現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 幻の計画!? 「2ストエスティマ」があった!? ミニバン市場を開拓した30年

ここから本文です

幻の計画!? 「2ストエスティマ」があった!? ミニバン市場を開拓した30年

掲載 更新 13
幻の計画!? 「2ストエスティマ」があった!? ミニバン市場を開拓した30年

■「未来」を表してきたミニバンの先駆け

 トヨタ「エスティマ」は1990年から2019年まで、3世代にわたり約30年間販売されてきた日本を代表するミニバンのひとつです。2019年に惜しまれつつ、姿を消したエスティマですが、どのようなモデルだったのでしょうか。

シビック顔ミニバンに大変身! 全長5mのホンダ新型「オデッセイ」初公開!

 1990年に発売された初代エスティマは、2000年までの10年間販売。発売当初は、まだミニバンという概念自体が普及してなく、当時7人乗りや8人乗りのクルマは「バン」と呼ばれていたのです。

 初代エスティマのCMである、恐竜「トリケラトプス」の背中に7人の家族が乗って登場するというもので「新世代マルチサルーン」というコピーは、エスティマがそれまでの「バン」とは違うクルマであることを象徴する内容でした。

 未来的な外観と内装でしたが、1800mmという全幅は当時の国産車としては大柄であり、のちに1700mmに収めた「エスティマ エミーナ」「エスティマ ルシーダ」が別車種としてラインナップ。

 他社の同クラスモデルが排気量の大きいエンジンを搭載し、余裕のあるパワーを持っていたことに対抗して、エスティマも「アエラス」などの高級グレードにスーパーチャージャーを搭載していました。

 また、現在のミニバンは、エンジンをボディ前方に配置するFFやFFをベースにした4WDが一般的です。しかし、初代エスティマは、スポーツカーなどに採用されるMRという、エンジンを車体の中心にレイアウトするモデルでした。

 さらに、初代エスティマは、当初2ストロークエンジンを搭載する予定でしたが、排出ガス規制に適合しなかったことなどにより、実際には一般的な4ストロークの2.4リッター直列4気筒エンジンが採用されるなど、現在のミニバンとは違う仕様で企画されていたことがわかります。

 結果として、初代エスティマはガソリンエンジンを搭載して登場しましたが、当時としては近未来的なフォルムや、現代の高級ミニバンのルーツともいえる「新型高級サルーン」というコンセプトのとおり、ミニバンという新しいジャンルの草分け的クルマとしてユーザーに受け入れられたのです。

 当時、初代エスティマを所有していたオーナーは以下のように話しています。

「当時のエスティマは、まだボックス形状のバンが多いなか、丸みを帯びたフォルムが人気のようでした。仲間内でも、新しい物好きな人達は興味深々で、何人かはエスティマを買ってました。 実際にほかのバンと比べて高速道路での乗り心地は良かったと思います」

※ ※ ※

 初代エスティマが登場した1990年頃には、専用ボディを持つ多人数乗車が可能な乗用車が少なかったことも、エスティマが愛された理由のひとつなのかもしれません。

■惜しまれつつ姿を消したエスティマ…

 2代目エスティマは、2000年から2006年までの6年間販売されていました。

 初代エスティマは、「エミーナ」「ルシーダ」など名前の異なる車種が存在しましたが、2代目では基本的に「エスティマ」へと一本化されています。

 初代との大きな違いはエンジンレイアウトで、MRをやめてFFに変更。これによって室内はより広く快適になり、初代では歩道側である左側にしかなかったドアも、両側スライドドアとなりました。

 また、2代目エスティマで追加された「エスティマ ハイブリッド」は、「世界初のミニバンハイブリッドカー」という象徴的なモデルでもあります。

 当時の10・15モード燃費では、ガソリン車が8.6km/Lから11km/Lであるのに対して、ハイブリッド車では18km/Lから18.6km/Lを記録。「ミニバンは燃費が悪い」というイメージを覆したクルマです。

 3代目エスティマは、2006年から2019年までの13年間販売。エスティマの最終モデルであると同時に、歴代でもっとも長寿命を誇るモデルでした。

 クルマのピラー部分が黒く塗装された「フローティングルーフ」が採用され、ルーフが浮いているような特徴的な外観を備えています。

 販売期間中の2011年3月11日には東日本大震災が発生しましたが、その際にはエスティマハイブリッドの標準装備であった「AC100Vアクセサリーコンセント」が緊急電源として活用され、クルマが単なる移動手段ではなく、災害時の貴重な電源になることを証明しました。

 また、3代目エスティマは長いモデルライフのなかで3度のマイナーチェンジが実施され、おもにフロントマスクに大きな変化が見られます。

 とくに3度目のマイナーチェンジでは、フロントバンパーに縦型のLEDライトが配置されるなど、非常にスポーティーな外観へと変身を遂げています。また、安全装備でも進化しており、「トヨタセーフティセンスC」が全グレードに標準装備となりました。

 しかし、近年は販売台数が低迷しており、2019年上半期(1月から6月)の販売台数は4747台で、同年上半期にもっとも売れたトヨタ「プリウス」の7万277台と比べて約6%、同年4位の日産「セレナ」の5万3662台と比べても約8%に留まっています。

 実際、トヨタにはコンパクトミニバンのシエンタ、ミドルサイズの「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、高級ミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」といったモデルが販売台数を伸ばしており、エスティマ自体の陰が薄れていたことは事実でした。

 その結果、エスティマは約30年という歴史に幕を下ろすことになったのです。

こんな記事も読まれています

軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
AUTOSPORT web
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
AUTOSPORT web
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
ベストカーWeb
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
AUTOSPORT web
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
AUTOSPORT web
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

13件
  • 初代はトヨタの天才卵ってCMで言ってたな
  • 当時、子供ながらにカッコいいファミリーカーが出てきたなぁと思ったものです。

    特にスライドドアレールをウインドーラインに合わせる事で、まるでレールが無いかのようなデザインにセンスがあるなぁと感心したのを覚えています。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

327.1391.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

15.8337.0万円

中古車を検索
エスティマの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

327.1391.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

15.8337.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村