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刺激的なスーパーSUV、共通点が多すぎる主要諸元の謎。RS Q8/GLE 63 S/X6 M/カイエン ターボS【前編】

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刺激的なスーパーSUV、共通点が多すぎる主要諸元の謎。RS Q8/GLE 63 S/X6 M/カイエン ターボS【前編】

SUV人気はますます高まる一方で、さまざまなタイプのモデルが登場している。そうした中、なんと600psを超える「スーパーSUV」が続々と発売され、世間を賑わせている。今回はドイツプレミアム4社が放つスーパーカー顔負けの驚速のSUVの個性の違いを検証してみた。まずは4車それぞれがどんな特徴を持っているかを解説。意外な共通点やコンセプトの違いなどをここで浮き彫りにしていこう。登場車種はアウディRS Q8/メルセデスAMG GLE 63 S 4MATIC+/BMW X6 Mコンペティション/ポルシェ カイエンターボS Eハイブリッド。

パワーやサイズなど、スペックが4モデルでほぼ共通
4台の最高出力を合計すると、なんと2362ps! 1台あたり600psオーバーのパワーを生み出す「スーパーSUV」がこんなにもたくさんある驚きの事情について、ちょっと考えてみた。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

SUVが全世界的に人気であることはご存じのとおり。そのオーナーは、たとえばオフロード性能だったり背の高さだったりが必要でSUVを購入しているケースももちろんあるだろうが、「セダンやワゴンじゃない、もうちょっと新しいクルマ」が欲しくてSUVを買う向きも少なからず含まれているように思う。

そういった人々は、今までにないデザイン、今までにない装備、今までにないスペックを持つSUVが出ると、あたかも鉄が磁石に吸い寄せられるようにして買い求める傾向があるようだ。そして自動車メーカーもそのことをよく承知しているから、まるでスーパースポーツカーのような性能を持つスーパーSUVを続々とリリースしているのだろう。

今回紹介するスーパーSUVは、いずれもそういったニーズから生まれたモデルと考えられるが、それ以外にも多くの共通点がある。

たとえば、搭載されるエンジンがどれも排気量4.4LのV8ツインターボである点は、その最たるもの。多少のバラツキはあるものの、全長約5m、全幅約2m、全高約1.7mm、ホイールベース約2.9m、車重約2.4トンといった諸元も4台に共通している。もちろん4台ともフルタイムイム4WD。興味深いのは、本国発表の0→100km/h加速タイムが3.8秒でぴったり揃っている点で、もしかしたら業界の談合でもあるんじゃないかと勘ぐりたくなるくらいだ(もちろん、そんなものは絶対にないはずだが・・・。)

ちなみに4台のグローバルな発表は2019年8月から12月で横並び。国内リリースはカイエンのみグローバルと同じタイミングで、それ以外は2020年に集中しているものの、カイエンは2020年10月にPHEV用バッテリーの容量拡大を発表しているので、実質的には4台とも「ここ1年間で発売されたイキのいいモデル」と思っていただいて間違いない。

反対に明確に異なっているのはカイエンのみPHEVとされている点。このため車両価格は他の3台より400万円近く高い2400万円台となっている。なお、GLE 63 SとRS Q8はマイルドハイブリッドを装備しているが、X6 Mはそれさえ持たない。

エアサスペンションが標準となるこのクラスで、X6 Mのみメカニカルなサスペンション、スプリングを装備しているのも興味深いところ。ちなみに4WSはRS Q8のみ標準装備でカイエンはオプション(試乗車は装備済み)、ほかの2台はオプションでも4WSは選択できない。

4台揃ってフルタイム4WDであることは前述したが、トルク配分は電子制御油圧多板クラッチ式が一般的となっている中、フルタイム4WDで長い歴史を誇るアウディのみトルセンタイプCにこだわっているのも面白いところだ。

▶︎▶︎▶︎次ページ:GLEとX6 Mのキャラクターは対照的

GLEとX6 Mのキャラクターは対照的
ここからは1台1台の特徴と私のショートインプレッションを順に紹介することにしよう。

4台の中で、一番の新着モデルはメルセデスAMG GLE 63 S 4MATIC+(以下、GLE63)だろう。GLEはAMGのシリーズとして初めてISGを搭載したモデル。モーター出力は22ps、トルクは250Nmだが、それを除くエンジン単体で生み出す612psと850Nmのパフォーマンスは、いずれも4台中トップに位置する。

もっとも、だからといってGLE 63が段違いに速いとは感じない。その理由はAMG製V8ユニットが例によってフラットトルク型で、そのリニアリティの高い出力特性ゆえに扱いやすい点にある。一方でエンジン音は往年のアメリカンV8を髣髴とさせるもので、音量的には4台中、もっとも大きいように感じた。

足まわりは、低速域の小入力に対しては極めてソフトだが、大入力や大ストロークに対してはかなり硬い手応えを感じさせるタイプ。このため細かいコーナーが連続するセクションではピッチング方向の動きが定まらず、クルマの姿勢を見極めてからコントロールする必要があるものの、たとえば高いGが長く続く高速コーナーは得意そう。その意味ではいかにもドイツ的といえるかもしれない。

内外装のデザインはメルセデスそのもの。例によってMBUXの操作性、そして運転支援システムの完成度は極めて高い。ちなみに、試乗車のSUVボディ以外にクーペボディも用意されている。

このGLE 63と対極のキャラクターといえるのがBMW X6 Mコンペティション(以下、X6 M)。4台中、唯一エアサスペンションを装備していないこともあって、硬めのサスペンションは市街地でもゴツゴツとした感触を明確に伝える。ただし、この逞しい足まわりがワインディングロードでは強力な武器となる。

GLE 63と違って荷重移動が素早くピタリと決まるので、日本の狭いワインディングロードでも俊敏にノーズの向きを変えられるうえ、少し大げさにいえば走行ラインをミリ単位でコントロールできる。しかもスタビリティが高く、4台の中では後述するカイエンと並んでもっとも安心してコーナーを攻められる。ちなみに前後重量配分はBMWらしく51:49。これに加えてボディが極めて強固なことも、X6 Mのスポーティなハンドリングに貢献しているはずだ。

ただし、X6 Mはクーペボディのため、後席ヘッドルームが限定的。したがって室内空間を重視する向きは、SUVボディで基本的なスペックが共通なX5 Mを選ぶといいだろう。一方、ダッシュボードまわりのデザインは保守的で、Mモデル特有のシフトパターンやプリセット式モード切り替えは慣れないとちょっと扱いづらいかもしれない。ただし、3眼式カメラを用いた運転支援システムは作動が滑らかで安心感が高かった。

ちなみにX6 MはSUVの最大市場でもあるアメリカのスパルタンバーグ工場製。ただし、エンジンはドイツのミュンヘンから運ばれ、そこで1台のクルマとして仕上げられる。これはGLE 63の「エンジンはAMGの本拠地があるアファルターバッハ製でアセンブリーはアメリカのタスカルーサ工場」という成り立ちと奇しくもそっくりである。

680psのカイエンは圧倒的な加速力を披露
唯一のPHEVであるポルシェ カイエン ターボS E ハイブリッドは、シリーズ中、もっともハイパフォーマンスなモデル。エンジン単体の最高出力は550psで、意外にも4台中最下位だが、136psのモーターと組み合わせたシステム出力は680ps、システムトルクは900Nmに達し、4台の中でトップに躍り出る。

そのパワーは圧巻。中低速域でもほかの3台に劣らない加速感を生み出す一方で、そのままスロットルペダルを踏み続ければ、まるでロケットブースターが点火したかのような猛烈なダッシュ力を披露。窓の外の景色が突然、速く流れ出すその加速感は圧倒的だ。

ただし、この点を除けば全般的に極めて洗練されている。ハンドリングの正確さ、俊敏さはX6 Mとまったく互角。これを生み出すサスペンションの設定はかなり硬めで、乗り心地はSUVというよりもスポーツカーそのものだが、それでも巧みなチューニングが施されたエアサスペンションのおかげで、X6 Mとは別次元の快適性が得られる。ブレーキが強力で、内外装が上質な点も、いかにもポルシェらしいといえるだろう。

RS Q8が4車の中でもっとも乗り心地がいい
残るRS Q8は、他の3台とはまったく別の価値観で作られているような気がする。

まず、エアサスペンションの、「手触り」が極めてソフトで、市街地ではスーパーSUVとは思えない恐ろしく快適な乗り心地を味わえる。これほど乗り心地のいいSUVは滅多にないと断言できる。

このしなやかな足まわりが、荒れた路面でも安定したロードホールディングを生み出してくれるため、どのようなコーナーが現れても不安を覚えない。しかも、あれほどソフトに感じたサスペンションが、ハードコーナリング時にはボディの動きをしっかりと抑え込んでくれるので、素早い切り返しも難なくこなす。その、フラットな姿勢を保ったまま次々とコーナーをクリアしていく様子は、まるで魔法のじゅうたんのようだ。

また、メカニカルな4WDシステムを持つことで心配されるコーナー進入時のアンダーステアも実際には感じない。この辺は、アウディクワトロの40年を越すノウハウが生かされているのだろう。

48Vのマイルドハイブリッドを備えたエンジンはパワフルでレスポンスも良好。しかもエンジン音だけなくロードノイズや風切り音を含め、全般的な静粛性が優れているのもRS Q8の特徴だ。

というわけで個人的にはRS Q8がもっとも気に入ったが、4台のキャラクターは明確に異なる。是非、気になったモデルを実際に試乗して、自分にぴったりあった1台を選び出して欲しい。(文:大谷達也/写真:小平 寛)

アウディ RS Q8 主要諸元
●全長×全幅×全高:5010×2000×1700mm
●ホイールベース:2995mm
●車両重量:2410kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:441kW(600ps)/6000rpm
●最大トルク:800Nm/2200-4500rpm
●トランスミッション:8速AT(ティプトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・85L
●WLTCモード燃費:7.1km/L
●タイヤサイズ:295/35R23
●車両価格(税込):1869万円

メルセデスAMG GLE 63 S 4MATIC+ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4955×2020×1785mm
●ホイールベース:2995mm
●車両重量:2520kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ+モーター
●総排気量:3982cc
●最高出力:450kW(612ps)/5750-6500rpm
●最大トルク:850Nm/2500-4500rpm
●モーター最高出力:16kW(22ps)
●モーター最大トルク:250Nm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・85L
●WLTCモード燃費:8.7km/L(EU準拠)
●タイヤサイズ:前285/40R22、後325/35R22
●車両価格(税込):1958万円

BMW X6 Mコンペティション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4955×2020×1695mm
●ホイールベース:2970mm
●車両重量:2370kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:4394cc
●最高出力:460kW(625ps)/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1800-5860rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・83L
●WLTCモード燃費:7.4km/L
●タイヤサイズ:前295/35R21、後315/30R22
●車両価格(税込):1899万円

ポルシェ カイエン ターボS Eハイブリッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4926×1983×1673mm
●ホイールベース:2895mm
●車両重量:2490kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ+モーター
●総排気量:3996cc
●最高出力:404kW(550ps)/5750-6000rpm
●最大トルク:770Nm/1960-4500rpm
●モーター最高出力:100kW(136ps)/2800rpm
●モーター最大トルク:400Nm/100-2400rpm
●システム最高出力:500kw(680ps)
●システム最大トルク:900Nm
●トランスミッション:8速AT(ティプトロニックS)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・75L
●WLTCモード燃費:30.3-31.25km/L(EU準拠)
●タイヤサイズ:前285/40R21、後315/35R21
●車両価格(税込):2441万円

[ アルバム : 刺激的な「ドイツスーパSUV」の個性/前編 はオリジナルサイトでご覧ください ]

文:Webモーターマガジン Motor Magazine編集部
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みんなのコメント

6件
  • 買えねーわ
  • 1台で乗るのなら、カイエンですかね。
    長さは切り返しと4WSで何とかなるけど、幅は如何ともし難い。
    ホンの2センチでもドア開けられるかどうかが違ってくる。
    特にクーペなら自分だけ苦労すれば良いけど、SUVはみんなで乗るからね。

    ゲタ車があるのなら、RSQ8がいいなあ。
    これで日本中ツーリングしたいよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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