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必要なのは「鈍感力?」。輸入中古車向きな人と、そうでない人の違いとは

掲載 更新 209
必要なのは「鈍感力?」。輸入中古車向きな人と、そうでない人の違いとは

「中古車ジャーナリスト」との看板を掲げているせいだろうか、FacebookのメッセンジャーやらTwitterのDMやらを通じて「中古車の購入相談」を持ちかけられることが多い。

そういった相談に対して「では相談料5000円(税別)を承ります。入金が確認でき次第、あらためてこちらからご連絡さしあげます」ということは特になく、すべて無料にて対応している。

青年よ、20代のうちに「SNSでコネを作り、そのコネクションを駆使して」欲しい輸入車を購入せよ!

これは自分が「いい人」だからでは決してない。

事実はその真逆で、「人に親切にすればするほど、後から金持ちになれる」という話をどこかで聞いたため、あくまで利己的な目的で、そうしているだけのことだ。いまだ金持ちになるきざしは見えないが、わたしはそれを固く信じている。

そうこうしているうちに過日、数カ月前に無料相談に乗ったとある男性から、下記のようなメッセージが届いた。

「貴様が『あの店で中古車を買えばたぶん大丈夫ですよ』と勧めた販売店で輸入車を買ったのだが、その後すぐに壊れた。どうしてくれるんだ? 貴様を告訴する。そして貴様の悪口をSNS上で死ぬほど拡散してやる」

悪口の拡散など屁とも思わないが、話として少々気になるため、わたしはその者と会ってみることにした。

その者の自宅駐車場へ行き、その者が買ったというとあるイタリア製中古車の助手席に座り、「ところで、どこがどう壊れたというのですか?」と、わたしはその者に問うた。その際、助手席シートの上に何か小さな物体が落ちていたため、とりあえず左手でそれを拾い上げながら、わたしは発話した。

「どこがって、貴様が今、左手で持ってるそれだよ!」

「へ?」

「買って1週間で、インテリアのその部品がもげたんだよ! さあどうしてくれる? 告訴する! 拡散する!」

その者は、口のまわりを泡だらけにしながらそのようなことをわめいていたが、わたしは半分ぐらいしか聞いておらず、まったく別のことを考えていた。

考えていたこととは、こうだ。

「そうか。普通の人は、何かの部品がちょっともげただけで『壊れた!』と感じるのか。俺の感覚からすればそんなモンは壊れたうちに入らず、『中古の輸入車なんて何かがもげて当然だろ! 接着剤でまた付けとけや!』ぐらいの感じなのだが、世間ではそうでもないのか……」

また別のある日、別の男からメッセージが届いた。

これまた数カ月前に無料相談に乗った男だったが、「修理代が高い! 貴様は『中古の輸入車であっても、カネなんかそんなにかからない』と言っていたが、まるでウソじゃないか。さっそく高い修理代がかかってしまったぞ。訴える。貴様の悪口を拡散する」という内容であった。

めんどくさいので無視しようとも思ったのだが、わたしには「人に親切にして、その結果として金持ちになる」という野望があるため、無視せず対応することとした。

「なるほどそうでしたか、それは失礼いたしました。で、かかった修理代というのはいかほどでしたか?」

すると男は答えた。

「1万円だよ! どうしてくれるんだ? 訴える!(店ではなく貴様を!)」

またまたわたしは、その男の話を半分、いや途中からは半分以下しか聞いておらず、別のことを考えていた。

考えていた内容とは、こうだ。

「そうか。俺の感覚では『修理代がけっこうかかった』というのは、1回あたりの費用が10万円以上、いや5万円以上? いやいや、まあ3万円以上ぐらいから上が『けっこうかかった』なわけだが、世間一般では1万円でも『高い!』と感じるものなのか。そうなのか……」

結局のところ輸入車、というか「中古の輸入車」には、向き不向きみたいなものがあるのだろう。

「ちょっとした不具合」すなわち「走行には直接影響しない不具合」であれば、故障を故障とも感じない鈍感さと、1万円程度の整備修理費用であれば「(別に金持ちではないのだが)払ったうちに入らない」と感じる、また別の種類の鈍感さが必要なのだ。

以前はよくわからなかったこのあたりのフィールだが、国産新車を買って乗るようになった今では、実感とともに理解できるような気もする。

なぜならば、わたくしが2017年末に新車として購入したスバルXVに対して、わたしはメンテナンスフィーみたいなものを1円たりとも払っていない。それは「どこも壊れないから」であり、壊れずとも行う定期点検の費用についても「安心点検パック」みたいなものとして、あらかじめ支払っているからだ。

歴戦の中古マンであるわたしにとっては「どこも壊れないからカネがかからない」というのは衝撃的なまでの異次元体験だったが、世間一般の人にとってはこの感覚、つまり「クルマというのはどの部品ももげないし、整備代も特にはかからないものだ」という感覚が当たり前なのであろう。

わたしがある意味鈍感だったのであり、そんな、ある部分に対しての鈍感さを有している人のことを「輸入車(の特に中古車)に向いてる人」と呼ぶのかもしれない。

だがそういった鈍感人は、変なところに対して敏感人である場合が多いはずだ。

わたしの場合で言えば、

1. エクステリアデザイン
2. インテリアデザイン
3. ステアフィール
4. エンジンの回転フィール

の順番で「敏感」であるため、スバXVおよびその他の一部国産車を除く、多くの国産車をどうしても買うことができない。乗る気になれない。

こう言ってしまうと無駄に敵を作ってしまいそうだが、「よくあんなモンにカネ出せるな~。鈍感だからかな~?」なんてことを、実は日々薄ぼんやりと思っているのだ。

これはどちらが良いとか悪いとかの話ではない。「人それぞれ」という話である。

[画像・ライター/伊達軍曹]

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みんなのコメント

209件
  • 新旧のドイツ、フランス、イタリア、イギリスの車を多数所有してきたが不動になるレベルでなければ故障と思わなくなった。まさしく鈍感です。
  • ポンプとか壊れますよねー、あー壊れたかって思えない人は外車乗ったらあかんわ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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