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日本の社会を支えた功労車! ハイゼット&アトレー60年10世代 その歴史を振り返る

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日本の社会を支えた功労車! ハイゼット&アトレー60年10世代 その歴史を振り返る

 2022年の東京オートサロンに60周年を迎えたハイゼット&アトレーが初代から10代目までが、ブース最奥にズラリと並んだ(すべてダイハツが手入れをした完動車!)。フルモデルチェンジした11代目もその脇に展示され、全世代がそろい踏みした。

 それを見ながらさまざまな思い出を語らう多くの来場者の姿があり、60年という歳月を歩いてきた名車の存在感を感じさせた。

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 そんな日本の社会を支える働くクルマとして活躍するなど、多くの人に愛されるハイゼット&アトレーについて、今回はその歴史を振り返っていきたい。

文/片岡英明
写真/ダイハツ、ベストカーWeb編集部

■国内で軽四輪商用車の先駆けとなった「ハイゼット」

トヨタや日産より長い歴史を誇るダイハツが1960年に送り出した初代ハイゼット

 1960年代後半まで、日本車の主役は働くクルマだ。日本独自のカテゴリーである軽自動車も、最初の主役は小口配送に便利で、維持費も安く済む軽商用車だった。

 このマーケットを長年に渡って牽引してきたのが、トヨタや日産より長い歴史を誇るダイハツである。軽オート三輪のミゼットを大ヒットに導き、空前のブームを巻き起こした。そして1960年(昭和35年)11月、ライバルに一歩先んじて軽四輪商用車の「ハイゼット」を送り出す。

 初代ハイゼットは、ボンネットの中に空冷の2サイクル直列2気筒356ccエンジンを収めた軽四輪トラックだった。ミゼットより荷室が広く、走りの実力も軽乗用車に肉薄する。

 そして翌1961年5月、快適性と利便性を高めたライトバンを設定した。1962年には時代に先駆けて分離給油式のオイルマチックを採用し、面倒な混合油の管理を不要にしている。

 ハイゼットは商店主や運送業などの小口配送に活躍する軽商用車として開発されたが、すごいと思うのは乗用車よりも先端のメカニズムを意欲的に採用していたことだ。だから高性能だったし、高い機動性を見せつけた。

 当時の軽自動車は自動車税が安いことに加え、車庫証明はいらないし、車検もないなど、多くの面で優遇されている。ハイゼットは維持費が安かっただけでなく、デザインがよく、運転もしやすいなど、商品としての魅力も大きかったから人気モデルになった。

■ダイハツの先見性が光る! 世代ごとに確実に進化したハイゼット

キャブオーバータイプへと進化した2代目では車名も「ハイゼットキャブ」となった

 最初のモデルチェンジは1964年3月だ。第2世代は「ハイゼットキャブ」を名乗っている。車名からわかるように、キャブオーバータイプの軽商用トラックへと進化した。

 全長が3mに制限されている軽自動車は、ボンネットがないほうが荷室を広げやすい。そこでシートを前に出し、その下にエンジンを収めたのである。

 現在の主流となっているキャブオーバータイプのパッケージを、今から半世紀以上も前に採用したのだ。軽自動車づくりに長けたダイハツの先見性の高さが光っている。

 シート下にエンジンを搭載したため荷台は長く、畳一畳が荷台に載せられる、と豪語している。また、ドアは前開きだったから乗り降りもしやすい。3段リクライニングシートの採用も画期的だ。発売から1年半後にはワンボックスタイプの「キャブバン」を追加し、ファン層を広げた。

 ちなみに後席用のドアはヒンジ式だ。途中で安定した性能を発揮し、静粛性も高い水冷式の2気筒エンジンを搭載。待望の4速MTも加えられている。

 1968年春、トラックとワンボックスのバンが同時にモデルチェンジし、3代目となった。注目を集めたのは、商用車としては珍しい角形ヘッドライトの採用だ。バンの後ろドアはヒンジ式を受け継いでいるが、乗用車感覚で使うユーザーが増えてきている。

 そこで後席の乗り心地をよくするためにリーフスプリングだったリアサスペンションをセミトレーリングアームの独立懸架とした。商用車とは思えない贅沢な設計だ。

 1971年秋にベールを脱いだ4代目ハイゼットは時代の波に翻弄されたが、新しい試みを積極的に行った。三角窓を取り去ったクリーンなデザインを採用し、トラックはパッケージングを工夫して荷台長を大きく延ばした。

 半年遅れで加わったバンは、後席スライドドアを時代に先んじて採用し、利便性を大きく向上させている。

 1976年春には軽自動車が新規格になったのを受け、バンパーを大型化するとともに547ccのクリーンかつ燃費もいい4サイクル2気筒SOHCエンジンの「ハイゼット550」を仲間に加えた。

 真のフルモデルチェンジは1977年だ。5代目は550cc時代を見据えて開発され、ホイールベースと全幅を100mm延ばすとともに荷台長や荷室高も拡大している。

 トラックは「ピック」、バンは「スライドバン」を名乗り、通称「ハイゼット55ワイド」と呼ばれた。インテリアも商用車とは思えないデザインだ。安全対策も大幅に強化し、前席には3点式シートベルトが標準装備された。

1981年登場の6代目ハイゼットではハイルーフや「ハイゼット・アトレー」も加わった

 これに続く6代目は1981年春にベールを脱いだ。フロントサスペンションは新設計のストラットになり、走り味も変えている。

 バリエーションを拡大し、スライドバンにはフラットフロアとローフロアを設定し、余裕ある室内高のハイルーフも加わった。また、ワゴン的な性格の「ハイゼット・アトレー」を送り出している。

 ワゴン的に使うユーザーが増えてきたことに対応したもので、サンルーフも用意された。アトレーとして独立した後期モデルでは後席にヘッドレストやアームレストが加わったから、4人が乗っても快適だ。

 それだけではない。1982年のマイナーチェンジではハイ/ローを備えたパートタイム4WDを投入し、新設定の「クライマー」はノンスリップデフ装備だから非凡な走破性能を見せつけた。キャビンを広げ、快適性を高めたピックの「ジャンボ」も話題をまいている。

 1986年に登場した第7世代はメカニズムの進化が著しい。ミラと同じように547ccの直列3気筒SOHCエンジンを搭載した。

1986年登場の7代目は直列3気筒SOHCエンジンを搭載

 最も進化が大きかったのはアトレーだろう。軽自動車初の大胆なコスミックルーフや回転対座シートを用意し、インタークーラー付きターボもラインアップする。また、待望の3速ATと5速MTも加えられた。

 そして登場から4年になる1990年3月、軽自動車の規格改正に対応させ、全長を100mm延ばすとともにエンジンをボアアップして659ccとしている。

 軽商用車初のメカニズムを積極的に採用した7代目は好評を博し、8年も第一線で活躍をつつけた。8代目にバトンを託すのは1994年だ。開発の初期から軽自動車の新規格に合わせて設計され、合理的なパッケージングをまとって登場する。

 3気筒エンジンは4バルブ化され、電子制御燃料噴射装置も用意された。アトレーはリアサスペンションを3リンク式コイルスプリングとし、スライドドアを助手側だけと割り切り、後席に初めて左右独立式シートを採用した「リバーノ」を設定。

 1997年にはレトロ調のメッキグリルを採用したアトレー・クラシックも投入する。

1999年1月登場の9代目ハイゼット

 1998年10月、安全性向上のために再び軽自動車の規格が改正された。

 全長は3400mmまで延び、全幅も1480mmまで広がっている。そこで1999年1月に9代目を送り出した。ワンボックス系のカーゴと乗用車に発展させたアトレーは、短い鼻を持つセミキャブスタイルだ。アトレーには顔を変えた「カスタム」もある。

 ライバルを驚かせたのは、ハイゼットのトラック(ピック)だ。荷台を広く取れるキャブオーバースタイルのまま、厳しくなった前面衝突安全性能を余裕でクリアした。これは専用のプラットフォームを開発したからで、軽自動車に関して長い経験と高い技術力を持つダイハツだから実現できた快挙である。

 10代目は、ハイゼットカーゴが2004年12月にモデルチェンジし、ワゴンのアトレーは半年遅れて新型に切り替わった。この年にはカーゴに軽商用車初のハイブリッド車を設定している。

 もう一方の主役、トラックはマイナーチェンジを繰り返しながら販売を続け、10代目が登場するのは15年を経た2014年秋だ。

 2018年5月には軽トラック初の衝突被害軽減ブレーキの「スマートアシストIII t」を搭載し、2019年の東京モーターショーにはドローンの発着基地を積んだ軽トラックのEVを参考出品している。

 ユーザーの厳しい意見に真摯に耳を傾け、時代に合わせて進化するとともに成長してきたのがハイゼットだ。だから時代が変わっても軽トラックのベストセラーの座は揺るがない。また、アトレーも独自の境地を切り開いている。

 2021年12月にベールを脱いだ11代目ハイゼットは、早くも高い評価を獲得し、販売は好調だ。次の一手が楽しみになってきた。

2021年12月登場の11代目ハイゼット

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みんなのコメント

3件
  • アトレーRTターボとエブリイジョイポップターボを迷って、アトレーのPTO発電機には惹かれたけど、アフターパーツが多かったエブリイにしたなぁ。
  • 今頃エブリイがどうこうバカじゃねぇ
    所詮リコールのズルキやん
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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