昨年(2020年)トヨタはこの3月末でプレミオ、アリオン、プリウスαの3車種を生産終了することを公表している。
ご存じの方も多いと思うが、プレミオはコロナ、アリオンはカリーナの後継モデル。これにより栄光のコロナ&カリーナの系譜が途絶えることになる。
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かつては日本車の中心的存在だったコロナ(プレミオ)とカリーナ(アリオン)。いつから輝きを失ってしまったのか? その光と影にスポットを当てる。
※本稿は2021年2月のものです
文/片岡英明 写真/TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2021年3月26日号
【画像ギャラリー】コロナ・プレミオ13代&カリーナ・アリオン9代の系譜をギャラリーでチェック!
■すでにコロナもカリーナも存在しないが、いつから輝きを失ったのか?
ダットサンの対抗馬として1957年5月に投入したのが、トヨペット「コロナ」だ。
クラウンの下のクラスを受け持つファミリーカーで、1959年夏に登場するブルーバードとは宿命のライバルになる。
トヨタ 初代コロナ(1957~1960年)。クラウンを小型化して登場したのが初代で、トヨタ初のモノコック採用
両車は半世紀にわたって「BC戦争」と呼ばれる熾烈な販売合戦を繰り広げた。
コロナがベストセラーカーの座に就くのは、1964年秋に登場した3代目の時だ。
洗練されたデザインに加え、日本初のハードトップや使い勝手のいい5ドアセダンなどを投入し、マイカーブームに火をつけた。
また、女性層のハートをも射止めている。人々を魅了したコロナは、55万台を超える販売台数を記録。
これ以降はコンサバな設計を貫き通し、保守派のファンを上手に引きつけた。
コロナが初めて販売ナンバーワンに輝いた3代目は若者からも大人気
コロナとともに忘れることができない個性派が「カリーナ」だ。1970年12月、カローラの上のスポーティセダンとしてトヨタ店に送り出された。
プラットフォームやパワートレーンはセリカと同じだったから「足のいいやつ」という謳い文句が評判を呼んでいる。
トヨタ 初代カリーナ(1970~1977年)…セリカとパーツを共用し、2ドアセダンと4ドアセダンを設定
1972年12月、2ドアハードトップと4ドアセダンにDOHCエンジンの1600GTを設定。こだわり派のヤングの取り込みにも成功し、販売台数を伸ばした。
後半は排ガスや安全対策、オイルショックなどの対応に追われたが、上手に対応し、7年近くも第一線で活躍を続けた。
この時期のコロナは4代目だが、上にマークIIを設定したため穏やかな性格になっている。
1973年8月に登場した5代目は予防安全を前面に押し出し、衝撃吸収バンパーや警告ランプを組み込んだOKモニターを採用した。
トヨタ 5代目コロナ(1973~1978年)…安全性能と排ガス対策をメインにまじめなクルマ作りに徹した
コロナ、カリーナ両車とも排ガス対策にも本腰を入れている。
■日本人を魅了し続けたコロナとカリーナ
初代カリーナは、年に10万台前後の販売を記録し、時には兄貴分のコロナを打ち負かした。
これに続く2代目と3代目も、躍動感あふれるルックスを受け継いだ。
ちなみに3代目はコロナとメカニズムを共有し、スポーティな走りに磨きをかけている。また、ワゴンの「サーフ」も新鮮さをアピールした。
トヨタ 3代目カリーナ(1981~1988年)。シャシーはセリカからコロナへチェンジ。最後のFRカリーナだ
カリーナに肉薄されたコロナは、1982年に送り出した7代目で路線の転換を図り、日本初のツインカムターボなどを投入する。
1983年に新規デザインの5ドアを投入したが、駆動方式はキャビンを広くできる前輪駆動だ。
秋にはFF方式の4ドアセダンが加わり、正式に8代目コロナを襲名したのである。
1985年は両車にとって節目の年だった。
セリカがFFスペシャルティカーに生まれ変わったのを機に、コロナにFFの2ドアクーペを、カリーナには4ドアHTの「ED」を設定している。
そして1987年に登場した9代目コロナと1988年に登場した5代目カリーナではFFの共通プラットフォームを採用。
トヨタ 9代目コロナ(1987~1992年)。デザインは洗練されたが存在感は低下。写真はスーパールーミー(ストレッチ)
トヨタ 5代目カリーナ(1988~1992年)。トレンドのエアロボディを採用するも、大きく人気凋落してしまった
1989年秋、カリーナEDも第2世代に移行し、これを機に双子車のコロナはクーペを廃してEXiVを誕生させた。
コロナとカリーナが栄華を誇ったのはここまでだ。
■1990年代以降、急激に輝きを失う
1990年代になると、週休二日制の定着やアウトドアブームの到来により、セダンとクーペはユーザーから敬遠されるようになった。
1992年にコロナとカリーナは相次いで新型になり、新たにフルタイム4WDも送り込んだ。だが、若者離れ、セダン離れは止まらず、販売台数は前作の半分に激減する。
そこで軌道修正し、1996年1月に登場する11代目は「コロナプレミオ」を名乗っている。半年後に登場した7代目カリーナもセダンだけに絞った。
トヨタ 11代目コロナプレミオ(1996~1901年)。コロナ最後のモデルでプレミオのサブネームを付与。だが好転はせず
7代目カリーナはコロナにない5MTのGTを設定していた
21世紀になるとコロナは「プレミオ」と改名し、44年、11代でコロナの名が消滅する。
カリーナも7代で絶え、「アリオン」として新たなスタートを切ることになった。
両車ともミドルクラスでは希少となった5ナンバーサイズの小型車枠を守り通した実用性の高い4ドアセダンだ。
デビュー時は買い得感の高さと使い勝手のよさがウケ、好調な販売を記録した。
トヨタ 初代プレミオ(2001~2007年)…使い勝手、室内スペースなど大幅進化し、まずまずの販売をマーク
トヨタ 初代アリオン(2001~2007年)。初代アリオンはプレミオよりもスポーティなイメージが与えられた
その後も年間10万台近くの販売を記録し、2007年には第2世代になっている。良質な小型車が少数だったこともあり、ベテランの人たちに愛された。
だが、販売は下降線をたどったため、2021年3月をもってプレミオとアリオンは生産を終了する。
トヨタを引っ張り続けた5ナンバーサイズの名車が密かに消えていくのは、コロナ、カリーナの輝いていた時代を知っている世代としては、とても悲しい。
●コロナキャッチフレーズ&CMキャラクター
・5代目 安全設計のNEWコロナ(田宮二郎)
・6代目 ハートがあるから頼れます(長嶋茂雄)
・7代目 舞台は主役を待っていた(ロジャー・ムーア)
・8代目 僕らに、引力(加藤和彦ほか)
・8代目 ふつうに愛せる、新コロナ(加藤和彦ほか)
・9代目 なによりもコロナ(……)
・10代目 コロナ氏 登場(中村雅俊)
・11代目 ……(緒形拳)
●カリーナキャッチフレーズ&CMキャラクター
・初代 足のいいやつ(千葉真一)
・2代目 足のいいやつ(千葉真一)
・3代目 足のいいやつ(千葉真一&岸本加世子)
・4代目 新FF足のいいやつ(千葉真一&岸本加世子)
・4代目 足のいいやつ(千葉真一&岸本加世子)
・5代目 ときめきのカリーナ(松本孝美)
・5代目 いつも、あたらしいふたりに(山口智子)
・6代目 丘の上のカリーナ(富田靖子)
・7代目 アイ・ラヴ・ラン(役所広司&中村久美)
【番外コラム】コロナ&カリーナの派生車トピック
●1600GT
3代目コロナ2ドアハードトップをベースにコロナ用1.6L OHVをヤマハと共同開発してDOHC化して搭載。ボディ、サスペンション、ブレーキなども強化。
トヨタRTXの名前でレースに投入されていたプロトタイプの市販モデルで、あえてコロナの名は冠せず1600GTと名乗った。
1600GT…コロナを冠せず「1600GT」という特別な名前が与えられ、レースでも大活躍
●コロナマークII
コロナとクラウンの間に位置するモデルとして’68年にデビューしたのがコロナマークIIで、トヨタの主力に君臨。
正式にトヨタマークIIに変更されたのは、ハイソカーブームの主役だった1984年デビューの5代目と、意外にコロナマークII時代は長かった。
そのコロナマークIIも2004年にマークXと車名変更し、2019年かぎりで消滅。
コロナマークII…ユーザーの高級志向の高まりに合わせて登場したのがコロナマークIIだった
●カリーナED&コロナEXiV
カリーナ2ドアに代わるモデルは背の低いスタイリッシュな4ドアハードトップとしてデビュー。若者のハートをつかみ、当時の日本を席巻するほどの人気となった。
カリーナEDは合計3世代、2代目ではコロナEXiVが兄弟車として加わり、EXiVは全日本ツーリングカー選手権(JTCC)でも活躍。
カリーナED…カリーナEDは背の低い4ドアハードトップブームの火付け役として大ヒット
コロナEXiV…カリーナEDの2代、3代目と兄弟車となるコロナEXiVはレースで活躍
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みんなのコメント
当時のオーナーと共に年老いて終焉を迎えた。
セダン回帰の潮流が始まったらトヨタはどうするのかと心配になるけど
そうはならないと自信があるから消滅させるんだろうなあ。