クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。これまでいくつものエンジン搭載モデルを長期にわたってレポートしてきたが、今回連載している長期レポートのクルマは電気自動車(BEV)である「DS3クロスバック Eテンス(DS3 CROSSBACK E-TENSE)」だ。(第10回、最終回/Motor Magazine 2023年1月号より)
慣れが必要。でも慣れればなんてことないBEV生活
日々の移動をはじめ、取材の機材車両として、イベント展示車両として、はたまた保育園への登園カーとして、さまざまなシーンで1年間を活躍。およそ2万kmを走行するというシビアコンディションを無事にこなしてくれたが、今レポートで最終回となる。ひとつ心残りがあるとすれば、積雪路をスタッドレスタイヤ履いて走ってみたかった、ということかな。
【BEV長期レポート】DS3 Eテンスで肝を冷やした充電残量1%の危機。メーター上の走行可能距離は「--- km」になった話【第8回】
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BEVをはじめとする電動車を展示&試乗できるイベント「EV&SDGsフェア」を、2022年5月にJR大阪駅前での開催時、我らがDS3 Eテンスは展示車両として往復1000kmの旅に出たが、2022年11月に千葉・幕張で開催した同イベントにおいては資材搬入車両として活躍した。
しかも、会場のイオンモール幕張新都心は自宅の横浜市から往復で約140kmと、実際の航続可能距離約270kmのDS3 Eテンスにとって充電なしで行き来できるちょうどいい距離感である。写真のとおり資材を満載、さらにふたりの同乗者を乗せて出発。東京湾を横目に見ながら駆動用バッテリーの約25%、12.5kWhを消費して無事に到着した。
「ちょうどいい距離」とはいえ、復路や翌日の移動も考えて充電しておきたいBEVユーザーにとって嬉しい設備があった。ショッピングセンターを全国に展開しているイオンモールは充電施設の拡充に積極的で、その旗艦店でもあるイオンモール幕張新都心には10基以上の200V普通充電と3基の急速充電器が現在稼働中だ。
もちろん千葉だけでなく全国的に設置が進められていて、買い物している時間を充電に当てることができるのだ。ほかにも西武やイトーヨーカドーなどのショッピングセンターに設置されていることもあるので、近所の店舗で探してみてはどうだろうか。
フランス本国ではビッグマイナーチェンジを発表されているDS3
そうそう、本ページに掲載した写真は同イベントの試乗車として用意されたモデルのうちの2台、レクサス RZ(プロトタイプ)とスバル ソルテラと一緒に撮影したもの。最新BEVのスリーショットだ。
「最新」といえば、ひとつ気になるニュースも入ってきている。フランス本国でDS3クロスバックのビッグマイナーチェンジが発表され、名称も「DS3」に改められて登場したというものだ。
日本市場においてはまだ詳細は公開されていないものの、BEVの新型DS3 Eテンスはバッテリー容量をそのままに効率化を図ることで航続可能距離をWLTPモードで402km(欧州仕様/従来の日本仕様はJC08モードで398km)に伸ばしているという。
また、フロントマスクは兄貴分のDS4やフラッグシップセダンのDS9などと同様に、フロントグリルやデイタイムランニングライトを直線的なデザインとしてシャープさを強めている。こうした新デザインの中でもとくに気になっているのが、グリルの中に散りばめられたクル・ド・パリ文様、ひし形のドットパターンだ。写真では判別しにくいが、デザインの洗練さをさらに高めるポイントであることは間違いなさそうだ。
「BEVは大きく、重くてめんどくさい・・・」そんな先入観を壊してくれたクルマ
さてレポートを開始して1年近く経過して「BEVユーザーが板についただろうか」なんて思っていたが、オドメーター2万kmを目前にしてこの号で最終回を迎えることになった。
そこで、これまでの記録を簡単にまとめてみようと思う。
まずは電費。トータルで5.52km/kWhとなるが、季節で比較すると、冬季(4.79km/kWh)よりも夏季(5.47km/kWh)の方が好電費だと判明した。
BEVに限らずスマートフォンやノートパソコンに搭載されているリチウムイオンバッテリーは、低温化で容量が低下すると言われており、この影響は当然考えられる。これに加え、家庭用も含めたエアコンは暖房の方が電気を消費することからも、BEVにとって冬季は厳しい環境なのだろう。
ちなみに、これまで充電した電気の量は約3600kWh。電気料金の算出は家庭によって異なり複雑であるが、ひとつの例として計算、すべて普通充電器から供給したとすると電気料金は約9万5000円となる。このほかにも急速充電に必要な充電カードの月額料金(編集部は5500円の契約)や急速充電器利用料などを足し、走行にかかったコストを算出すると、燃費20km/Lのレギュラーガソリン車と同程度となる。
もちろんランニングコストはこのほかにもあるが、電気自動車には重量税や自動車税などの優遇もあるので上記レギュラーガソリン仕様車よりもコストパフォーマンスの面で優位になりそうだ。
高性能車モデルではないのに軽さを活かしたDS3 Eテンスの身のこなし、またICE搭載車とは違う加速感や静粛性は、体験すれば驚くはず。一度試乗してみてはいかがだろうか。
では、進化した姿に会えると信じて「ア ビアント! DS3」。
第10回/2022年10月20日~11月14日(12カ月目)のデータ
・オドメーター:1万9759km
・当月の走行距離:2241km
・充電量:約404.5kWh(充電メーター換算値)
・電費:約5.54km/kWh
・充電回数:19回(内、200V普通充電を13回/急速充電を6回)
DS3 クロスバック Eテンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1580kg
●モーター:交流同期電動機 ZK01型
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:260Nm/300-3674rpm
●バッテリー総電力量:50kWh
●JC08モード航続距離:398km
●0→100km/h加速:8.7秒
●最高速度:150km/h
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格:559万3000円(2023年5月現在)
[ アルバム : 長期レポートDS3 Eテンス-10回目 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
スゥ~…
プリウスの方が良くない?
とのことだけど、ガソリンは揮発油税が約¥49/L含まれてるから、それを差し引いた値で比較しないとだめでしょ。
電気代には揮発油税は含まれてないんだから。
そう考えるとEVって然程経済的ではないかもね。