーム式リアサスペンションの4輪独立懸架を採用した点です。

 しなやかな乗り心地を実現しながら、優れた路面追従性を両立し、基本性能の高さからラリーなどのモータースポーツでも活躍します。

 そして、国内と同時期の1967年にアメリカでの販売が開始され、ダットサン「510」の車名で、2ドアセダン、4ドアセダン、5ドアステーションワゴンのバリエーションを展開。

 510は欧州車のようなスペックながら低価格の魅力的なクルマとして受け入れられ、北米市場で大ヒットを記録し、その評判から日産の世界的な販売拡大への道を築きました。

●日産「フェアレディZ」

 日産は510の成功に続くため、北米市場でのニーズに適合した新しいスポーツカーとして、1969年に初代「フェアレディZ」を発売しました。

 欧州の高級GTカーのようなスペックと、ロングノーズとファストバックの魅力あるスタイルで、国内ではまたたく間に人気となります。

 軽量なボディに高性能なストラット式4輪独立懸架、スムーズに吹け上がる直列6気筒エンジンは、多くの若者を魅了しました。

 そしてアメリカにはダットサン「240Z」として上陸を果たし、日本以上の人気を獲得。「Z Car」と呼ばれ、年間4万台以上をコンスタントに販売していたため、製造台数の多くはアメリカ向けに輸出されたといいます。

 また240Zがあまりにも売れていた影響で、軽量コンパクトなスポーツカーを主に販売していた英国メーカーが、アメリカから撤退することを余儀なくされました。

 1974年にはリアシートを備えた4シーターモデルが発売され、2.6リッターエンジンを搭載した「260Z」が登場。1975年には電子制御燃料噴射装置を搭載した2.8リッターの「280Z」が発売されるなど、よりアメリカのニーズにマッチした仕様へと変化します。

 1978年に2代目へバトンタッチされますが、初代Zの人気は別格で、アメリカではいまも数多くの愛好家が存在し、全米にオーナーズクラブがあるほどです。

●ホンダ「シビック」

 1972年にホンダは、新しい発想のコンパクトカー、初代「シビック」を発売しました。ボディの四隅にタイヤを配置し、FFとしたことで広い室内空間を実現し、前後を切り詰めたデザインはイギリスの「ミニ」にも通じるスタイリッシュな大衆車として大ヒットします。

 そして、排出ガス規制の強化が進むなか、1973年にホンダが開発したCVCCエンジンは、パスすることは不可能とまでいわれていた、アメリカの排出ガス規制、通称「マスキー法」の規制値を、世界で最初にクリアしました。

 CVCCエンジンは専用のバルブを持つ副燃焼室に、通常より濃い混合気を吸入させることで確実に点火させて、それを火ダネとして主燃焼室内の希薄混合気を燃焼させることで、排出ガスに含まれる有害物質を少なくすることに成功しています。

 当時は、排気ガスの浄化に複雑なシステムが必要といわれていましたが、排気ガス対策をエンジン本体の改良だけで実現したことは快挙でした。

 こうしてCVCCエンジンを搭載したシビックは、燃費がよくクリーンなクルマとしてアメリカでヒット。ホンダの本格的な北米進出の足がかりとなります。

■消えかけていたスポーツカーの火を再燃させたクルマとは!?

●マツダ(ユーノス)「ロードスター」

 1989年にマツダは、国内で途絶えていたオープン2シーターモデルのユーノス「ロードスター」を発売します。

 既存のエンジンを流用することで開発期間やコストを抑えつつ、マツダのエンジニアたちが目指した「人馬一体」を具現化したことで、2シーターという用途が限られたモデルながら異例のヒットを記録。

 そして、アメリカでもマツダ「MX-5ミアータ」として発売されると大ヒットし、運転を純粋に楽しむライトウェイトスポーツカー市場を活性化させることになります。

 搭載されたエンジンは1.6リッター直列4気筒で最高出力は120馬力とパワフルではありませんでしたが、4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用した、940kgの軽量ボディを気持ちよく走らせるには十分なパワーでした。

 初代MX-5ミアータはアメリカで走りを楽しむユーザーだけでなく、初めてクルマを買ってもらう高校生や大学生からも圧倒的な支持を得て、現在も幅広い年齢層から愛されています。

●トヨタ「プリウス」

 1997年に、世界初の量産ハイブリッド自動車として発売されたトヨタ初代「プリウス」は、エンジンと電気モーターのふたつの動力源を使い分ける「THS」(Toyota Hybrid System)により、当時としては驚異的な低燃費を実現しました。

 純粋にバッテリーのみを動力源とするEVとは違い、走行用バッテリーの充電はエンジンが担当するため外部からの充電は不要で、減速時のエネルギーを使ってバッテリーに充電する回生ブレーキも組み込まれていました。

 しかし、初代プリウスは同クラスのガソリン車と比べ高額だったことや、環境意識が高まっていなかったこと、バッテリー寿命に対する懸念などからヒットしませんでしたが、2003年に発売された2代目以降は大ヒットを記録します。

 アメリカでも初代は小さすぎたこともあり販売は低迷しましたが、2代目ではボディサイズを拡大したことと、市販ハイブリッドカーでは世界最高の燃費性能とトヨタの「HYBRID SYNERGY DRIVE」というブランド展開により、ヒット作となりました。

 また、ハリウッド俳優をはじめとした環境意識が高いセレブがプリウスを買ったことも、アメリカでのヒットにつながったといいます。

※ ※ ※

 冒頭の510とZの成功には、当時アメリカ日産社長だった片山 豊さんが深く関わっています。片山さんは北米市場でどんなクルマなら売れるか、確信をもって本社に働きかけ、510とZをアメリカで販売することに奔走。

 その結果、2台は大ヒットし、アメリカで日産車のみならず日本車が認められることにつながります。

 後に日産を退職された後も度々渡米し、Z Carファンと交流を深め、親しみを込めて「Mr. K」と呼ばれました。

 片山さんは2015年に105歳で亡くなられましたが、100歳を超えてもフェアレディZのイベントに参加されるなど、生粋の「カーガイ」としてファンの胸に刻まれています。

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みんなのコメント

10件
  • たらればの話になるが、日産がもし片山豊氏を経営の中枢に迎える度量があったなら、今のような体たらくにはなっていなかったような気がするのは私だけでしょうか?
  • 初代プリウスはセダンボディです。
    写真のプリウスは二代目ですよ。
    記者さんもっと勉強してください。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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