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英米オフローダー比較 フォード・ブロンコ x ランドローバー・ディフェンダー 尊重したい独自性 後編

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英米オフローダー比較 フォード・ブロンコ x ランドローバー・ディフェンダー 尊重したい独自性 後編

インテリアの質感ではディフェンダーが上

北米のオフローダー、新型フォード・ブロンコと、英国のオフローダー、新型ランドローバー・ディフェンダー。悪路の走破性を考えてみる。

【画像】米英の本格オフローダー 新型ブロンコとディフェンダー ジープ・ラングラーも 全98枚

ディフェンダーのリア・サスペンションは独立懸架式なため、トレッド間に大きなディファレンシャル・ギアがぶら下がっていない。ぬかるんだ路面など、高いわだちで駆動系を擦る可能性は低い。

一方、ブロンコはリジットアクスルだが、トレッドが狭く車重は300kg近く軽いため、同じく駆動系は擦りにくい。泥炭地では、ディフェンダーより沈み込む量も小さいはず。

同様に、クリアできる地形や速さは異なる。一方は得意でも、他方は不得意、あるいはその逆、ということもありえる。悪路走行が許されなかった今回は、比較することが難しい。

インテリアの雰囲気は、ディフェンダーの方が明らかに上。高級モデルとして、不満のない車内空間に仕立てられている。シートに座っている限り、能力に長けたオフローダーだとは感じさせない。

スイッチ類の形状は大きく、毛糸の手袋をしたままでの操作性が担保されている。ドアの内張りやセンターコンソールには、あえて見えるようにボルトが打たれている。それでいて、内装素材は高級だ。

フォード・ブロンコのインテリアは、本来の手頃な北米価格に準じている。人間工学的に、ドライビングポジションは良好で車載機能も操作しやすいが、素材の質は高くない。硬質なプラスティック製部品も多い。

印象的なエンジンの静寂性や乗り心地

試乗車がソフトトップだったということもあり、ブロンコは外界との隔離感も低調ではある。とはいえ、カリフォルニア西部の砂漠地帯を走るなら、ルーフを開いてドアも取っ払うのが良い。風切り音も、気にしなくなるだろう。

ソフトトップなら、ハードトップしか選べないディフェンダーとは違う気軽さで、大自然との距離を縮められる。ただし、英国の寒い冬の道を走るなら、ディフェンダーの快適さを選びたくなってしまう。

舗装路での違いもわかりやすい。エンジンの静寂性は、ガソリンターボのブロンコに対し、ディーゼルターボのディフェンダーが肉薄している。3.0L直列6気筒は、1250rpmから57.9kg-mの最大トルクを発揮するから、むやみに回転数を高める必要もない。

ディフェンダー 90の車重は2303kgもあるが、ノイズは遠くから聞こえ、エンジンの存在感は小さい。普通に運転している限り、至って静かだ。

さらに感心させられるのが、ゆったりとした乗り心地。路面の殆どの凹凸を、見事なまでに滑らかに均してくれる。この快適性だけでも、大きなSUVを購入したいと思わせるのに充分かもしれない。

オフロード能力は間違いない。同時に、モノコック構造を得たディフェンダーは、高速道路での長距離移動も素晴らしい。

周囲の環境との近さを感じるブロンコ

一方のブロンコは、残念ながらそこまで印象は良くない。2.3L直列4気筒のエコブースト・エンジンは、42.6kg-mの最大トルクを得るのに3500rpmまで回す必要がある。加速中は、
10速ATが変速を繰り返していることが、エンジン音で伝わってくる。

セパレートシャシー構造と乗り心地の洗練性も、今ひとつ。路面に浮き出た大きめの隆起部分を通過すると、ステアリングホイールを通じて振動が伝わってくる。シャシーの振動が、バックミラーへ伝わる場面もあった。

それでもブロンコ単体で見れば、ドライブフィールは妥当な水準にある。周囲の環境と、より近さを感じるという点も悪くはない。同時に、ディフェンダーとの差異も小さくはない。

かつてのランドローバー・ディフェンダーとフォード・ブロンコは、より近い存在だった。しかし、最新型ではそれぞれ独自の方向性が与えられている。お互いの仕上がりを、筆者は尊重したいと思う。

ブロンコは、ジープ・ラングラーに対抗できる本格的で飾らない、真のオフローダーだ。他方のディフェンダーは、唸らされるほどの質感を備えた、世界で最も有能なオフローダーといえる。

ディフェンダーが、1つ上のクラスに属することは間違いない。だとしても、新しいブロンコには選びたいと思わせる魅力がある。オーナーによっては、感じ方も異なることだろう。機会があれば一度、フォード・ブロンコに触れてみて欲しい。

フォード・ブロンコの歴史 5年のブランク

1966年から1996年の30年間に、5世代という進化を重ねて販売が続けられた、フォード・ブロンコ。セパレートシャシー構造に2ドアボディのオフローダーというパッケージが、変わることはなかった。

ゆとりのある2列目シートと大きな荷室を備え、ピックアップトラックのようにアメリカの実用車として長く愛されてきた。脱着可能なハードトップも特徴といえる。

フォード・ブロンコと同様に、シボレー・ブレイザーやインターナショナル・ハーベスター・スカウトも、CJ-5型のジープを意識するように似た構造が与えられていた。

市場変化に合わせて、ブロンコには派生モデルも誕生。ブロンコIIは、オリジナルのブロンコとは基本的には異なるコンパクトSUVだった。新しいブロンコにも、ブロンコ・スポーツがラインナップしている。これも、車両構造はまったく異なる。

ジープがラングラーへ進化し、実用性を高めていく中で、5代目までのブロンコは変わろうとしなかった。4ドアボディも用意されることはなかった。

1994年、OJ.シンプソン氏がブロンコに乗り警察とカーチェイスをした様子が、人気に悪影響を与えたという側面もある。しかし北米のユーザーは、より広い車内と、より多いドアを以前から望んでいた。販売は伸び悩み、ブロンコは一度姿を消してしまった。

2021年に一新されたブロンコの車内は広く、4ドアボディが設定されている。今回は、市場のSUV人気を上手に掴むことができるだろう。

ブロンコとディフェンダー 2台のスペック

フォード・ブロンコ 2.3エコブースト・アウターバンクス(英国仕様)のスペック

英国価格:7万5000ポンド(約1200万円)
全長:4810mm
全幅:1928mm
全高:1854mm
最高速度:193km/h(予想)
0-100km/h加速:8.0秒(予想)
燃費:9.9km/L(予想)
CO2排出量:−
車両重量:2045kg
パワートレイン:直列4気筒2261ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:274ps/5500rpm
最大トルク:42.6kg-m/3500rpm
ギアボックス:10速オートマティック

ランドローバー・ディフェンダー 90 D250(英国仕様)のスペック

英国価格:5万9130ポンド(約946万円)
全長:4323mm
全幅:1996mm
全高:1974mm
最高速度:188km/h
0-100km/h加速:8.0秒
燃費:10.8-11.6km/L
CO2排出量:238g/km
車両重量:2303kg
パワートレイン:直列6気筒2997ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:248ps/4000rpm
最大トルク:57.9kg-m/1250-2500rpm
ギアボックス:8速オートマチック

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みんなのコメント

3件
  • フォードブロンコいいね。
    早速、ディラーさんに発注しよう。
  • ディフェンダーは世界のワークホースから単なるSUVに成り下がった
    スバルフォレスター辺りがライバルでしょう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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